ナスダック上場のAvalanche Treasury Corp(ティッカー:AVAT)が、継続企業の前提(企業が将来にわたって事業を継続できるという前提)に重大な疑義があることを米国証券取引委員会(SEC)に報告しました。同社の株価は直近1カ月で93パーセント下落し、同社が保有する暗号資産AVAX(アバランチのネイティブトークン)の価値も取得額の半分以下に減少しています。本件は、単一の暗号資産を財務資産として保有する企業モデルのリスクを浮き彫りにした事例として注目されています。
株価の急落と事業継続への重大な懸念
Avalanche Treasury Corpは、SECに提出した四半期報告書において、事業を継続する能力に重大な疑義があることを明らかにしました。同社の株価は6月初旬の10ドル超から急落し、6月29日には0.73ドル未満にまで落ち込んでおり、1カ月で約93パーセントの価値を失ったとされています。また、6月11日のナスダック上場初日の終値である1.85ドルと比較しても、約73パーセント下落したと報告されています。同社の経営陣は、第1四半期末の時点で既に事業継続について重大な疑義を抱いていたとされています。
AVAXの価値下落による巨額の評価損
同社は、財務資産(企業が保有する手元資金や資産)としてAVAXを保有する最大の公開企業とされています。特別目的買収会社(SPAC)との合併を経て今年6月に株式公開を果たしましたが、保有するAVAXの価値下落が財務を大きく圧迫しています。
同社はAVAXの取得に約2億6500万ドルを支払ったとされていますが、市場価格の下落に伴い、3月末時点での評価額は約1億2300万ドルと半額以下に減少しました。この評価損が主な原因となり、第1四半期に2600万ドルを超える純損失を計上したとされています。さらに、保有する1380万AVAXのうち約780万AVAXを融資の担保として差し入れているため、さらなる価格下落が起きた場合の担保割れリスクも指摘されています。
財務モデルへの影響と市場の懸念
今回の事態は、株式市場で資金を調達し、それを単一の暗号資産に投資して財務価値を高める「トレジャリーモデル」の脆弱性を示すものとされています。
同社が資金繰りの悪化や債権者からの要求により、保有するAVAXを市場で売却せざるを得なくなる(強制売却)可能性が懸念されています。仮に大量のAVAXが市場に供給された場合、AVAXの価格や市場のセンチメントに下押し圧力をかける可能性があります。ただし、これはAvalancheプロトコル自体の技術的な問題ではなく、企業の財務管理におけるリスクに起因するものと見られています。
ポイント
- ナスダック上場のAvalanche Treasury Corpが、SECに対し事業継続への重大な懸念(ゴーイングコンサーンの疑義)を報告しました。
- 同社の株価は直近1カ月で93パーセント下落し、ナスダックでの取引開始時の終値からも73パーセント下落しています。
- 約2億6500万ドルで取得したAVAXの評価額が半額以下の約1億2300万ドルに減少し、第1四半期に2600万ドル以上の純損失を計上しました。
- 保有する1380万AVAXのうち、約780万AVAXが融資の担保として差し入れられており、さらなる下落による強制売却リスクが懸念されています。
- 特定の暗号資産に依存する企業の財務モデル(トレジャリーモデル)のリスクを浮き彫りにした事例として、業界内で注目されます。