ゆうちょ銀行は2026年5月28日に開催した記者発表において、2026〜2028年度の中期経営計画を説明し、トークン化預金「ゆうちょDCJPY」を2026年度中に発行する予定に変更がないことを明らかにしました [ソース1]。具体的な提供開始時期は示されなかったものの [ソース1]、同社はトークン化預金を「プログラマブルな資産」と位置づけ、決済の自動化や多様な事業者との連携を目指しています [ソース1]。預金を裏付けとする安心感とブロックチェーン技術を融合させた新たな決済インフラの構築に向けた取り組みです [ソース1]。
中期経営計画で示された「ゆうちょDCJPY」の展開
ゆうちょ銀行は、2026〜2028年度の中期経営計画の中で、デジタルペイメント事業や市場運用・アセットマネジメント事業など4つの戦略を柱として提示しました [ソース1]。このうちデジタルペイメント領域において、2026年度中の発行を予定するトークン化預金「ゆうちょDCJPY」の展開に言及しています [ソース1]。
ゆうちょ銀行は2025年9月に、ディーカレットDCPのプラットフォームを活用し、貯金者向けのトークン化預金を発行することを正式に発表していました。DCJPYとは、ディーカレットDCPが提供するプラットフォーム上で発行されるトークン化預金(銀行預金にブロックチェーン技術を応用しデジタルトークン化したもの)であり、日本円と連動するプログラマブルマネー(プログラム可能な通貨)とされています。
ゆうちょ銀行の計画では、貯金者は自身の預金残高の一部を「ゆうちょDCJPY」に変換できるようになります [ソース1]。スマート・コントラクト(あらかじめ設定された条件に沿って取引を自動実行する仕組み)などを通じて、多様な事業者との連携が計画されています。導入の主な狙いとして、決済の自動化や省力化、NFTと連動した決済、セキュリティトークン(デジタル証券)の売買における活用などが挙げられています。
預金裏付けによる安心感と「プログラマブルな資産」としてのユースケース
ゆうちょ銀行の専務執行役である松永恒氏は、具体的な発行時期について「現時点で申し上げられない」としつつも、「2026年度中」の予定に変更はないと説明しました [ソース1]。
松永氏は、ステーブルコインやセキュリティトークンなど、ブロックチェーン技術を活用した価値交換手段が今後も広がるという見通しを示したうえで、トークン化預金が持つ「銀行の負債を前提とした従来型の形」は顧客にとって理解しやすいという認識を示しています [ソース1]。また、発行体の経営破綻時における保護対象の観点からも、トークン化預金は「基本的にはキャッシュ(現金)と同じ考え方」ができるため、これが最大の訴求点になると説明しています [ソース1]。
想定される具体的なユースケースとして、トークン化預金は「プログラマブルな資産」と位置づけられています [ソース1]。例えば、「100万円ある残高のうち、50万円は明後日までに使う」「そのうちの5万円は1週間後のコンサートの入場券として使う」といった個別の設定をそれぞれの残高に対して行えるようになると説明されました [ソース1]。
なお、セキュリティトークンとの連携については、現在は状況を見守っている段階であり、デジタル上で価値を交換する際のリスクなどを見極めたうえで、トークン化預金の最適なユースケースを検討していくとしています [ソース1]。
トークン化預金普及における「マルチバンク化」の課題
現在、国内でDCJPYの実質的な発行体となっている銀行はGMOあおぞらネット銀行のみです [ソース1]。
GMOあおぞらネット銀行の代表取締役会長である金子岳人氏は、複数の異なる銀行システムが接続される「マルチバンク化」が進まなければ、手数料負担の軽減といったトークン化預金のメリットが見出しにくい側面があると指摘しています [ソース1]。ゆうちょ銀行のような大手の参入は、このマルチバンク化を推進し、トークン化預金ネットワーク全体の利便性を向上させるうえで重要なステップとなる可能性があります。
ポイント
- ゆうちょ銀行は、2026〜2028年度の中期経営計画において、トークン化預金「ゆうちょDCJPY」の2026年度中の発行予定を維持していることを明らかにしました [ソース1]。
- 貯金者は残高の一部を「ゆうちょDCJPY」に変換でき、スマート・コントラクトを活用した決済の自動化や、NFT・セキュリティトークンとの連動が計画されています [ソース1]。
- トークン化預金は銀行の負債を前提としており、預金保険などの保護対象となる点で「基本的にはキャッシュと同じ考え方」ができる安心感が最大の訴求点とされています [ソース1]。
- トークン化預金は「プログラマブルな資産」として、残高に対して特定の用途や期限を個別に設定するユースケースが想定されています [ソース1]。
- 現在のDCJPY発行体はGMOあおぞらネット銀行のみであり、手数料低減などのメリットを最大化するためには、複数の銀行が接続される「マルチバンク化」の進展が課題とされています [ソース1]。