政策ドライバー、金融インフラ、実物資産(RWA)のトークン化、そして国際企業のコスト削減――今週は「既存ビジネスとWeb3の距離」が一気に縮まった一週間でした。
与党提言による税制・監督体制の改革が見えてきた今、日本企業は「まだ早い」ではなく「次の手を考える時期」に入っています。
本号では、法規制の壁が緩む兆しと海外金融機関の実装動向を軸に、経営層が次に取るべきアクションを具体的に提案します。
Pacific Meta(パシフィックメタ)では、Web3やブロックチェーンを活用した事業の構想・戦略策定を伴走支援しています。
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今週のピックアップニュース
今週、Pacific Meta マガジン編集部が注目したのは、日本のWeb3政策の転換点となりうる政府・与党の動きと、世界で加速する金融・決済、そしてエンターテインメント分野でのブロックチェーン実用化を示す5つのニュースです。
これらの動きが、貴社の事業にどのような影響を与え、いかなる好機をもたらすのか、深掘りしていきます。
① 自民党が「提言2025」提出、暗号資産を見据えた金融庁の体制強化を要望

自民党の金融調査会(片山さつき会長)は6月3日、ブロックチェーンなど新技術の健全な利活用促進と利用者保護の両立を図るための政策提言「提言2025」を石破茂首相に提出しました。
提言では暗号資産取引益への申告分離課税の検討など税制整備や、金融庁の組織体制強化(「抜本的な組織拡充」)が盛り込まれ、国内Web3産業の環境整備を促進するとしています。
■ パシメタ編集部のコメント
今回の提言で注目すべきは、「金融庁の抜本的な組織拡充」と「暗号資産取引益への申告分離課税」という二つの具体的な要求です。
これは、政府・与党がWeb3を国家戦略の柱の一つとして本格的に推進する「本気度」の表れに他なりません。
これまで日本のWeb3業界は、重い税負担や不明瞭な規制を嫌気した有望なプロジェクトや人材の海外流出という深刻な課題を抱えていました。
今回の提言が法改正や予算措置に繋がれば、この流れを反転させ、国内でのWeb3事業を強力に後押しするゲームチェンジャーとなり得ます。
② 配車サービス大手ウーバー、国際送金コスト削減に向けステーブルコイン導入を検討中

ウーバーのCEOが6月5日のステージで、国際送金コスト低減のためステーブルコイン活用を研究段階で検討中と発言。
「間違いなく検討する」との姿勢を示し、価値の保存手段以外の多用途性を評価しています。
決済大手Stripeや銀行も同様に関心を寄せています。
■ パシメタ編集部のコメント
Uberのようなグローバルプラットフォームがステーブルコイン導入を検討している事実は、Web3技術がBtoCサービス、特にクロスボーダー決済の領域で巨大なインパクトをもたらす可能性を示唆しています。
世界中のドライバーへの報酬支払いや、国境を越えるサービス利用料の決済において、既存の銀行システムが抱える手数料の高さや送金スピードの遅さは長年の課題でした。
ステーブルコインは、この課題を解決する有力なソリューションとなり得ます。
Pacific Meta(パシフィックメタ)では、最新のWeb3トレンド解説や年間レポートなど、様々な"お役立ち情報"を発信しています。
ぜひ、日々のWeb3やブロックチェーンに関する情報収集にお役立てください。

③ ドイツ銀行、独自ステーブルコイン発行やトークン化預金を検討と表明

ドイツ銀行はデジタル資産戦略の一環として、独自のステーブルコイン発行や業界全体でのステーブルコイン取り組みへの参加を検討していることを明らかにしました。
Bloombergの取材に対し、デジタル通貨部門責任者は「決済効率化を目的にトークン化預金システムの開発も検討中」であるとコメントしています。
米JPモルガンなど大手銀行が合同でステーブルコイン発行を模索する動きもあるため、伝統的金融機関によるデジタル通貨活用が世界的トレンドになりつつあります。
■ パシメタ編集部のコメント
世界有数のメガバンクであるドイツ銀行が、ステーブルコインの発行やトークン化預金という、より踏み込んだ領域へ舵を切ったという事実は極めて重要です。
これは、ブロックチェーン技術が単なる投機対象ではなく、金融システムの根幹を担う決済インフラとして、伝統的金融機関に不可逆的に組み込まれていくプロセスが始まったことを意味します。
特に注目すべきは「トークン化預金」です。
これは、銀行預金そのものをブロックチェーン上でプログラム可能なデジタル資産として扱う構想であり、実現すれば、企業間決済、サプライチェーンファイナンス、貿易金融などの在り方を根底から覆すポテンシャルを秘めています。
④ RWAトークン市場、2025年に260%成長|企業が仮想通貨規制を受け入れ拡大

2025年前半、現実世界資産(RWA)トークン市場が260%以上成長し、評価額は86億ドルから230億ドル超に拡大。トークン化されたプライベートクレジットと米国債が主導。SECのステーキング指針やGENIUS法など規制の進展が背景です。
■ パシメタ編集部のコメント
自社で不動産や未公開株式、知的財産権といった資産を保有する企業にとって、RWAのトークン化は新たな資金調達手段や資産流動化の選択肢となり得ます。
例えば、自社保有の不動産をトークン化し、STO(セキュリティ・トークン・オファリング)を通じて国内外の投資家から直接資金を調達するといったシナリオが考えられます。
⑤ リアル×デジタルで推し活支援、コミュニティ型ゲーム「Community Wars」で大型コラボ

シンガポール拠点のブロックチェーンゲーム企業DEA社は、スマホゲーム「Community Wars」において人気アイドルグループ「WHITE SCORPION」(総合プロデュース秋元康氏)とのコラボイベントを6月22日から開催すると発表しました。
ゲーム内イベント「コミュニティバトル」の一環として行われ、プレイヤーのゲーム内活動がアイドルメンバーの「叶えたい夢」(100万円相当)の実現を直接後押しする仕組みです。
限定NFTアイテムや撮り下ろし動画が報酬として提供され、ファン参加型の“推し活”体験を打ち出しています。
■ パシメタ編集部のコメント
このニュースは、Web3が金融や不動産といった領域だけでなく、日本のエンターテインメント、特にIP(知的財産)ビジネスにおいて、いかに強力な武器となり得るかを示す好例です。
ファンがゲームをプレイするという「楽しみ」が、直接的に「推し」の活動支援に繋がるという設計は、従来のグッズ購入やライブ参加とは次元の異なる、新しいファンエンゲージメントの形を提示しています。
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週間ダイジェスト
- 「もりうさNFT」5.3億円取引の熱狂、コインチェック上陸!IP×NFT成功モデル確立か — 強力なIPと熱狂的なファンコミュニティがNFT市場の停滞を打破する成功事例の確立
- IOST、2100万ドル調達でRWAトークン化を日本市場へ本格展開!JVCEA承認の強み活かす — 海外ブロックチェーン基盤が日本市場をRWA分野の重要拠点と位置付け、本格参入
- サークルがNYSEに上場。初値から20%上昇、終値は公開価格の約3倍に — ステーブルコイン発行企業のIPO成功による、Web3ビジネスの社会的信用の獲得
- 〖地方創生✕物価高対策〗茨城・八千代町の「無限フルーツチケット」が注文殺到で早期完売!転売も町の収益になる応援に — NFT活用による「デジタル関係人口」創出と持続可能な地域貢献モデルの実証
- ウィンクルボス兄弟率いる仮想通貨取引所ジェミナイがIPO申請 サークルに続く上場ラッシュか — 暗号資産関連企業のIPO申請が相次ぎ、業界の資本市場へのアクセスが本格化
- ユガ・ラボ、エイプコインDAOの解体と新組織「ApeCo」への移行を提案 コミュニティは賛否分かれる — 大規模DAOが直面するガバナンスの課題と、中央集権的組織への移行という解決策の模索
まとめ
日本政府の後押し、欧州メガバンクの実装、RWA市場の爆速成長、そしてグローバル企業のコスト削減ニーズ――Web3は既に“実験”から“事業改善”の段階にシフトしています。
法改正の動きを待つだけではなく、社内でのガバナンス整備・小規模PoC・パートナー探索を同時進行し、今後の本格展開に備えましょう。
Pacific Meta(パシフィックメタ)では、「Web3・ブロックチェーン領域」で挑戦されている国内外の企業様を、事業の戦略立案から実行までを一気通貫で支援しています。
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