バイナンス、EUのMiCA規制期限を前に4億ドル超の資金流出か ギリシャのライセンス申請取り下げが影響

大手暗号資産取引所のバイナンス(Binance)において、先週の週間純流出額が約4億ドルに達したことが明らかになりました。これは、EUにおける新たな暗号資産規制「MiCA」の移行期限である7月1日を前に、同社がギリシャでのライセンス申請を取り下げたことなどが背景にあるとみられます。移行期限までにライセンスを取得できない見込みとなったことで、EU域内での一部サービス制限や新規ユーザー登録の停止が生じる見通しです。

ギリシャでのMiCA申請取り下げと迫る移行期限

バイナンス、EUのMiCA規制期限を前に4億ドル超の資金流出か ギリシャのライセンス申請取り下げが影響

バイナンスは2026年6月24日、ギリシャの金融市場委員会(HCMC)へ提出していたMiCAライセンス申請を取り下げ、別のEU加盟国での認可取得を目指すと発表しました。しかし、7月1日に設定されたMiCA規制への移行期限までに認可を得られない可能性が高まっており、EU域内のユーザーに対する新規のオンボーディング(登録プロセス)停止や、一部サービスの制限が生じる見通しです。

欧州の規制当局は厳しい姿勢を示しており、スペイン国家証券市場委員会(CNMV)のカルロス・サン・バシリオ委員長は、例外も延長も認めないとして期限の延長を明確に否定しています。また、欧州証券市場監督機構(ESMA)も6月23日、未認可の暗号資産サービス事業者に対し、7月1日以降速やかにEU内での事業を停止するよう求めています。

4億ドルの資金流出と競合他社の動き

データ提供元であるDefiLlamaのデータによると、先週のバイナンスの週間純流出額は約4億ドル(約640億円、1ドル=160円換算)に達しました。ただし、バイナンスでは日常的に数十億ドル規模の資金移動が行われており、今回の流出額自体は同社にとってそれほど特異な水準ではないとされています。

一方で、すでにMiCAライセンスを取得しているOKXなどの競合取引所は、この規制移行期を好機と捉え、バイナンスのEUユーザーを獲得するための動きを活発化させています。これに対し、バイナンスのリチャード・テンCEOは、顧客資産は安全であるとした上で、今後数カ月以内にMiCAライセンスの取得を目指す方針を示し、EU市場への継続的なコミットメントを強調しています。

Web3ビジネスにおけるMiCA規制の影響

MiCA(Markets in Crypto-Assets:暗号資産市場規制)は、EU加盟国全体で統一された包括的な暗号資産規制の枠組みとされています。これまで国ごとに異なっていた規制を一本化することで、消費者保護や市場の健全性を高めることを目的としています。

バイナンスのようなグローバル大手の対応の遅れとそれに伴うサービス制限は、EU域内のWeb3市場の勢力図に影響を与える可能性があります。ライセンスを早期に取得した事業者が優位に立つ一方で、未認可の事業者は市場からの即時撤退や事業縮小を余儀なくされるため、法遵守(コンプライアンス)の成否が今後のビジネス展開における決定的な要素になると見られます。

ポイント

  • バイナンスの先週の週間純流出額が約4億ドルに達しました。
  • ギリシャでのMiCAライセンス申請を取り下げたことで、7月1日の移行期限までの認可取得が困難な見通しです。
  • EU域内での新規ユーザー登録停止や一部サービス制限が発生する可能性があります。
  • 規制当局は例外や期限延長を認めない方針を徹底しています。
  • OKXなどMiCAライセンス取得済みの競合取引所が、EU市場でのシェア拡大に向けて動いています。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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