SBI VCトレード、金融庁「FinTech 実証実験ハブ」を通じたAMM機能提供の実証実験結果を公表

SBI VCトレード株式会社は2026年3月18日、金融庁の「FinTech 実証実験ハブ」の支援を受けて実施した金融機関によるAMM(自動マーケットメーカー)機能を用いたサービス提供等に関する実証実験の結果を公表した。本実験は、パブリックブロックチェーン上での経済活動拡大を背景に、本人確認(KYC)済み顧客を対象とした分散型金融(DeFi)機能の提供や、マネー・ローンダリング対策の有効性を検証したものだ。実証実験は、業界関係者で構成されるDeFi研究会での検討を踏まえて行われた。

発表内容の詳細

本実証実験では、特定の金融機関によって本人確認が行われたアドレスのみが利用できる「特定AMM」を対象に、技術的仕様と法的論点の整理が行われました。実証実験では、暗号資産等を模した「移転制限付トークン」が使用されています。

技術的な検証では、以下の仕組みが正常に機能することが確認されました。

顧客に付与された「KYCトークン」を金融機関が無効化・一時停止することで、トークンの預け入れや交換を制限する機能
顧客のリスクに応じてKYCトークンに有効期限を設定し、期限経過後に取引を不可とする機能
AMM自体に付与された「認証トークン」を無効化することで、AMMからのトークン移転や交換を停止させる機能
トークン発行元が、自ら発行した移転制限付トークンを無効化し、取引を停止させる機能

法的論点については、金融庁より以下の回答が得られたとしています。

まず、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策において、KYCトークンの送付や有効期限の設定、認証トークンの活用といった措置を講じることは、リスク低減に作用しうると考えられるとの見解が示されました。

一方で、ブロックチェーン上へのDEX(分散型取引所)プロトコルの開発・設置については、利用者に暗号資産の交換等を可能にするため、一定の場合には暗号資産交換業に該当する可能性があるとしています。これについては、各国の規制動向を注視しながら継続して検討を行うことが適当であるとの議論がなされています。

このほか、AMMでのスワップ行為が暗号資産や電子決済手段の交換業に該当するかどうかや、ユーザー・インターフェースの提供に関する業登録の必要性など、事業化にあたって検討すべき複数の論点が確認されました。

今後の展開

DeFi研究会は今後、本実証実験で確認された技術等を踏まえ、当局と連携しながら金融機関や顧客が規制対象のトークンを取り扱いやすい環境の整備に向けた議論を進めるとしています。また、トークンを活用したビジネス創出やエコシステムの構築についても検討を継続します。本実証実験の結果の一部については、より幅広い関係者が参加できる枠組みを検討し、今後の議論の一部をそちらに移行する方針です。

編集部コメント

KYC済み顧客に限定したDeFi機能の提供という今回の実証実験は、規制と分散型金融の共存に向けた国内の取り組みとして意義深いものといえます。技術的な実現可能性が確認された一方、DEXプロトコルの設置が暗号資産交換業に該当し得るという法的論点が残されており、事業化への道筋はまだ手探りの段階です。金融庁との対話を重ねながら制度設計を詰めていくプロセスが、国内DeFi市場の健全な発展を左右するでしょう。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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