ベネズエラにおいて、ステーブルコインUSDTの需要が40%以上低下し、価格が急落した。この結果、USDTの市場価格と中央銀行の公定為替レートとの乖離が大幅に縮小した。この需要の減少は、米国との石油協定締結を含む政策転換を受け、正規のドル供給が増加するとの市場の期待を反映したものと見られている。しかしアナリストは、この調整は生活費の低下には繋がっておらず、持続的な資金流入に裏付けられていないため、一時的なものに留まる可能性があると警告している。
発表内容の詳細
現地通貨ボリバル建てのUSDTの価格は過去10日間で40%超下落しています。これにより、USDTの価格と中央銀行が定める公定レートとの乖離は約31%まで縮小しています。
この需要減少の背景には、正規の外貨供給が増加するとの市場の期待があります。元副大統領のデルシー・ロドリゲス氏が現在責任者となり、政府が米国との間で新たな石油協定を複数締結しました。この動きにより正規の外貨供給への期待も高まった結果、USDTを通じて示されるドル需要は減少しました。
Binance P2Pでは、USDTの価格が12月以来初めて500ボリバルを下回りました。P2P市場の価格変動は、ベネズエラの家計や企業による現地のドル需要を映す指標です。今回の動きは買い手の過熱感が落ち着き、売り手がより安い価格での売却に応じ始めていることを示しています。
市場の反応と専門家の警告
データは外貨供給増加の期待と経済正常化の暫定的な兆候を反映していると見られますが、アナリストは今回の市場調整が一時的なものに終わる可能性があると警告しています。
為替レートの乖離は大きく縮小しましたが、食料品やサービスの価格は上昇を続けており、購買力の向上やインフレの低下にはつながっていません。この調整は、持続的な海外投資や構造的な資金流入によって裏付けられていない状況です。
アナリストは、現在の需要低下が構造的な変化ではなく一時的な緩和である場合、持続的な資本や輸出収入がなければ、現在の均衡は急速に崩れる可能性があると指摘しています。恒久的な安定化には、より深い構造改革と外部資金の安定した供給が必要になると見られています。
編集部コメント
これまでベネズエラでは外貨不足や資本規制の影響からUSDTが事実上のドル代替として機能し、プレミアム価格で取引されてきました。しかし、年始以降のトランプ政権による軍事・外交面での関与をきっかけに、需給は落ち着きを見せ始めています。ただし、物価や購買力の改善を伴っていない点を踏まえると、新興国のステーブルコイン需要の変化は実体経済よりも先に「期待」と「不安」を映し出す指標であることが改めて示されています。短期的な市場調整と、長期的な経済安定の間には、なお隔たりがありそうです。