韓国のソウル南部地方検察庁は、Solana(ソラナ)ブロックチェーンを基盤としたミームコイン「CATFI」を用いたラグプル(投資資金の持ち逃げ詐欺)の容疑で、5人のグループを起訴しました。この事件は、韓国において分散型取引所(DEX)に関連した詐欺行為に対する初めての逮捕・起訴事例となります。また、2024年に施行された「仮想資産利用者保護法」の不公正取引規定が適用された初のケースとしても、Web3業界で大きな注目を集めています。
巧妙なミームコイン詐欺の手口と被害規模
現地メディアなどの報道によると、起訴されたグループは2025年初頭にミームコイン作成プラットフォームであるPump.fun(パンプファン)でCATFIを発行し、DEXに上場させました。主犯格の男(Park氏)は、SNS上で「Eth Father(イーサの父)」という名前のインフルエンサーを装い、無関係の第三者の立場からCATFIの購入を推奨していました。さらに、プロジェクトの公式SNSアカウントのフォロワー数を水増しし、虚偽の好材料を投稿して買い手を引きつけたとされています。
また、グループはCATFIを複数のウォレットに分散させ、自作自演の循環取引(ウォッシュトレーディング)を行うことで、発行側がトークンを支配している事実を隠蔽していました。これによりCATFIの価格は一時、26時間で1,001倍に急騰し、約6,000人の投資家を引きつけたとされています。しかし、その後グループが流動性を引き抜くなどしてラグプルを実行したことで、価格は暴落しました。グループはわずか1,000万ウォン(約7,200ドル)の初期投資から約4億ウォン(約26万ドル)の不正な利益を得た一方、256人の投資家が計9億ウォン(約60万ドル)に上る甚大な損失を被ったと報じられています。
新法「仮想資産利用者保護法」の初適用と業界への影響
今回の起訴は、韓国で2024年に施行された「仮想資産利用者保護法」に定められた「不公正取引」の禁止規定を適用した国内初の事例となります。ソウル南部地方検察庁の仮想資産犯罪合同捜査部は、主犯格の2人を市場操縦などの容疑で逮捕・起訴し、1人を在宅起訴、さらに主犯格の逃亡を助けた2人を起訴しました。
これまで暗号資産をめぐる法執行は主に中央集権型取引所(CEX)や著名なインフルエンサーによる詐欺に焦点を当てていましたが、今回の事件は、取引の匿名性が高く追跡が困難とされるDEXやDeFi(分散型金融)プラットフォーム上での違法行為に対しても、当局がオンチェーンデータ分析やSNSの証拠収集を通じて厳しく取り締まる姿勢を明確にした形です。これにより、分散型プラットフォームにおける規制や監視の目がさらに強まる可能性があると見られます。
ポイント
- 韓国検察が、Solanaベースのミームコイン「CATFI」を用いたラグプル容疑で5人を起訴し、DEXに関連する詐欺での国内初の逮捕・起訴事例となりました。
- 2024年に施行された韓国の「仮想資産利用者保護法」における不公正取引規定が初めて適用された歴史的な事件として注目されます。
- 主犯格はインフルエンサーを偽装したSNSマーケティングや自作自演の循環取引を駆使し、初期投資1,000万ウォンから約4億ウォンの不正利益を上げました。
- 256人の投資家が計9億ウォンの被害を受けており、DEXやPump.funといった高い匿名性を持つ分散型プラットフォームも、当局の法執行から逃れられないことが示されました。