オンチェーン取引基盤「ハイパーリキッド(Hyperliquid)」の支援組織であるハイパー財団(Hyper Foundation)は、米ドル連動型ステーブルコイン「USDH」の段階的終了に伴い、影響を受ける開発者に対して総額約1,000万ドル(約16.2億円)の助成金を用意したことを発表しました。この決定は、ハイパーリキッド上のUSDH建て市場を、米サークル(Circle)発行の「USDC」へ移行する動きに伴うものです。移行を円滑に進めるため、開発者への支援策として移行助成金と段階的終了助成金の2種類が提供されます。
USDHの段階的終了とUSDCへの移行背景
ハイパーリキッドは、オンチェーンの無期限先物・スポット注文板を担うハイパーコア(HyperCore)と、汎用スマートコントラクト環境であるハイパーEVM(HyperEVM)を基盤としています。これまで同プラットフォーム向けに構築されたネイティブステーブルコインとしてUSDHが機能していましたが、今後はUSDC建て市場への移行が進められることになりました。
この移行にあたり、コインベース(Coinbase)がUSDCのトレジャリーデプロイヤー(国庫の配置・管理担当)を務め、サークル(Circle)が技術デプロイヤーとして「クロスチェーン転送プロトコル(CCTP)」やネイティブクロスチェーンインフラを担います。
これにより、ステーブルコイン統合仕様である「AQAv2(Aligned Quote Asset v2)」がUSDC向けに有効化されました。AQAv2は、ハイパーリキッド上で流通するステーブルコインのコスト調整後の準備資産利回り収入の大部分を、プロトコルと共有する設計となっています。
助成金の対象範囲と提供される2つの枠組み
ハイパー財団が用意した総額約1,000万ドルの助成金は、USDHの段階的終了によって直接影響を受ける開発者やプロジェクトを対象としています。
具体的な対象には、HIP-1(ハイパーリキッド上のネイティブトークン規格で、同規格のトークン同士のオンチェーンスポット注文板も備えるもの)のスポット市場デプロイヤー、HIP-3(開発者が無期限先物市場をデプロイできる枠組み)の無期限先物市場デプロイヤー、ハイパーEVM上のプロトコル、USDHとUSDCの専用ブリッジ、そしてUSDH関連事業を担うネイティブマーケッツ(Native Markets)が含まれます。
提供される助成金は、以下の2種類に分かれています。
- 移行助成金:USDHを統合していた市場やデプロイメントをUSDCへ移行するチームが対象となります。
- 段階的終了助成金:USDHに依存する事業や機能を新たな資産へ移行せず、終了するチームに提供されます。ただし、助成額は同等の移行を行う場合よりも小さく設定されます。
助成金の受給を希望するチームは、7月末までにこれらの移行または終了を完了することにコミットする必要があります。
助成額の算定基準
助成額は、対象となるプロトコルの種類に応じて異なる基準で算定されます。HIP-1およびHIP-3向けの助成金はオークションでのデプロイ費用を基準に算出され、ハイパーEVM向けの助成金はUSDHの段階的終了で影響を受けるTVL(預かり資産総額)を基準に算定される仕組みとなっています。
ポイント
- ハイパー財団が「USDH」の段階的終了に伴い、影響を受ける開発者へ総額約1,000万ドルの助成金を用意しました。
- ハイパーリキッド上のステーブルコイン環境を、サークルやコインベースが主導する「USDC」へ移行するための組織的支援として注目されます。
- 助成金は「移行助成金」と「段階的終了助成金」の2種類に分かれ、受給チームは7月末までの移行または終了完了へのコミットが求められます。
- 助成額は、オークションでのデプロイ費用や影響を受けるTVL(預かり資産総額)を基準に算定されます。