今週、世界のWeb3業界に激震が走りました。
米国上院で、暗号資産に関する初の包括的な規制法案「GENIUS法」が超党派の支持を得ました。
これまで「ルールがないこと」が最大のリスクとされてきた米国市場が、ついに明確な指針を持つことになります。
この動きは、間違いなく世界の規制の潮流を方向づけ、日本企業のWeb3戦略にも大きな影響を与えるでしょう。
今回の法整備の動きは、決済の未来を左右するステーブルコインの本格的な普及を後押しします。
また国内では、ブロックチェーンゲームが一般層にリーチし始めるなど、マスアダプション（大衆への普及）の兆候も見られます。
本記事では、これらの最新動向が貴社のビジネスにどのような意味を持つのか、具体的なアクションに繋がるインサイトを交えて、パシメタ編集部が分かりやすく解説します。
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今週のピックアップニュース
今週見逃せないWeb3の重要ニュースを、編集部が独自の視点で深掘りします。
なぜこのニュースが重要なのか、そして、大手企業のビジネスパーソンとして、この動きをどう捉え、次の一手をどう考えるべきかなどの具体的なインサイトと共にお届けします。
米国で初の包括的暗号資産法案が可決へ、日本企業の事業機会が拡大
米上院は暗号資産の包括法「GENIUS法」を賛成68･反対30で可決しました。
ステーブルコイン発行者への登録制や資産保全義務、監査報告などが柱で、非銀行企業にも発行を認めます。
FTX破綻を踏まえ投資家保護とイノベーションの両立を図り、米ドルの基軸通貨維持も狙います。
成立には下院可決と大統領署名が必要ですが、米国の規制整備が大きく前進しました。
■ パシメタ編集部のコメント
今回の「GENIUS法」上院可決は、単なる米国内のルール作りにとどまりません。
世界の金融市場をリードする米国で、暗号資産が金融システムの一部として正式に認められる第一歩であり、このルールが今後の国際的な標準となる可能性が極めて高いと言えます。
これまで多くの日本企業がWeb3事業を検討する上で障壁となっていたのが、まさにこの「規制の不透明性」でした。
特に、グローバル展開を視野に入れる企業にとって、最大市場である米国の動向は無視できません。今回の法案可決は、その霧を晴らす大きな一歩です。
もちろん、法案成立までにはまだハードルがありますが、この大きな潮流は変わりません。
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PayPalのステーブルコインがStellarに対応、中小企業の送金が変わる
PayPalは自社ステーブルコインPYUSDをStellarネットワーク上でネイティブ発行し、クロスチェーン移動を即時化しました。開発者APIもStellar対応します。
■ パシメタ編集部のコメント
PayPalの動きは、ステーブルコインが「投機の対象」から「実用的な決済手段」へと完全にフェーズシフトしたことを示しています。
今回のStellar対応のポイントは、「高速・低コスト」なネットワークを戦略的に選択した点です。
これまでPYUSDが展開されていたイーサリアムは、信頼性は高いものの、取引手数料が高く、処理速度に課題がありました（※ソラナにも展開中）。
ここに、国際送金などでの利用実績が豊富なStellarを加える「マルチチェーン戦略」は、用途に応じて最適なインフラを使い分けるという、現実的かつ極めてクレバーなアプローチといえます。
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AppStoreランキング1位獲得の「TOKYO BEAST」、Web3ゲーム普及の起爆剤に
TOKYO BEAST FZCOが提供する新作ブロックチェーンゲーム「TOKYO BEAST」が、AppStoreの無料ゲームランキングで1位を獲得し、全世界で30万ダウンロードを突破しました。
これを記念し、全ユーザーにゲーム内アイテムが配布されます。
■ パシメタ編集部のコメント
ブロックチェーンゲーム（BCG）が、AppStoreという一般の巨大プラットフォームでランキング1位を獲得したという事実は、画期的な出来事です。
これは、Web3技術が、ついに「技術好き」のコミュニティを越えて、一般の生活者に届き始めたことを示す重要なマイルストーンと言えます。
「TOKYO BEAST」の成功要因は、ブロックチェーンやNFTといった要素を前面に押し出すのではなく、あくまで「面白いゲーム体験」を追求し、従来のスマートフォンゲームと変わらない手軽な操作性を実現した点にあります。
ユーザーは、難しい専門用語や煩雑なウォレット設定を意識することなく、自然にWeb3の世界に触れることができます。
この成功事例から、BtoC領域で事業を展開する企業が学ぶべきは、「マスアダプション（大衆化）のためには、Web3を“隠す”視点も重要」だということです。
NFTやトークンは、あくまで顧客体験を向上させるための付加価値であり、それをユーザーに意識させる必要はありません。
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週間ダイジェスト
その他、今週注目すべきWeb3/ブロックチェーン関連のニュースを、ポイントを絞ってご紹介します。金融からエンタメまで、幅広い業界の最新動向をご確認ください。
- アリババ系アント、香港・シンガポールでのステーブルコイン発行申請 — アジアの巨大フィンテック企業による、国際決済ネットワーク強化に向けた戦略的な動き。
- Worldcoin基盤にUSDCがネイティブ対応、2,700万ユーザーが即時利用へ — グローバルな生体認証IDとデジタルドルの結合がもたらす、新たな経済圏の誕生。
- サークル社、ブラジル大手との提携などで株価が急伸 — ステーブルコインUSDCの新興国市場への展開と、規制に準拠したビジネスモデルへの高い市場期待。
- 九州電力とSBINFTが提携し、クレジットカード決済対応のアートNFT販売 — 大手インフラ企業が持つ信頼とWeb3技術の融合による、一般層へのNFT普及促進。
- フォションホテル京都、特典付きNFT会員権の販売開始 — 高級ブランドによる、ロイヤルティプログラムと顧客エンゲージメント向上のためのNFT活用事例。
- 香港政府、CBDC国際決済の実証実験にチェーンリンク技術を採用 — 異なるブロックチェーン間の相互運用性を確保し、将来のデジタル金融インフラ構築を目指す動き。
まとめ
今週は、Web3業界にとって歴史的な転換点となる可能性を秘めた一週間でした。
米国での「規制の明確化」は、これまで様子見を決め込んでいた大手企業が本格参入する号砲となり得ます。
時を同じくして、PayPalやアントグループといった巨大企業が「決済」という実用的な領域でステーブルコイン活用を推し進め、エンタメの世界ではブロックチェーンゲームが一般層の心を掴み始めています。
これらの動きは、もはやWeb3が一部の技術マニアだけのものではなく、あらゆる企業の事業戦略において無視できない重要なテーマであることを明確に示しています。
「まだ早い」「自社には関係ない」と考えている間に、競合他社は着々と未来への布石を打っているかもしれません。
しかし、何から始めれば良いのか分からない、という方も多いはずです。重要なのは、最初から完璧なサービスを目指すのではなく、まずは正確な情報を収集し、小さな一歩を踏み出すことです。
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