国際決済銀行(BIS)とパートナー銀行の一群は、実際の資金移動を伴うデジタルクロスボーダー決済の新しいプロトタイプのテストを間もなく開始します。このプロジェクトは、ブロックチェーン技術を活用して、安全性を保ちながら国境を越えた取引を数秒で完了させることを目指しています。世界の主要な中央銀行や多数の民間金融機関が参画しており、伝統的な金融インフラの近代化に向けた重要な取り組みとして注目されています。
実際の資金移動を伴う新たなテストフェーズへの移行
国際決済銀行(BIS)とパートナー企業の一群は、デジタルクロスボーダー決済の新型プロトタイプについて、実際の価値を持つ取引を用いた実証実験を間もなく開始します。
この取り組みはProject Agorá(プロジェクト・アゴラ)として知られており、約2年前に発表されて以来、開発が進められてきました。これまでは概念実証や技術的な検証が行われてきましたが、今回の発表により、実際の資金移動を伴う実践的なテスト段階へ移行することになります。このプロジェクトは、これまでの国際送金における非効率性を解消し、取引コストの削減や処理スピードの向上を目指すものとされています。
統合台帳とアトミック決済による技術的アプローチ
このシステムでは、BISが提唱する統合台帳(unified ledger)の概念が採用されています。これは、トークン化された中央銀行の準備預金と、商業銀行のトークン化された預金を、共通の共有プラットフォーム上に統合する仕組みです。
取引の決済はアトミック決済と呼ばれる手法で行われます。アトミック決済とは、取引に必要なすべての情報が事前に交換された上で、関係するすべての銀行の残高が同時に更新される仕組みです。これにより、取引の完了が保証され、国境を越えた銀行間の送金を数秒で完了させることが可能になるとされています。また、このモデルでは中央銀行が国内の通貨管理権を維持したまま、共通プラットフォーム上での安全な決済が可能になるとされています。
官民の主要金融機関が広く参画
このプロジェクトには、世界の金融システムにおいて極めて重要な役割を果たす多数の機関が参加しています。
中央銀行としては、ニューヨーク連邦準備銀行、欧州中央銀行、日本銀行、イングランド銀行、韓国銀行、メキシコ銀行、スイス国立銀行の7行に加え、新たにカナダ銀行の参加が報じられています。
また、民間部門からは、JPモルガン・チェース、UBS、ドイツ銀行、BBVAなどの大手銀行や、マスターカード、Visaを含む40以上の規制対象金融機関が参加しています。
現時点でプロジェクトの正式な商用稼働の具体的なスケジュールは定められておらず、急ぐことよりも正確に進めることが重視されていると報じられています。
ポイント
- 国際決済銀行(BIS)が、実際の資金移動を伴うデジタルクロスボーダー決済の新型プロトタイプのテストを間もなく開始します。
- この取り組みはProject Agoráとして知られ、ブロックチェーン技術を活用して国境間の銀行間送金を数秒で完了させることを目指しています。
- 統合台帳の概念を用い、トークン化された中央銀行の準備預金と商業銀行の預金を共有プラットフォーム上で同時に更新するアトミック決済を検証します。
- 日米欧などの主要な中央銀行と、40以上の民間金融機関が官民連携で参画している点で、世界の金融インフラの近代化に向けた重要なプロジェクトとして注目されます。