PolymarketがVPN規制と本人確認を強化、規制圧力への対応でパーミッションレスモデルからシフトか

世界最大の予測市場プラットフォームであるPolymarketが、VPN(仮想プライベートネットワーク)を利用したアクセスへの取り締まりを強化し、一部のユーザーに対して本人確認(KYC)手続きを促す動きを進めていることが明らかになりました。これは、国内外における規制や制裁措置への対応に伴う圧力が高まっていることを背景とした動きです。これまで特徴としてきたパーミッションレス(許可不要)な取引モデルからの変化を示すものとして、Web3業界で注目されています。

規制強化の背景と米下院からの提出要請

PolymarketがVPN規制と本人確認を強化、規制圧力への対応でパーミッションレスモデルからシフトか

Polymarketがアクセス規制や本人確認の強化に踏み切った背景には、規制当局や法執行機関からの圧力の高まりがあるとされています。

報道によると、米下院監視委員会の調査官は、Polymarketに対し、本人確認(KYC)および地理的制限(ジオブロック)の執行に関する記録を2026年6月5日までに提出するよう求めていると報じられています。

また、同プラットフォームは2022年に米商品先物取引委員会(CFTC)との間で、未登録のバイナリーオプション提供をめぐり140万ドルの和解に達した経緯があります。その後、2025年にCFTCライセンスを保有する取引所を買収したことで、米国向けの部門であるPolymarket USではすでに完全な本人確認が義務付けられていました。今回の国際版での措置は、国際的な制裁やマネーロンダリング防止(AML)規制への準拠をより厳格に行うためのものと見られます。現在、33カ国以上が同プラットフォームへのアクセス制限や技術的ブロックの対象となっています。

一般ユーザーや大口トレーダーへの影響

今回の規制強化により、ユーザーの利用環境には以下のような変化が生じているとされています。

まず、IPアドレスを偽装して地理的制限を回避しようとするVPNの利用に対し、厳格な監視が行われています。制限を回避したと判定されたアカウントは、一時停止や永久的な利用禁止措置を受けるリスクがあります。

多くの国際的な一般ユーザーにおいては、Polygon(ポリゴン)チェーン上の暗号資産USD Coin(USDC)を使用し、ウォレットを接続するだけで個人情報をアップロードせずに取引を行うことは依然として可能です。しかし、このパーミッションレスなアクセス環境は、今後すべてのユーザーに対して保証されるわけではなくなっているとされています。

さらに、内部のマネーロンダリング防止基準に基づき、7桁(百万ドル規模)におよぶ大きなポジションを運用するトレーダーや、5桁(数万ドル規模)の入金・取引・出金を短期間に繰り返すアクティブユーザーに対しては、本人確認が求められるケースが確認されています。

一方で、自主的に本人確認や法人確認(KYB)を完了したユーザーに対しては、主要サーバーへの直接コ・ロケーション(共同設置)が提供され、取引の遅延(レイテンシー)が低減されるなどの優遇措置も用意されているとされています。

業界への影響と懸念

Polymarketのこの動きは、Web3業界における「分散型プラットフォームと規制コンプライアンスのバランス」という、極めて重要な課題を浮き彫りにしています。

これまで多くのDeFi(分散型金融)やWeb3プロジェクトは、ウォレット接続のみで利用できるパーミッションレスな仕組みを強みとしてきました。しかし、プラットフォームの規模が拡大するにつれ、国際的な制裁やマネーロンダリング防止規制への準拠が強く求められるようになっています。

Polymarketのような業界最大手のプラットフォームが本人確認やVPN規制を強化することは、他の予測市場やDeFiプロトコルに対しても同様のコンプライアンス強化を促す契機となる可能性があります。

ポイント

  • ジオブロックを回避するためのVPN利用が厳しく監視され、違反アカウントは一時停止や永久禁止のリスクに直面しています。
  • 大口取引や急激な資金移動を行うアカウントに対して、内部のマネーロンダリング防止基準に基づく本人確認が求められるようになっています。
  • 米下院監視委員会より、2026年6月5日までに本人確認および地理的制限の執行に関する記録の提出を求められています。
  • 自主的に本人確認を完了したユーザーには、サーバーへの直接接続による遅延低減などの特典が提供されるとされています。
  • 規制圧力の高まりを受け、ウォレット接続のみで利用可能だった従来のモデルからコンプライアンス重視へシフトする点で注目されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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