2024年の日本Web3市場 – 政府政策と大企業の動向 – そして2025年の展望

※当記事は、2024.12.23に公開された内容のアーカイブです。

はじめに

現在、日本はWeb3の舞台で新たな章を開こうとしています。暗号資産の規制において、早くから世界の先頭を走ってきたのが日本です。その取り組みは単なる法整備にとどまらず、新しい技術と社会をつなぐ橋渡しとして、国内外から注目を集めています。この流れはさらに加速しており、日本のWeb3を取り巻く環境は大きく進化を遂げつつあります。

世界がWeb3の可能性を模索する中、日本はどのような方向に進んでいるのでしょうか。どのような規制が制定され、事業者はどんな挑戦を続けているのか。そして、個人ユーザーや投資家は何を求めているのか。これらの問いに答えるため本記事では、「社会・政治」「事業者」「個人ユーザー」の3つの視点から、『2024年の日本におけるWeb3の最新動向』を紐解いていきます。

本記事は中華圏の大手Web3メディア「TechFlow 深潮」様にも掲載いただきました。

1. 社会・政治の動向

本セクションの項目

1-1. 石破茂新政権の誕生
1-2. 規制と税制の変化
1-3. 新たな法制度によるビジネス機会の拡大
1-4. 自治体におけるWeb3活用:東京都と大阪府の取り組み

1-1. 石破茂新政権の誕生

画像:日本経済新聞

2024年9月、自民党総裁選挙の結果、石破茂氏が新総裁に選ばれました。日本の制度では原則的に政権与党のトップが総理大臣になります。そのため、現在の与党である自民党総裁の石破氏が新しい日本のリーダーとして政権を担うことになりました。これまでも岸田政権のもと、日本のWeb3推進を主導してきた流れが、石破政権のもとでも加速することが期待されています。

画像:内閣改造の目玉に「Web3担当大臣」 平将明議員が語る国家戦略

特に注目されるのは、自民党web3プロジェクトチーム(web3PT)の座長として活躍してきた平将明議員の存在です。平議員は岸田政権下でWeb3分野の推進役を務めてきた中心人物であり、新政権ではデジタル庁の大臣に就任しました。この重要な役職への就任は、彼の発信力と政策決定への影響力をさらに高めるとみられています。

日本では、Web3技術が新たな経済成長の鍵として注目を集めており、規制や法整備の進展が求められてきました。石破政権の発足により、これまで以上に政策が前に進む可能性が高まっています。特に、Web3分野の法的な明確化や、国際的な競争力を高めるための取り組みが加速する見通しです。

1-2. 規制と税制の変化

法人の『期末時価評価課税』が対象外に

2024年度の大きな税制改革として、法人が保有する暗号資産に対する「期末時価評価課税」の適用除外が実現しました。従来、国内法人は暗号資産を保有するだけで含み益に対する課税リスクを負うため、多くの企業が国外法人を設立して事業を展開する状況にありました。この見直しにより、国内企業は含み益を気にすることなく暗号資産を保有し、事業活動に集中できる環境が整備されました。

日本における暗号資産規制の整備は、2017年の「資金決済に関する法律」の改正に端を発します。この法律によって、ビットコインなどの暗号資産が支払手段として認められ、法定通貨とは異なるデジタル資産として位置付けられるようになりました。その後、2020年にはICO(Initial Coin Offering)やSTO(Security Token Offering)が「金融商品取引法」に基づいて規制され、投資家保護を目的とした基盤が整備されました。さらに2023年には、ステーブルコイン(法定通貨と価値が連動する暗号資産)に関する規制が導入され、Web3分野の法制度が着実に進化してきました。

しかし、税制に関しては長年議論が進まず、特に法人の暗号資産保有に関する税制は日本のWeb3産業の発展を左右する課題として長年議論されてきました。これまでは法人が暗号資産を保有する場合、その含み益が課税対象となる「期末時価評価課税」が適用されていました。この制度は、暗号資産の価格変動リスクを考慮せずに課税される仕組みで、多くの企業にとって財務的な負担を強いるものでした。そのため、国内で事業を展開したい事業者は、国内で暗号資産を保有することを敬遠し、国外法人を設立して事業を展開するという事例が多発していたのです。

今回の税制改正により、国内でのトークン発行や資金調達が増加することが期待されています。特に、スタートアップ企業や新規参入を検討する企業にとって、日本がより魅力的な市場となる可能性が高まっています。

個人投資家の税制課題と今後の展望

一方で、個人投資家を対象とした税制には依然として多くの課題が残っています。現行制度では、個人の暗号資産売買益は「雑所得」として総合課税されており、最高税率は55%に達します。この税負担の重さと申告の煩雑さが、多くの個人投資家にとって大きな障壁となっています。

与党自民党のWeb3プロジェクトチーム座長である平将明議員は、2024年8月のカンファレンス「WebX2024」において、個人投資家に適用される税制の問題点を指摘しました。同議員は、税制を金融所得と同様に20%の申告分離課税へ移行させる必要性を強調しており、この改革が実現すれば、個人投資家の負担軽減に加え、国内市場の活性化につながると見込まれています。

この税制改革の議論が進む中、政府と金融庁の動きに注目が集まっています。いくつかの報道によると議論は着実に進んでいる様子です。もし個人投資家の税制改正が決まれば、国内のリテール投資家層の拡大と、暗号資産市場全体の成長が見込まれるでしょう。

金融庁の規制スタンスの変化

画像:ShutterStock

これまで投資家保護を理由に厳しい規制を敷いてきた金融庁ですが、2024年には規制スタンスに変化が見られました。同庁は、暗号資産を「金融商品取引法」の対象とする再分類を検討しています。この動きは、暗号資産を法律上の「金融商品」として位置付ける可能性を示唆しており、これが実現すれば、以下のような重要な変化が期待されます。

税制改革の加速

暗号資産が金融商品とみなされることで、税制の整理が進み、個人投資家や企業が直面する税負担が軽減される可能性があります。

❷ビットコインETFの導入議論

再分類により、暗号資産を対象とする金融商品が整備される道が開け、ビットコインETFの導入が現実味を帯びてきます。これにより、伝統的な金融市場と暗号資産市場の統合が進み、個人・機関投資家の参加が増えるでしょう。

さらに、金融庁は暗号資産を用いたゲーム内トークンの規制緩和も検討しており、ゲーム企業がトークンを活用しやすい環境作りに取り組んでいます。このような政策変更は、暗号資産ビジネスの成長を後押しし、日本のWeb3産業を国際的に競争力のあるものへと発展させる可能性を秘めています。

1-3. 新たな法制度によるビジネス機会の拡大

合同会社型DAOの設立解禁

2024年4月22日、日本において合同会社(LLC)型のDAO(分散型自律組織)の設立が解禁されました。この法改正により、DAOが日本国内で正式な法人格を持ち、契約の主体として機能したり、不動産を所有したりすることが可能になりました。自民党が2023年に発表した「Web3ホワイトペーパー2023」において提案されたこの取り組みは、異例のスピードで実現し、国内外のブロックチェーン業界から注目を集めています。

合同会社型DAOの設立に向けては、いくつかの法的課題がありました。その中でも特に重要だったのが「社員権トークンの取り扱い」と「社員情報の公開義務」でした。「社員権トークンの取り扱い」については、DAOが発行するトークンの一部が「収益を分配しないトークン」や「業務執行社員が保有するトークン」として認定されることで、金融商品取引法上の二項有価証券として扱われるようになりました。「社員情報の公開義務」については、今回の制度改正により、DAOにおいては社員情報の非公開が認められるようになりました。

合同会社型DAOの設立が可能になったことで、地域活性化プロジェクトやスポーツ・エンタメ分野でのコミュニティ主導プロジェクトでの活用が期待されています。

LPSのトークン取得を認める法改正の閣議決定

2024年2月、経済産業省が「投資事業有限責任組合(LPS)」における暗号資産の取得を可能にする法改正案を閣議決定しました。この改正により、従来は株式や債券など伝統的な金融商品を中心に扱っていたLPSが、トークンの取得・保有にも対応できるようになります。

従来、日本のLPSは暗号資産を対象とした出資を行うことが認められておらず、国内Web3プロジェクトは資金調達を海外のベンチャーキャピタル(VC)に依存する傾向がありました。この法改正により、資金調達の多様化や国内市場の活性化が期待されます。

改正案は現在国会で審議中ですが、成立すれば2025年以降に国内VCによるトークン投資が本格化する見通しです。

1-4. 自治体におけるWeb3活用:東京都と大阪府の取り組み

日本では、地方創生にWeb3技術を活用することが積極的に模索されています。自治体レベルでも多くの都市が独自の取り組みを行っていますが、ここでは東京都と大阪府の2024年現在の取り組みの一部をご紹介します。

東京都 – 先進的な事例が続々

画像:FC東京オフィシャルホームページ

東京都では、Web3技術を活用した地方創生が進んでいます。三鷹市とFC東京の「ふるさと納税NFTプロジェクト」では、ふるさと納税の返礼品としてFC東京とのコラボによる限定NFTデジタルアートを提供。スポーツファンや地域住民が三鷹市に貢献しながらNFTを楽しむ新しい納税の形を実現しています。一方、「青ヶ島DAOプロジェクト」では、東京都の離島・青ヶ島をDAO化し、住民の意見や参加を重視した地域運営を目指し、地域資源の活用と共に持続可能な未来を模索しています。また、奥多摩市では観光資源を守るため、トークンを活用したクラウドファンディングが行われています。古民家レストランやホテルの開業資金をトークンで調達し、地域活性化に関心を持つ人々が、彼らを資金面でサポートできる環境を提供しています。これらの事例は、Web3が地域社会にもたらす新たな価値を示す好例です。

大阪府 -万博がデジタル社会発展の追い風に

2025年に万博開催を控える大阪府では、「EXPO 2025 デジタルウォレット」を中心に、Web3技術を活用した先進的な取り組みが進行中です。このデジタルウォレットは、キャッシュレス決済やNFTの取得、ポイントの獲得など、万博会場や関連施設での多様な体験を提供し、キャッシュレスな大阪万博の実現を目指しています。

画像:EXPO2025

これを基盤とし、2024年4月には万博会場周辺で楽しめる飲食店スタンプラリーNFTもリリース。利用者は訪問した飲食店のデジタルスタンプを集めて楽しむことができます。また、大阪市博物館機構も万博に向けてNFTを活用したデジタルスタンプラリーを2024年11月より実施。博物館巡りをデジタルの力で盛り上げます。また、大阪府羽曳野市は2024年10月、近畿地方で初めてデジタル住民票NFTの販売を開始しました。購入者は市内の焼肉店や体験施設で無料サービスや割引などの特典を受けることが可能です。このように、大阪府では万博を契機にWeb3技術を活用し、地域活性化とデジタル社会の発展を図る動きが見られます。

2. 事業者の動向

本セクションの項目

  • 2-1. 金融業界
  • 2-2. ゲーム業界
  • 2-3. 不動産業界
  • 2-4. モビリティ業界
  • 2-5. 電力業界
  • 2-6. 環境業界
  • 2-7. 通信業界
  • 2-8. 食品業界
  • 2-9. アパレル業界

2-1. 金融業界

ソニー銀行:Web3技術を活用した様々な取り組みを開始

2024年、ソニー銀行はWeb3技術を活用した複数の取り組みを発表し、金融とエンターテインメントの融合を進める方針を打ち出しました。4月には、エンターテインメントIP(知的財産)を裏付けとするデジタル証券の開発を開始しました。これにより音楽や映画、ゲームなどのコンテンツを資産として活用して、デジタル証券を発行できる新しい金融商品の提供を目指しています。また、法定通貨を裏付けとするステーブルコイン発行の実証実験にも着手し、ブロックチェーン基盤のウォレット開発を進めています。これにより、Web3経済圏での利活用拡大が期待されています。

さらに、7月にはWeb3エンターテインメント向けアプリ「Sony Bank CONNECT」をリリースしました。このアプリは、ソニーグループが運営するNFTマーケットプレイス「SNFT」と連携し、ユーザーが保有するNFTコレクションを閲覧・管理可能にします。NFTをホーム画面に表示する機能や、3Dギャラリー「Rooms」での展示機能を備え、エンターテインメント体験を強化しました。

画像:web3エンターテインメント領域向けアプリを2024年夏リリース 新サービス名称 Sony Bank CONNECT(ソニーバンク・コネクト)に決定

これらの取り組みは、エンタメ分野におけるソニーグループの強みを活かしつつ、Web3の可能性を探るものでした。ソニー銀行はWeb3技術を通じて、従来の金融サービスを超えた新しい価値を提供し、個人が統合的に楽しめる「金融×エンターテインメント」の複合産業を構築するビジョンを描いています。

2-2. ゲーム業界

ソニー:Web3本格参入が国内外で話題に

日本のWeb3業界全体として注目を集めたのが、ソニーグループとStartaleの合弁会社「Sony Block Solutions Labs」によるレイヤー2ブロックチェーン「Soneium(ソニューム)」の発表です。同社は2023年9月に設立され、ソニーとStartaleの技術力を結集してパブリックブロックチェーンを共同開発。Web2とWeb3を融合した使いやすいプラットフォームを提供し、ブロックチェーンの大衆化(マス・アダプション)を目指しています。Soneiumは、Web3ソリューションの提供だけでなく、ソニーの既存事業との連携やクリエイター支援を強化。権利保護や利益還元を重視した仕組み作りにも取り組んでいます。この発表を機に関連プロジェクトも活発化。8月にはYGG JapanがSoneiumに接続するゲーム特化型レイヤー3チェーン「YAIBA」を発表し、Web3ゲーム開発を支援する環境整備を進めています。

スクウェアエニックス:SuiPlayとの提携

2024年9月に開催されたコリアブロックチェーンウェークで、Suiを開発するMysten Labsからサプライズ発表がありました。同社がリリースするポータブルWeb3ゲーム機「SuiPlay」と日本の大手ゲーム開発会社スクウェアエニックスの提携を発表しました。SuiPlayは、シンプルかつスケーラブルなブロックチェーン技術を活用し、従来のゲーム開発とWeb3の融合を容易にするプラットフォームです。提携内容などの具体的な内容は明かされませんでしたが、この動きは、伝統的なゲーム市場においてWeb3の可能性を示すものとして業界全体の注目を集めています。

double jump.tokyo:セガのIPを活用した三国志大戦シリーズの開発を発表

画像:double jump. tokyoがAltLayerの技術を活用したL2ブロックチェーン「SG Verse」を構築、セガ『三国志大戦』のIPを活用した新作ブロックチェーンゲームで採用

double jump.tokyoは、東京ゲームショウ2024にて、セガのライセンスを受けた新作ブロックチェーンゲーム『魁 三国志大戦 -Battle of Three Kingdoms-』の開発を発表しました。本作はセガの人気タイトル「三国志大戦」の世界観をベースに、NFT技術を活用したゲームプレイ体験を提供する予定です。

2-3. 不動産業界

NOT A HOTEL:55億円の資金調達で事業拡大

画像:X( https://x.com/notahotel_inc/status/1859507038524424341 )

NFTの活用が進む不動産業界で注目される「NOT A HOTEL」は、シェア別荘を軸にした革新的なビジネスモデルを展開しています。ユーザーは物件を1棟購入するか、年10日や30日単位でシェア購入する形で保有可能です。同社は2024年、約55億円を調達し、国内外で新たな拠点を拡大。特に観光地やリゾート地に注力し、外国人投資家や旅行者への販売を進めています。

画像:NOT A HOTEL COIN、RWA(現実資産)で日本初となるIEO※1、本日10月31日より購入申し込み開始。ホワイトペーパーと新Webサイトも同時公開

さらに、10月には独自トークン「NAC」をIEOでローンチ。NAC保有者はトークンを利用して宿泊予約や貸出が可能で、宿泊権を報酬として得る仕組みも導入されています。また、「NOT A HOTEL DAO」に参加することで、拠点選定や運営方針の決定にも関与可能。NACはユーザー参加型エコシステムの基盤として期待されています。

2-4. モビリティ業界

トヨタ・ブロックチェーン・ラボ:スマートアカウントによる車の使用権トークン化を検討

2024年、トヨタ・ブロックチェーン・ラボ(TBL)は、車に関する権利をトークン化し、「スマートアカウント」として設定することで、さまざまな自動車サービスにアクセス可能になる構想を発表しました。

このスマートアカウントは、従来のアカウントとは違い、イーサリアムのERC-4337標準に基づく「モビリティ指向アカウント(MOA)」を活用しています。MOAによりアカウントの抽象化を行い、認証プロセスを鍵の管理から切り離し、ユーザーが万が一秘密鍵を紛失してもアカウント自体は保持されるため、より安全で柔軟なアカウント管理が可能になるとしています。

ユーザーはスマートフォンのアプリなどを使用して、鍵の開錠などの操作を行います。これにより、さまざまな操作に関する権限を任意に付与することが可能になります。例えば、すべての操作権限を付与することも可能ですし、有効期限付きでトランクの開錠・施錠に関する権限を付与したり、デジタル処理で車の使用権の管理が可能になるため、カーシェアリングなどのサービスの実現にも役立つと考えられます。

トヨタは、2023年4月に「トヨタモビリティコンセプト」を発表しており、最終段階の「モビリティ3.0」では、モビリティと社会システムの融合を目指しています。今回のスマートアカウント構想もその一環であると考えられ、パブリックブロックチェーンが、トヨタモビリティコンセプトを実現するための有力な選択肢になる可能性を秘めていると言えるでしょう。

KINTO:安全運転ドライバーにNFTの証明書を発行

株式会社KINTOはトヨタ自動車と協力し、サブスクリプション車両から収集した運転データを分析し、安全運転と認定されたドライバーに対して、譲渡不可能なNFTである「ソウルバウンドトークン(SBT)」の証明書を発行する実証実験を開始しました。 この取り組みは、モビリティ業界で初めての試みであり、ブロックチェーン技術を活用して安全運転の証明を永久に記録することを目指しています。将来的には、これらの証明を基に、各種モビリティサービスをよりリーズナブルに利用できるスキームの構築も検討されています。この取り組みは、安全運転の促進とモビリティ社会の発展に寄与することが期待されています。

2-5. 電力業界

東京電力パワーグリッド:電力インフラを撮影するモバイルゲームアプリの実証実験を開始

画像:X( https://x.com/pictree_dea/status/1764538716415279119 )

東京電力パワーグリッドは、Greenway Grid GlobalおよびDigital Entertainment Assetと共同で、ゲームアプリ「PicTrée(ピクトレ)」を用いた実証実験を開始しました。このアプリは、ゲームを通じてユーザーが電柱や電力インフラの写真を撮影し、それを用いて対戦します。これはユーザーが遊びながら地域のインフラ維持や設備異常の早期発見に繋がることが期待され、単なる娯楽を超えた社会的価値を生み出すことを目指しています。

2-6. 環境業界

Klima DAO Japan:ReFiプロジェクトが日本でカーボンクレジット取引の取り組みを開始

画像:KlimaDAOの日本法人「KlimaDAO JAPAN(クリマダオジャパン)」が設立:Web3・ブロックチェーンで気候変動対策を変革

2024年、KlimaDAOは日本法人「KlimaDAO Japan」を設立し、公的カーボンクレジット「J-クレジット」をトークン化するマーケットプレイスの開発を進めました。4月には、企業や個人が参加可能な日本仕様のプラットフォームの提供を目指し、温暖化ガス削減への新たな参加機会を創出しました。

11月19日には「KlimaDAO JAPAN MARKET」の実証実験を開始しました。Polygonブロックチェーン上でJ-クレジットをトークン化し、取引の流動性や透明性の向上を図ります。この実証実験には、みずほフィナンシャルグループやオプテージなど複数の企業が参加し、2025年春の一般公開を予定しています。これらの取り組みは、日本のカーボンクレジット市場の課題解決と、気候変動対策への貢献を目指すものとして注目を集めています。

2-7. 通信業界

ドコモ:Web3対応ウォレットをリリース

画像:みんなのデジタルウォレット scramberry WALLET を提供開始

NTTドコモは2022年に設立したWeb3推進子会社「NTT Digital」から、Web3対応ウォレット「scramberry WALLET」をリリースしました。ユーザーは電話番号のみでスムーズに登録でき、ウォレットデータはクラウドに保存され、バックアップ機能により簡単に復元可能です。また、セキュリティ面では、取引の少ない暗号資産やNFTを除外できるフィルタリング機能も備えており、安全性も高められています。

KDDI:アニモカブランズと連携

画像:Animoca Brands JapanとKDDI、Web3分野での事業連携を開始

KDDIは、Animoca Brands Japan(Animoca Brandsの日本法人)と連携し、ブロックチェーンゲーム『PHANTOM GALAXIES』のNFTを、KDDIのNFTマーケットプレイス「αU market」で2024年3月から販売しました。この連携により、通信業界とWeb3の結びつきが強まり、NFTを活用した新しいビジネスモデルが構築されています。

2-8. 食品業界

サントリー:NFT付きビールを発売へ

画像:サントリー、NFTつきビール発売──アバランチブロックチェーンを採用

サントリーはAvalancheを活用し、NFT付きビール「ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム〈山崎原酒樽熟成〉2024」を発売しました。 この限定ビールは、山崎蒸溜所のモルトウイスキー原酒に使用した木樽で熟成され、ボトルにはNFC(近距離無線通信)タグが搭載されています。消費者がキャップの封を開けると、NFCが検知し、消費の証明としてユニークなデジタルコレクターズアイテムとなるNFTを受け取ることが可能です。この取り組みは、顧客ロイヤリティの向上を目的としており、限定商品の購入体験にプレミアムな価値を付加しています。

カルビー:「じゃがりこ」と「かっぱえびせん」が人気web3ゲームに登場!

画像:国内食品メーカー初の試み! 「じゃがりこ」と「かっぱえびせん」が人気web3ゲームに登場!2024年9月11日(水)より各ゲームからコラボレーションアイテム(NFT)を順次発売

カルビーは、国内食品メーカーとして初めて、Web3ゲームとのコラボレーションを発表しました。同社の人気商品「じゃがりこ」や「かっぱえびせん」をテーマにしたNFTアイテムを、Web3ゲーム「CryptoSpells」「JobTribes」「HEAL-Ⅲ」の3タイトルで順次販売します。これにより、バーチャルとリアルを融合させた新たなファンコミュニケーションの形を提案しています。

2-9. アパレル業界

カシオ計算機:「VIRTUAL G-SHOCK」と「STEPN GO」のコラボレーション

画像:X( https://x.com/CASIOJapan/status/1826514893668831469 )

カシオ計算機は、バーチャル空間を活用した新たなコミュニケーションプロジェクト「VIRTUAL G-SHOCK」を通じてWeb3ユーザーに向けて積極的にマーケティングを行いました。同プロジェクトでは、Web3ライフスタイルアプリ「STEPN GO」とのコラボレーションを実施し、Z世代を中心とした若年層のユーザーとの接点を強化しています。この取り組みは、時計やアパレル業界におけるWeb3の可能性を示しています。このような動向は、デジタル時代におけるブランド戦略の一例となるでしょう。

3. 個人ユーザー・個人投資家の動向

本セクションの項目

  • 3-1. 国内取引所の口座開設数の推移
  • 3-2. 2024年に注目された国内サービス

3-1. 国内取引所の口座開設数の推移

2024年の日本国内暗号資産取引所における口座開設数は、オンチェーンデータを元にした推定から、引き続き拡大傾向にあると見込まれています。

画像:Dune(https://dune.com/gussan_0214/japanesecentrlizedexchangesuserfeature)

こちらは、Dune Analyticasで作成されたダッシュボードで、国内主要取引所であるCoincheck、bitbank、bitFlyerの外部アドレスに送金されたユニークアドレス数を抽出しています。オンチェーンデータのよると2024年1月時点の3社合計が356917アドレス、2024年11月時点の3社合計が408039アドレスです。このデータを元に、2024年の国内取引所口座数の推移を推定してします。

外部アドレスに送金されたユニークアドレス数を口座数全体の20%、Coincheck、bitbank、bitFlyerの口座数が3社が市場シェアの60%と仮定した場合、2024年11月時点での国内取引所の総口座数は約340万口座に達すると推定されています。同様に2024年1月時点での推定口座数を計算した場合、約297万口座になるため、2024年の新規開設数は42.6万口座に上ると見込まれます。

この記事を執筆時点で、2024年は2ヶ月ほど残しているものの、現在の増加ペースは例年と比較しても同等の推移であると判断できます。順調に国内取引所の口座数は増えており、今後も暗号資産を保有する個人投資家は増えていくであろうと予想されます。

3-2. 2024年に注目された国内サービス

SNPIT(スナップイット)

画像:無料で始められて、撮るだけで稼げる! 家族で楽しむ人も多いブロックチェーンゲーム「SNPIT」の魅力とは?

2024年、写真撮影をテーマとしたユニークなGameFiモデルで「SNPIT」が注目を集めました。プレイヤーは、アプリ内でカメラNFTを保有してスマートフォンで写真を撮影し、投票を受けることでトークンを獲得できます。この仕組みはSNS要素を活用し、コミュニティの活性化に成功しました。NFTを活用して撮影アイテムを提供し、クリエイター層やコレクター層を巻き込んだ経済モデルも高く評価されました。SNPITは「モバイルアプリ×Web3ゲーム」を象徴する存在として、新たな可能性を提示しました。

コインムスメ

画像:ブロックチェーンゲーム「コインムスメ」が11月22日にリリース決定&リリース記念ガチャを開催!ゲームリリース後の開発ロードマップを公開!

「コインムスメ」は仮想通貨を擬人化したアイドルキャラクターが登場するブロックチェーンゲームです。2024年12月に全機能リリースされました。プレイヤーはキャラクターを使った非リアルタイムの対人バトルを行い、獲得ポイントで仮想通貨相場を予想し、結果に応じてトークンを得る仕組みです。ゲームリリース前から積極的にマーケティングを行っており、ゲームギルド企業「IGG」、バーチャルワールドを提供するプラットフォーム「Yay!」、日本円ステーブルコインを提供する「JPYC」など様々なWeb3プロジェクトとコラボレーションを実施し話題になりました。

Brilliantcrypto

画像:Briliantcryto公式

2024年、「Briliantcryto」は宝石や輝石を採掘する日本発のGameFiプロジェクトとして注目を集めました。プレイヤーは採掘を通じてBRILトークンを獲得し、このBRILを使ってつるはしや宝石などのNFTアイテムを購入、ゲーム内の効率を高めながらレベルアップを楽しめる仕組みです。日本の大手暗号資産取引所コインチェックでのIEOが個人投資家の注目を集め、GameFi愛好者の間で話題となりました。2024年の国内GameFiを象徴するタイトルの一つです。

Yay!

画像:Yay!、Web3機能概要とエアドロップサイト公開 8月28日よりステーキング開始へ

SNSアプリ「Yay!」は、2024年にWeb3領域での展開を本格化し、注目を集めました。900万人以上のユーザーを抱えるこのプラットフォームは、趣味を共有するコミュニティ形成の場を提供しています。特に、8月に開始された「Yay! ステーキングキャンペーン」は、Web3エコシステム強化の大きな一歩となりました。ユーザーはイーサリアムをステーキングすることで、ゲーム内で利用可能なNFT「Yay! Pal」を供給し、ユーティリティトークン「EMPL」を獲得できる仕組みが導入され、Web2ユーザーを巻き込んだマスアダプションへの期待が高まりました。さらに、ガバナンストークン「YAY」を用いた意思決定や、流動性ステーキングプロトコル「StakeStone」との提携により、多様な報酬が提供される新しいトークノミクスが話題になりました。

FiNANCiE

画像:『ホリエトークン』爆誕。堀江貴文氏がFiNANCiEにて新プロジェクトを発足!マーケット公開に向け、本日18時よりコミュニティを先行公開中

FiNANCiE(フィナンシェ)は、誰もが独自のトークンやコレクションカードを発行できるプラットフォームです。1月に日本の有名インフルエンサーイケハヤ氏のキャラクターIPのトークンをFiNANCiEでリリースしたことをきっかけに数多くの国内インフルエンサーが自身の企業トークンやコミュニティトークンを発行しました。特に2024年は堀江貴文やYouTubeチャンネル『令和の虎』に出演している社長などビジネス系インフルエンサーがFiNANCiEで自身のトークンを発行し話題になりました。

総括:課題と可能性が交錯する日本のWeb3産業

2024年の日本のWeb3産業を俯瞰すると、進展と課題の両面が浮き彫りになった一年だったと感じます。規制整備の進展や新たなプロジェクトの登場といった明るい話題がある反面、個人投資家の参入障壁や、グローバルで認知があるWeb3プロジェクトが日本から登場していないといった根深い課題も残されている現状が見受けられました。

特に、暗号資産市場が盛り上がりに欠ける点については、税制の厳しさが市場の成長を抑制しているという指摘が核心を突いています。韓国が税制の優遇を活かしてリテール市場を活性化させている事例と比較すると、日本の税制改革の遅れが大きな機会損失を生んでいるように思えます。この点は、グローバル競争力を高める上でも早急に対応が求められる分野だと感じます。

また、ブロックチェーンのビジネス活用への理解が進んでいないという点も大きな課題です。Web3領域に革新的な魅力はあると認識はしているものの、それをどのようにビジネスとして活用すればいいのか、具体的な手触り感を持っている事業者はまだまだ少ないように感じられます。ここに課題が残ることで、Web3参入に慎重になっている企業も少なくありません。

技術的な競争力不足についても、依然として世界的に認知されるWeb3プロジェクトがない現状を考えると大きな課題であるように思います。日本が国際市場で存在感を示すには、業界一丸となって開発者の育成や支援を進めていく必要があるでしょう。

それでもなお、筆者は日本には可能性が多くあると思っています。規制整備が進み、地方創生プロジェクトや企業による挑戦が着実に進む中、2025年の大阪万博はその成果を世界に示す絶好の機会であり日本のWeb3市場全体が拡大する好機だと捉えています。

Pacific Metaはそんな日本市場と海外のWeb3事業者様をお繋ぎする架け橋として皆さまをサポートいたします。専門知識を活かした資金調達/コンサルティング/事業開発/マーケティングを一気通貫でご支援いたします。日本市場へ展開をお考えの方、お気軽にご相談ください。

TechFlow 深潮について

TechFlowは、中国の暗号資産市場においてトップクラスのコンテンツメディアとして広く認識されています。高品質なコンテンツと優れたユーザーベースを持ち、毎月数百万人の中国語話者がその情報を活用しています。 Binance、OKX、Bitget、Monad、Berachain、Solana、Suiなど、世界有数の暗号資産プロジェクトが中国市場に進出し、現地リソースとの連携を実現するサポートを行っている中華圏メディアです。

Pacific Metaについて

Pacific Metaは「Web3領域のアクセラレーター」として、国内外のWeb3プロジェクトを一気通貫で支援している会社です。

Web3事業に挑戦する国内外の企業やプロジェクトに対して、Web3の専門知識を活かした資金調達/コンサルティング/事業開発/マーケティングの支援や、グローバルチームであることを活かした国内プロジェクトの海外進出、海外プロジェクトの日本(および東アジア)進出を支援しております。

【会社概要】

  • 所在地:東京都港区芝2-2-12 浜松町PREX8階
  • 代表者:代表取締役社長 岩崎 翔太
  • 創業日:2022年8月10日
  • 事業内容:Web3アクセラレーター事業
  • 資本金:1.5億円(資本準備金含む)
  • 公式サイト: https://pacific-meta.co.jp/

【お問い合わせ】

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

Pacific Metaマガジン編集部は、ブロックチェーン領域を中心に、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン、NFTなどのトークン活用を専門とする編集チームです。Web3・ブロックチェーン領域に特化したコンサルティングファームである株式会社Pacific Metaが、国内外41カ国・150社以上のプロジェクトを支援してきた知見をもとに、記事の企画・監修を行っています。

ビジネスでの活用から個人の学びまで、ブロックチェーンやトークンに関する情報を、最新動向と実務でのナレッジを踏まえてわかりやすくお届けします。編集部や事業内容の詳細は、公式サイトをご覧ください。

レポート
ブロックチェーンマガジン by Pacific Meta