日本円ステーブルコインを発行するJPYC株式会社は2026年5月15日、発行・償還プラットフォーム「JPYC EX」のアップデートを実施しました。今回の更新では、発行上限の大幅な緩和や、LINEとKakaoの統合チェーン「Kaia」への対応、償還プロセスの簡略化が行われています。これらの変更は、資金決済法に基づく規制を遵守しつつ、ユーザーの利便性を向上させ、アジア圏での流通を拡大させる狙いがあると見られます。
発行上限を「1回100万円」へ変更、利便性が大幅に向上
今回のアップデートにより、これまで「1日あたり100万円」とされていたJPYCの発行上限が「1回あたり100万円」へと変更されました。
JPYC社は2025年8月に国内初の資金移動業者(ステーブルコイン発行・管理を行う事業者)として登録を受けています。現行の資金決済法では、資金移動業者が取り扱える送金上限が1回100万円と定められており、今回の変更はこの法定上限の範囲内で、同社が独自の運用ルールを緩和した形です。
これにより、1日に複数回の発行申請が可能となり、大口の利用や頻繁な取引を行うユーザーの利便性が高まります。ただし、不正利用防止の観点から、短時間での連続申請には制限がかかる場合があるほか、日本円への「償還(払い戻し)」については、引き続き「1日あたり100万円まで」の上限が維持されます。
新チェーン「Kaia」への対応でアジア市場の拡大を狙う
技術面での大きな進展として、新たなブロックチェーン「Kaia(カイア)」への対応が開始されました。Kaiaは、韓国のKakaoが主導する「Klaytn」と、LINEが展開する「Finschia」の2つのブロックチェーンが統合して誕生したネットワークです。
今回の追加により、JPYCの発行対応ネットワークは以下の4種類となりました。
- Ethereum(イーサリアム)
- Polygon(ポリゴン)
- Avalanche(アバランチ)
- Kaia(カイア)
JPYC社は、Kaiaが持つ韓国や台湾などのアジア圏における強力なユーザー基盤を活用することで、日本国外でのJPYCの流通拡大を見込んでいます。
償還時のネットワーク指定が不要に
法定通貨(日本円)への償還手続きにおける条件も緩和されました。従来、償還予約を行う際には送信元のネットワークを事前に指定する必要がありましたが、今後はその必要がなくなります。
事前に登録済みのウォレットアドレスから送信されるのであれば、JPYCが対応しているどのネットワークから送られたものであっても、自動的に償還処理の対象となります。これにより、複数のチェーンでJPYCを保有するユーザーの管理負担が軽減されると期待されます。
ポイント
- 発行上限が「1日100万円」から「1回100万円」へ緩和され、1日に複数回の申請が可能になりました。
- LINEとKakaoの統合チェーン「Kaia」に新たに対応し、アジア圏での流通拡大を図る方針です。
- 償還時のネットワーク指定条件が緩和され、登録済みアドレスからの送金であれば全対応チェーンが対象となります。
- 資金決済法の枠組みを維持しつつ、独自ルールの見直しによって実用性を高めた点で注目されます。
- 日本円への償還上限は、引き続き「1日100万円」に据え置かれています。