大手資産運用会社であるニューヨーク・ライフ・インベストメント・マネジメント(NYLIM)は、資産トークン化プラットフォームのCentrifugeと提携し、同社初となるトークン化投資商品「NYLIM Anemoy U.S. High Yield Corporate Bond Segregated Portfolio」を立ち上げました。このファンドは米ドルステーブルコインのUSDCで決済され、NYLIMの米ドル建てハイイールド社債(高利回り社債)投資戦略をオンチェーンで提供するものです。従来のトークン化されたリアルワールドアセット(RWA)市場では米国国債などの低リスク資産が主流でしたが、信用リスクを伴うハイイールド社債がオンチェーンに持ち込まれることで、Web3業界における資金運用の選択肢が広がるとされています。
提携の概要とファンドの仕組み
NYLIMは、運用資産残高(AUM)約8,070億ドルを誇る世界有数のアクティブ資産運用会社であるとされています。今回、Centrifugeの機関投資家向けファンドインフラを活用し、同社初のブロックチェーン対応製品を導入しました。
このファンドは「HYB」のティッカーで提供され、適格投資家はCircle社が発行するステーブルコインのUSDCを用いて出資や償還を行うことができる仕組みとされています。ファンドの裏付けとなるポートフォリオの運用、投資プロセス、およびリスク管理は、引き続きNYLIMが直接コントロールする形となります。なお、規制上の理由から、本商品は米国の投資家向けには提供されないとされています。
従来のトークン化資産との違いと重要性
これまでブロックチェーン上でトークン化されてきたリアルワールドアセット(RWA、現実世界の資産をブロックチェーン上で表したもの)は、主に米国国債を裏付けとした比較的安全でシンプルな投資商品が中心でした。しかし、暗号資産ネイティブの投資家やDAO(分散型自律組織)の財務担当者の間では、国債の利回りを超える多様な投資機会への需要が高まっていたとされています。
今回の取り組みは、信用リスク(デフォルトなどのリスク)を伴うハイイールド社債戦略をオンチェーンに持ち込むことで、こうした需要に応えるものとされています。NYLIMでマルチアセット・ソリューションの責任者を務めるトーマス・シー(Thomas Sy)氏は、トークン化について「パブリックおよびプライベート市場の両方において、投資ソリューションへのアクセス、管理、分配の方法における魅力的な進化である」と述べており、将来的に金融の多くがオンチェーンに移行することを見据えたパイロットプログラムとしての意義を強調しているとされています。
ポイント
- ニューヨーク・ライフ・インベストメント・マネジメントがCentrifugeと提携し、同社初となるトークン化ファンド「HYB」を立ち上げた点で注目されます。
- 本ファンドは、暗号資産ネイティブの投資家向けに米国のハイイールド社債投資戦略を提供するもので、決済にはUSDCが使用される仕組みとなっています。
- 従来の米国国債を中心としたトークン化資産(RWA)とは異なり、信用リスクを伴う高利回り資産をオンチェーンに導入する新たな試みであるという点で注目されます。
- 大手金融機関がブロックチェーンインフラの透明性や効率性を評価し、金融のオンチェーン化に向けた実証実験を進める動きとして業界内で重要視されています。