予測市場プラットフォームのKalshiは、予測市場を州内で禁止する法案にティム・ウォルズミネソタ州知事が署名したことを受け、州司法長官や知事、州当局者を相手に訴訟を起こしました。Kalshiは新法が連邦法の優先を定める最高法規条項に違反していると主張しており、新法の執行阻止を求めています。今回の提訴に先立ち、米商品先物取引委員会(CFTC)も同州を提訴しており、予測市場の監督権を巡る連邦と州の対立が深まっています。
提訴の背景とKalshiの主張
ミネソタ州で成立した新法は、スポーツ、天候、企業価値、政府関連の出来事など、将来の結果に基づいて取引する予測市場を禁止するもので、2026年8月1日に施行される予定です。
Kalshiはミネソタ州連邦地方裁判所に提出した訴状において、この新法が連邦法と州法が衝突した場合に連邦法が優先されることを定めた「最高法規条項(Supremacy Clause)」に違反していると主張しました。最高法規条項とは、米国憲法において連邦法が州法に優先することを定めた規定とされています。
また、Kalshiは訴状の中で以下の懸念を表明しています。
- 新法の施行により、予測市場の運営がミネソタ州において重罪犯として扱われることになります。
- ミネソタ州でイベント契約を提供できなくなれば、全米50州を対象とするデリバティブ取引所としての事業継続能力に、取り返しのつかない損害が生じる可能性があります。
- 州内でのアクセスを制限するために、複雑でコストのかかる技術的対応を講じる必要があり、その費用は最終的に訴訟で勝訴したとしても回収できません。
これらの理由から、Kalshiは新法の執行を阻止するため、一時的差止命令と差止命令の発令を裁判所に求めています。
激化する連邦と州の監督権争い
今回のKalshiによる提訴に先立ち、連邦機関である米商品先物取引委員会(CFTC)もミネソタ州を提訴しています。CFTCは、新法が連邦規制下にあるデリバティブ市場を州が不当に規制しようとするものだと主張し、州内での禁止措置の差し止めを求めています。この訴訟は、ウォルズ知事が法案に署名してから24時間以内に提起されました。
予測市場の監督権を巡る連邦と州の対立は、ミネソタ州に留まりません。これまでに、ウィスコンシン州やネバダ州、ワシントン州などでも、CFTCや予測市場プラットフォームと州当局との間で訴訟が発生しています。ウィスコンシン州では2026年4月にCFTCが提訴を行っており、ネバダ州やワシントン州の訴訟では、KalshiとPolymarketの差し止め請求が認められなかった事例もあります。
業界への影響と重要性
予測市場は現在、急速に市場規模を拡大しています。主要な予測市場の取引規模は2026年5月に200億ドル超拡大しており、Kalshiは累計取引高でPolymarketを初めて逆転したとされています。
このような市場の急成長期において、規制の枠組みが不透明であることはビジネス上の大きなリスクとなります。Kalshiは連邦機関であるCFTCの規制を受けるデリバティブ取引所とされていますが、州ごとに異なる禁止法が適用された場合、全米を対象とした事業展開に大きな支障をきたすことになります。今回の訴訟の行方は、連邦規制が州独自の規制を排除できるかという法的判断を示すものであり、今後の予測市場ビジネスの展開において極めて重要な前例になると見られます。
ポイント
- 予測市場プラットフォームのKalshiが、予測市場を州内で禁止する新法を巡り、ミネソタ州当局を提訴しました。
- Kalshiは、ミネソタ州の新法が連邦法の優位性を定める最高法規条項に違反していると主張しています。
- 新法は2026年8月1日に施行予定で、スポーツや天候、企業価値などに基づく取引を禁止し、重罪として扱う内容です。
- 連邦規制機関であるCFTCも、州が不当にデリバティブ市場を規制しようとしているとして、ミネソタ州を先行して提訴しています。
- 主要な予測市場の取引規模が急拡大する中、連邦規制と州独自の規制のどちらが優先されるかの判断は、今後の事業継続性に大きな影響を与える点で注目されます。