ECB総裁の関与が報じられる中バイナンスがギリシャでのMiCAライセンス申請を撤回、フランス等での取得を目指す

世界最大手の暗号資産取引所であるBinance(バイナンス)が、ギリシャで進めていた欧州の暗号資産市場規制法(MiCA:Markets in Crypto-Assets)に基づくライセンス申請を取り下げたことが明らかになりました。報道によると、欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁がギリシャ政府に対し、同社の申請を却下するよう政治的な働きかけを行ったとされています。バイナンスは欧州市場からの撤退を否定しており、フランスなど他のEU加盟国でのライセンス取得に向けて方針を転換する模様です。

ラガルドECB総裁による政治的介入の報道とギリシャでの申請撤回

ECB総裁の関与が報じられる中バイナンスがギリシャでのMiCAライセンス申請を撤回、フランス等での取得を目指す

バイナンスは2026年1月にギリシャのヘレニック資本市場委員会(HCMC)にMiCAライセンスの申請を行い、現地法人の設立など準備を進めていました。技術的な審査やマネーロンダリング防止に関する評価は順順に進み、承認に近い状態であったとされています。

しかし、2026年5月に開催された会談において、ECBのラガルド総裁がギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相に対し、バイナンスを欧州で歓迎しないとの意向を伝えたと報じられました。この政治的な働きかけが影響し、ギリシャ側の方針が急転したと見られています。バイナンスはユーザーの利益とタイムラインを考慮した結果、ギリシャでの申請を取り下げる決定を下しました。

ECBが懸念するステーブルコインの影響とデジタルユーロへの思惑

ECBがバイナンスに対して否定的な姿勢を示す背景には、ステーブルコイン(法定通貨などと価値が連動するよう設計された暗号資産)に対する強い警戒感があるとされています。バイナンスは欧州におけるステーブルコインの流動性を提供する主要なプラットフォームであり、その巨大な市場規模が、ECBの推進するデジタルユーロ(中央銀行が発行するデジタル通貨)プロジェクトを複雑化させる可能性があると懸念されているためです。

ラガルド総裁はこれまでもステーブルコインの脆弱性を指摘し、中央銀行の金利コントロールや商業銀行の融資能力に対する悪影響を警告してきました。

迫るMiCA移行期限とバイナンスの今後の欧州戦略

MiCA規制下では、EU加盟国のいずれか1カ国で暗号資産サービスプロバイダー(CASP)としてのライセンスを取得すれば、パスポート制度(1カ国の承認でEU全27カ国でのサービス提供が可能となる制度)によりEU全域で事業を展開することができます。MiCAの移行期間が2026年6月30日に終了し、7月1日から本格導入されるため、バイナンスにとってはライセンスの確保が極めて重要です。

ギリシャでの申請撤回を受け、バイナンスはフランスなど他の加盟国でのライセンス取得交渉に注力する姿勢を示しています。同社の欧州責任者は「欧州市場から撤退することはない」と強調しており、数カ月以内に別の経路を通じてライセンスを取得することを目指し、規制当局との協議を継続する方針です。

ポイント

  • バイナンスがギリシャにおけるMiCAライセンスの申請を取り下げ、フランスなど他国での取得へ方針を転換しました。
  • ECBのラガルド総裁がギリシャ首相に対し、バイナンスの申請を却下するよう働きかけたとする政治的介入が報じられています。
  • 介入の背景には、バイナンスが主導するステーブルコインの流動性と、ECBが推進するデジタルユーロ計画との競合への懸念があると見られます。
  • 1カ国でのライセンス取得がEU全域での事業継続の鍵となるため、今後のフランス等での交渉の成否が注目されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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