米クラリティー法案の審議が加速、トランプ大統領の巨額仮想通貨収益を受け「倫理条項」の明記が争点に

米クラリティー法案の審議が加速、トランプ大統領の巨額仮想通貨収益を受け「倫理条項」の明記が争点に

米国の暗号資産市場構造法案であるクラリティー法案(暗号資産の規制枠組みを定め、商品先物取引委員会と証券取引委員会の管轄を整理する法案)をめぐり、現職の大統領や議員らが在任中に暗号資産から個人的な利益を得ることを制限する倫理条項の盛り込みに関して、与野党の交渉が緊迫化しています。トランプ大統領の資産公開報告書により、同氏の暗号資産関連収益が極めて巨額であることが判明したことを受け、民主党が倫理条項の厳格な明記を強く要求しています。8月の夏季休会前の成立を目指す中、法執行機関との調整も含め、法案の行方に注目が集まっています。

トランプ大統領の巨額な暗号資産収益が判明

米クラリティー法案の審議が加速、トランプ大統領の巨額仮想通貨収益を受け「倫理条項」の明記が争点に

トランプ大統領が提出した2025年の資産公開文書が公開され、同氏の暗号資産およびミームコイン関連事業からの収益が極めて巨額であることが明らかになりました。

報道により数値の表現に一部差異があり、総額について10億ドルを超える、あるいは12億ドル(約1,950億円)を超えるとする報道がある一方で、14億ドル(約2,276億円)を超える所得があったとする報道もあります。

具体的な内訳としては、ミームコイン運営会社であるCICデジタルからのロイヤリティ収益が6億9,500万ドル超、トランプ一族が共同創業者に名を連ねるDeFi(分散型金融)企業ワールドリバティファイナンシャルのトークン販売収益が5億8,800万ドル超にのぼりました。

さらに、トランプ氏個人の暗号資産ウォレットの保有状況として、ビットコインが5,000万ドル超、イーサリアムおよびUSDC(米ドル連動型のステーブルコイン)がそれぞれ500万〜2,500万ドルの範囲で保有されているほか、メラニア夫人のNFT販売収益も600万ドル(前年の21万6,000ドルから大幅に増加)に達していることが確認されました。

これに対し、トランプ大統領は個人資産は大手機関が運用しており、自身は一切関与していないと記者団に説明しています。

民主党による「倫理条項」明記の要求と共和党の対応

この巨額収益の開示を受け、民主党議員らはクラリティー法案において、大統領や議員らが公職を利用して暗号資産から個人的な利益を得ることを制限する倫理条項を明記するよう要求を強めています。

エリザベス・ウォレン議員は、大統領やその家族が暗号資産からの利益取得を継続することを阻止しなければ、トランプ大統領の腐敗をさらに加速させるだけであると指摘し、アダム・シフ議員も今回の開示を腐敗のコストと表現しました。アンジェラ・アルソブルックス議員やカーステン・ジリブランド議員も、大統領を含むすべての政治家が公職を利用して私的利益を得ることを禁じる厳格な超党派倫理改革の必要性を訴えています。

一方で、法案を積極的に推進してきた共和党のシンシア・ルミス議員は、クラリティー法案には強固な倫理条項が含まれるとした上で、いかなる党派の議員も公職を利用して利益を得られないよう、ホワイトハウスや民主党と誠実に交渉を進めていると述べており、両党とも倫理条項の盛り込み自体には方向性が一致しているとみられます。

法執行機関との調整と「BRCA」をめぐる懸念

法案全体の審議においては、法執行機関との調整も続けられています。今週月曜日には、複数の警察・保安官団体の代表者と政権幹部による会合が持たれました。

この会合では、法案がオンチェーンでの犯罪捜査を支援する点について説明が行われました。一方で、クラリティー法案に含まれるBRCA(ブロックチェーン規制確実性法:顧客資金を直接管理しない非カストディアルなソフトウェア開発者やインフラ提供者について、送金業者としての規制対象から除外することを明確にする法案)については、全米保安官協会や国際警察署長協会が違法活動の抜け穴になりかねないとして懸念を示す書簡を政権宛てに送付しています。

司法省はこれらの団体の書簡に対し、事実の誤認があり政権の方針を誤って伝えていると反論しており、法案支持者側は両団体が反対から中立の立場へ転換するよう働きかけを続けています。

今後のスケジュール

米上院は7月13日まで休会中ですが、休会期間中もクラリティー法案の採決に向けた裏交渉が継続しています。関係者は、8月の夏季休会前に上院での法案成立を目指しており、倫理条項や法執行当局の懸念解消に向けた調整が今後の大きな分岐点になると見られます。

ポイント

  • トランプ大統領の資産公開により、暗号資産やミームコイン関連事業から10億ドルから14億ドル超(報道や資料により異なる)の巨額収益を得ていたことが判明しました。
  • 民主党は、公職者が在任中に暗号資産から私的利益を得ることを禁止する倫理条項をクラリティー法案に明記するよう改めて強く要求しています。
  • 共和党のルミス議員も強固な倫理条項の盛り込みに前向きな姿勢を示しており、与野党間で交渉が進められています。
  • 非カストディアル開発者を規制対象外とするBRCA(ブロックチェーン規制確実性法)に対し、法執行機関の一部から懸念が示されており、司法省との間で調整が続けられています。
  • 議会は7月13日まで休会中ですが、8月の夏季休会前の法案成立を目指し、水面下での協議が継続しています。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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