イギリスの金融行動監視機構(FCA)は2026年6月29日、暗号資産(仮想通貨)企業を対象とする包括的な規制枠組みの最終政策声明を公表しました。この新制度は2027年10月25日に発効する予定で、健全性規制、市場濫用規制、ステーブルコイン規制を柱としています。イギリス国内で暗号資産関連サービスを提供する事業者に対して明確なルールを提示し、安定した競争環境を構築することを目指しています。
規制の対象範囲と真のDeFiへの対応
今回の規制枠組みは、暗号資産を扱う幅広い事業者を対象としています。具体的な対象には、取引プラットフォーム、ディーリング・仲介業者、カストディアン(保管業者)、ステーブルコイン発行者、レンディングサービス、ステーキング企業、および管理主体が特定可能な一部のDeFi(分散型金融)事業者などが含まれます。
一方で、管理主体が特定できない「真のDeFi」については、今回の包括規制の対象外とされました。FCAはこれらに対して、個々のケースに応じて個別に判断し対応していく方針を示しています。
認可申請のスケジュールと既存登録企業の扱い
新制度の導入に伴い、現在すでにマネーロンダリング規制に基づく登録を済ませている企業であっても、自動的に新制度への移行や認可が行われることはありません。事業を継続するためには、新制度のもとで改めてFCAの認可を取得する必要があります。
認可取得に向けた今後のスケジュールは以下のように定められています。
- 2026年7月:申請前サポートミーティングの提供開始
- 2026年9月30日:認可申請の受付開始
- 2027年2月28日:認可申請の締め切り
- 2027年10月25日:新制度の発効
健全性・市場濫用規制の導入とステーブルコイン要件の緩和
新制度では、インサイダー取引や市場操作を防止するための市場濫用規制が導入されます。また、ステーブルコインの発行者に対しては準備資産の構成に関する要件が設けられます。ただし、この準備資産要件については、暗号資産業界から寄せられた意見を踏まえて条件が一部緩和されています。
FCAの決済・デジタルファイナンス担当エグゼクティブ・ディレクターであるデイビッド・ジール(David Geale)氏は、この規制枠組みについて、規制の確実性を担保しつつもイノベーションの余地を残した設計であると説明しており、企業が安定して成長できる環境を提供するものとしています。
ポイント
- イギリスの金融行動監視機構(FCA)が暗号資産の包括的な最終規制枠組みを公表し、2027年10月25日に発効されることが決定しました。
- 取引プラットフォームやカストディアン、ステーブルコイン発行者など幅広い事業者が規制の対象となりますが、管理主体がない真のDeFiは対象外とされています。
- 既存のマネーロンダリング規制登録企業も自動移行はされず、2026年9月30日から2027年2月28日までの期間に改めてFCAへの認可申請を行う必要があります。
- インサイダー取引防止などの市場濫用規制が導入される一方で、ステーブルコインの準備資産要件は業界の意見を反映して緩和されるなど、イノベーションとの両立が図られている地盤として注目されます。