トランプ米大統領、12億ドル超の暗号資産収益への批判に反論 ビットコインへの課税に疑問を呈す

トランプ米大統領は、自身の2025年度の資産開示報告書において、家族が関与する暗号資産(仮想通貨)関連事業から12億ドルを超える収益を得ていたことが明らかになり、議員らから利益相反の批判を受けています。これに対しトランプ大統領は、これらの事業や収益は違法ではないと強く反論しました。また、ビットコインを従来の株式のように課税すべきではないとの考えを示すとともに、米国が暗号資産やAI分野で主導的な立場にあることを強調しています。今回の事態は、米国で審議が続いている暗号資産規制法案「クラリティー法案」の倫理条項を巡る与野党の交渉にも影響を与えています。

トランプ大統領の巨額な暗号資産収益と利益相反批判への反論

トランプ米大統領、12億ドル超の暗号資産収益への批判に反論 ビットコインへの課税に疑問を呈す

7月1日に公開された927ページに及ぶ2025年度の年次資産開示報告書により、トランプ大統領の暗号資産関連収益が合計約12億ドル超に達していることが判明しました。この報告を受け、民主党のエリザベス・ウォレン議員やアンジェラ・アルソブルックス議員をはじめとする議員らから、利益相反や大統領一家の利益取得に関する批判が相次いでいます。

これに対し、トランプ大統領は7月3日、ホワイトハウスのオーバルオフィスで行われたCNBCの取材や、アンドルーズ共同基地での記者団への説明を通じて反論しました。大統領は、家族が関与する仮想通貨事業について「違法なことも、間違ったことも何もない」と述べ、自身の資産は大手機関が運用しており直接の関与は一切ないとして利益相反の批判を否定しました。ホワイトハウス報道官のアナ・ケリー氏も、大統領およびその家族がこれまで利益相反に関与したことはなく、今後もないとする声明を伝えています。

米国の連邦利益相反法(政府職員が自身の財務的利益に関わる公務に関与することを禁じる法律)では、行政府の職員に対する制限があるものの、大統領と副大統領については1989年の明文化により適用除外とされています。トランプ大統領はこの法的根拠を挙げ、自身の財務的利益に影響しうる意思決定から退く義務(回避義務)はないと主張しています。

ビットコイン課税への疑問と暗号資産への関与

トランプ大統領は、アンドルーズ共同基地からエアフォースワンで出発する前の取材において、ビットコインを従来の株式のような伝統的な投資商品と同様に課税すべきか疑問を呈しました。この発言は、暗号資産に対してより有利な税制上の扱いを模索している可能性を示唆するものと見られます。同時に大統領は株式市場を称賛し、その支援を再確認する姿勢も示しています。

また、トランプ大統領は就任前から暗号資産に関与していたと述べており、暗号資産を「大きな問題」と表現した上で、「我々は暗号資産とAIにおいてナンバーワンだ」と発言しました。大統領自身がこのように暗号資産の重要性を強調し、国家的な主導権を主張することは、今後の米国のデジタル資産政策に大きな影響を与える可能性があります。

暗号資産規制法案「クラリティー法案」の倫理条項を巡る与野党の交渉

今回のトランプ大統領の巨額な暗号資産収益の開示は、現在米議会で審議されている暗号資産規制法案「クラリティー法案(CLARITY Act:米国で審議されている、デジタル資産の規制枠組みを定める法案とされています)」の交渉に直接的な影響を及ぼしています。

民主党のウォレン議員は、上院で審議中の仮想通貨法案が大統領一家の利益取得を阻止するものでなければ「トランプ大統領の腐敗をさらに加速させるだけだ」と主張し、アルソブルックス議員も大統領や議員全員に適用される厳格な倫理条項の法制化が必要だと訴えました。これを受け、民主党はクラリティー法案に大統領らの利益取得を制限する倫理条項を明記することを強く求めています。

一方で、法案を積極的に推進してきた共和党のシンシア・ルミス議員は、クラリティー法案にはすでに強固な倫理条項が含まれていると説明しています。ルミス議員は、いかなる党派の議員も公職を利用して暗号資産から利益を得ることができないよう、ホワイトハウスや民主党と誠実な交渉を継続していると述べており、法案成立に向けた両党の調整が続けられています。大統領の個人収益の問題が、米国の暗号資産規制の行方を左右する重要な争点となっています。

ポイント

  • トランプ大統領の2025年度の資産開示報告書により、同氏の暗号資産関連収益が約12億ドル超に達していることが判明し、民主党議員から利益相反の批判が集まっています。
  • 大統領は「違法なことは何もない」と強く反論し、資産は大手機関が運用しており自身は直接関与していないと主張、連邦利益相反法における大統領の適用除外規定を根拠に挙げています。
  • トランプ大統領は、ビットコインを従来の株式のように課税すべきではないとの考えを示しており、将来的な暗号資産に対する税制のあり方に変化が生じる可能性の観点から注目されます。
  • この事態を受けて、米議会で審議中の暗号資産規制法案「クラリティー法案」における大統領らの利益取得を制限する倫理条項の明文化を巡り、民主党と共和党の間で交渉が続けられています。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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