韓国金融当局、海外で価格を吊り上げ国内で売り抜けた仮想通貨クジラを検察へ送致

韓国金融当局、海外で価格を吊り上げ国内で売り抜けた仮想通貨クジラを検察へ送致

韓国の金融サービス委員会(FSC)は、暗号資産の市場価格を意図的に操作した疑いがあるとして、大口投資家(通称:クジラ)を含む容疑者を検察に送致することを決定しました。容疑者は海外のプラットフォームで特定のトークン価格を吊り上げた後、韓国国内の取引所で保有分を売却し、多額の利益を得たとされています。この動きは、韓国における暗号資産市場の規制強化と、投資家保護に向けた法執行の具体例として注目を集めています。

国内外の取引所を跨いだ価格操作の構図

韓国金融当局、海外で価格を吊り上げ国内で売り抜けた仮想通貨クジラを検察へ送致

FSCの発表や現地報道によると、送致されたケースの一つは、大口投資家が国内外の取引所に上場されている特定の暗号資産に対して、約2ヶ月間にわたって数百億ウォン(韓国の通貨単位)規模の資金を投入したというものです。この投資家は、対象となるトークンのグローバル流通量の最大50%を買い占めて支配的な地位を築いたとされています。

その後、複数の取引所間における価格の連動性を利用し、まず海外のプラットフォームで意図的に価格を引き上げました。これにより、韓国国内の取引所でも同トークンの価格高騰が誘発され、一般投資家の買いを誘い込んだとされています。容疑者は海外口座では損失を出したものの、国内口座でそれを大きく上回る売却益を得ており、結果として韓国の一般投資家に損失が集中する結果になったと報じられています。

APIを用いた超短期の価格操作も摘発対象に

今回の検察送致には、もう一つの市場操作ケースも含まれています。こちらは、韓国国内での取引割合が高い、いわゆる「キムチコイン」を対象とした超短期の価格操作です。

容疑者は事前にトークンを買い付けた後、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース:外部プログラムから取引システムを操作する仕組み)を介して1秒間に多数の成行注文を繰り返し、活発な取引が行われているかのような外見を作出しました。同時に、最良気配値より高い価格での指値買い注文を繰り返し提出して価格を吊り上げ、一般投資家が引き寄せられた段階で保有分を分割して売却し、利益を得ていたとされています。

規制強化の背景とブロックチェーン業界への影響

韓国では2024年7月に「仮想通貨利用者保護法」が施行されており、今回の摘発はこの法律に基づく市場監視と不公正取引の取り締まりが本格化していることを示しています。

金融当局は、合理的な根拠なしに価格や取引量が急増している暗号資産への追従買いを控えるよう投資家に警告しています。また、少数のアカウントへの取引集中を監視する「市場警告システム」の改善や、大口投資家による買い集め・売却情報の開示強化を計画しているとされています。

Web3業界のビジネスパーソンにとって、このような規制当局による具体的な法執行は、市場の健全性と透明性が向上する一方で、大口の取引活動やAPIを利用したプログラム取引に対する監視が厳格化することを意味します。今後、取引所やプロジェクト運営者は、より強固なコンプライアンス体制と市場監視体制の構築が求められる可能性があります。

ポイント

  • 韓国の金融サービス委員会(FSC)が、国内外の取引所を跨いで価格操作(ポンプ・アンド・ダンプ)を行った疑いのある大口投資家(クジラ)を検察に送致しました。
  • 容疑者は海外のプラットフォームでトークン価格を吊り上げた後、国内の取引所で保有分を売却し、国内の一般投資家に損失を集中させたとされています。
  • APIを用いた超短期の注文や高値の指値注文を組み合わせ、取引が活発であると誤認させて価格を吊り上げる手法も同時に摘発されました。
  • 2024年7月に施行された「仮想通貨利用者保護法」のもとで、韓国当局による市場操作への取り締まりが一段と強化されている点で注目されます。
  • 金融当局は、少数のアカウントによる取引集中を監視する警告システムの改善や、大口投資家の動向に関する情報提供を強化する方針を示しています。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

Pacific Metaマガジン編集部は、ブロックチェーン領域を中心に、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン、NFTなどのトークン活用や、AI×ブロックチェーン領域における事業開発・実装に関する情報を発信する編集チームです。株式会社Pacific Metaが、グループ累計260社以上・41カ国以上のプロジェクトを支援してきた知見をもとに、記事の企画・監修を行っています。

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