現実資産(RWA:Real-World Assets)のトークン化を主導するOndo Finance、AIエージェントのプラットフォームを提供するVirtuals Protocol、そして取引実行を担うTreasuresの3社は、4万以上の自律型人工知能(AI)エージェントに向けて430以上のトークン化された株式を開放しました。これにより、AIボットによる米国株式のオンチェーン取引が実現します。この取り組みは、急速に拡大するトークン化株式市場と、AIエージェントを金融取引に活用する「アジェンティック・ファイナンス(Agentic Finance)」の競争をさらに加速させるものとして注目されています。
AIエージェントによるオンチェーン株式取引の実現
Ondo Finance、Virtuals Protocol、Treasuresの3社は、430を超えるトークン化された株式へのアクセスを4万以上の自律型AIエージェントに開放したと発表しました。このサービスでは、Treasuresが取引の実行を担当し、Ondo Financeがトークン化された株式の提供を行います。
ローンチ時点では、EthereumおよびSolanaブロックチェーン上の米国株式(Apple、Tesla、NVIDIA、SpaceXなど)が対象となります。ただし、一部の管轄区域における制限が適用されるとされています。
今回の統合により、トレーダーはAIエージェントを活用したヘッジファンドの利用や、コピートレード用のヴォルト(資産を管理・運用するスマートコントラクト)の運用、ポートフォリオの完全自律化、24時間年中無休で稼働するプログラム戦略の設定などが可能になるとされています。
急成長するトークン化株式市場と技術的背景
現実資産(RWA)のトークン化市場、特にトークン化株式の分野は暗号資産業界で最も急速に成長しているセグメントの一つとされています。データプラットフォームのRWA.xyzによると、トークン化株式の分散型価値は約15億ドルに達しており、これは前年比で約360%の成長を記録しているとされています。このセグメントにおいて、Ondo Financeは57%以上の市場シェアを誇り、業界をリードしているとされています。
Virtuals Protocolによると、従来の金融市場では、すでに米国株式の取引量の約3分の2をアルゴリズムシステムが処理していますが、その多くは大企業や大金融機関の内部に限定されていました。今回の統合により、同様の直接取引機能がすべてのAIエージェントに開放されることになり、個人や小規模なプレイヤーでも自律的な取引システムを構築・運用できるようになると見られます。
加速するアジェンティック・ファイナンスの競争と規制の動向
AIエージェントを能動的な金融取引の参加者にするためのアジェンティック・ファイナンスの競争は、業界全体で加速しています。
例えば、MastercardはAIエージェントがサービスを売買できるようにする決済システムであるAgent Pay for Machines(AP4M)をローンチしたとされています。また、Robinhoodは5月27日にAgentic Tradingをローンチし、CoinbaseもAIエージェントを顧客アカウントに接続するツールを導入したとされています。
一方で、こうした動きに対して規制当局や法制化の動きも活発化しています。米国の下院金融サービス委員会の民主党議員らは、個人投資家向けに取引を行うAIエージェントをどのように監督しているかについて、米国証券取引委員会(SEC)に対して問い詰めたとされています。
ポイント
- Ondo Finance、Virtuals Protocol、Treasuresの連携により、4万以上の自律型AIエージェントが430以上のトークン化された米国株式をオンチェーンで取引可能になりました。
- 取引の実行はTreasuresが担い、トークン化株式の提供は市場シェア57%以上を占めるOndo Financeが担当しています。
- ローンチ時点ではEthereumとSolana上の米国株式が対象となっており、一部の管轄区域での利用制限が適用されます。
- AIエージェントを活用したヘッジファンドやコピートレード、24時間稼働のプログラム戦略など、運用の多様化が進むと見られます。
- 大手金融機関や暗号資産取引所によるAI金融サービスの導入が進む一方で、米国議会などではAI取引に対する規制監督のあり方について懸念も示されています。