トランプ大統領の住宅法案署名拒否が暗号資産規制法案CLARITY Actの可決スケジュールに影響か

トランプ大統領の住宅法案署名拒否が暗号資産規制法案CLARITY Actの可決スケジュールに影響か

トランプ米大統領は、超党派で可決された住宅支援法案の署名式を急遽中止し、署名を保留しています。この法案には連邦準備制度理事会による中央銀行デジタル通貨の新規発行を禁止する条項が含まれており、暗号資産業界からも注目されていました。トランプ氏が署名の条件として別の選挙関連法案の通過を要求したことで、議会の審議日程が圧迫されており、業界が切望する規制枠組み法案であるCLARITY法案の8月休会前の可決が危ぶまれる事態となっています。

トランプ大統領による署名保留と中央銀行デジタル通貨禁止条項の現状

トランプ大統領の住宅法案署名拒否が暗号資産規制法案CLARITY Actの可決スケジュールに影響か

トランプ大統領は2026年6月24日に予定されていた住宅法案(21st Century ROAD to Housing Act)の署名式を中止し、自身が強く推進する選挙法案(SAVE America Act)が議会を通過するまで署名を行わない意向をSNS上で表明しました。

この住宅法案は、上院で85対5、下院で358対32という圧倒的な超党派の賛成多数で可決されたものです。法案には、連邦準備制度理事会(FRB)が2030年12月31日まで中央銀行デジタル通貨(CBDC)を直接または間接的に発行・作成することを禁止する条項が盛り込まれています。暗号資産業界は、政府による監視への懸念や民間ステーブルコインの市場保護の観点からこのCBDC禁止条項を強く支持していましたが、トランプ氏の政治的な要求により、法制化が一時的に足止めされています。

暗号資産の規制枠組みを定めるCLARITY法案への波及懸念

この政治的な対立は、暗号資産業界にとってより優先度の高い法案である「CLARITY Act(Digital Asset Market Clarity Act)」の可決スケジュールに大きな影響を及ぼしています。

CLARITY法案は、暗号資産トークンが有価証券(セキュリティ)か商品(コモディティ)かを明確に区分する法的枠組みを定めるもので、業界の規制不確実性を解消するための最重要法案と位置づけられています。シンシア・ルミス上院議員は、同法案が7月中に上院本会議での審議に達するとの見通しを示していました。

しかし、トランプ大統領が住宅法案の署名を拒否したことで、上院の審議時間が他の政治的交渉に割かれ、CLARITY法案の審議枠が圧迫されています。専門家は、8月の議会休会(August recess)前にCLARITY法案が上院を通過しなければ、その後の可決の可能性が大幅に低下すると指摘しています。

業界ビジネスパーソンにとっての重要性

今回の動向は、米国の暗号資産政策における不確実性が再び高まる懸念を示しています。

第一に、CLARITY法案の可決が遅れることで、証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)のどちらが規制権限を持つかという長年の課題が未解決のままとなり、企業の事業計画やコンプライアンス対応に影響を与える可能性があります。

第二に、住宅法案自体は議会で圧倒的な多数の賛成を得ており、大統領の拒否権を覆すことが可能な水準(veto-proof)で可決されているため、最終的に法制化される可能性は高いと見られますが、トランプ氏との対立が長引けば、法制化の時期がずれ込むことになります。これにより、CBDC禁止措置の導入時期も不透明となっています。

ポイント

  • トランプ大統領が、CBDC発行禁止条項を含む超党派の住宅法案の署名を保留しました。
  • 署名の条件として、有権者の市民権証明などを義務付ける別の選挙法案(SAVE America Act)の可決を要求しています。
  • 暗号資産の法的区分を明確にする規制法案(CLARITY Act)の7月中上院本会議審議のスケジュールが圧迫される懸念が生じています。
  • 8月の議会休会前にCLARITY法案が可決されない場合、法制化の実現性が著しく低下すると専門家から指摘されています。
  • 米国における暗号資産の規制明確化のプロセスが遅れ、市場の政策不確実性が長期化するリスクがある点で注目されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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