テザーの米国向けステーブルコイン「USAT」の供給量が急拡大:前月比540%増、機関投資家の需要が牽引

ステーブルコイン大手のテザー社が米国市場向けに展開する、規制準拠型の米ドル連動ステーブルコイン「USAT」の供給量が急速に拡大しています。米国の信託銀行アンカレッジ・デジタル・バンクが公表した最新の証明書によると、2026年4月末時点の流通量は前月比で約540%増加しました。この背景には、2025年7月に米国で成立したステーブルコイン規制法「GENIUS法」への適合と、機関投資家によるドル流動性管理や決済における利用拡大があるとされています。

供給量と準備資産の急速な拡大

テザーの米国向けステーブルコイン「USAT」の供給量が急拡大:前月比540%増、機関投資家の需要が牽引

米連邦公認の暗号資産信託銀行であるアンカレッジ・デジタル・バンクが2026年5月27日に公表した最新の証明書(大手会計事務所デロイト・アンド・トウシュが検証)によると、USATの流通量は2026年4月30日時点で約1億4085万トークンに達しました。これは3月時点の約2200万トークンから1カ月で約540%増加したことになります。

これに伴い、USATを裏付ける準備資産も総額1億4117万ドル(約225億8720万円、1ドル=160円換算)に拡大しました。準備資産の具体的な内訳は以下の通りです。

  • 現金が1342万ドル(約21億4720万円)
  • 米国債を担保とするリバースレポ取引(買い戻し条件付き債券取引)が1億2775万ドル(約204億4000万円)

この準備資産の総額は、流通量を約32万7000ドル(約5232万円)上回る水準を維持しており、1対1以上の裏付けが確保されています。

連邦規制「GENIUS法」への適合と発行の背景

USATは、テザー社が2026年初頭に米国市場向けに導入したステーブルコインです。同社が発行する世界最大のステーブルコイン「USDT」(時価総額約1830億ドル)が米国の規制枠組みの外で運用されているのに対し、USATは米国の連邦規制への完全な適合を狙ったプロダクトです。

具体的には、2025年7月に成立した「GENIUS法(米国ステーブルコインの国家イノベーションを導き確立する法)」が求める、1対1の準備資産(現金または米国短期債などの高品質流動資産)要件への適合を目的としています。米国通貨監督庁(OCC)の監督下にあるアンカレッジ・デジタル・バンクが発行体となることで、連邦規制の枠内での運用を可能にしています。

テザー社のパオロ・アルドアーノCEOは、規制対応のデジタルドル採用が、政策が市場需要に追いつき始めたタイミングで加速していると指摘しました。また、USATの責任者であるボー・ハインズ氏は、今回の急成長の要因として、機関投資家における財務管理や決済フロー、さらには規制に準拠したドル流動性管理での利用拡大を挙げています。

米国市場における意義と今後の位置づけ

USATの急速な成長は、米国における規制適合ステーブルコインの需要の高まりを示しています。しかし、その規模は依然としてサークル社が発行する「USDC」や、テザー社自身の「USDT」には遠く及びません。

業界内では、USATが米国市場における規制準拠ステーブルコインの本格的な普及に向けた重要な試金石になると見られています。また、テザー社が米国規制に適合したUSATを国内向けに提供することで、主力のUSDTを米国の規制外で維持しつつ、米国市場へのアクセスを確保する二元的な戦略をとっているとの見方もあります。

ポイント

  • 供給量の急拡大:テザー社の米国向けステーブルコイン「USAT」の流通量が、2026年4月30日時点で約1億4085万トークンに達し、前月比約540%増を記録しました。
  • 強固な準備資産の裏付け:準備資産は総額1億4117万ドルに達し、現金とリバースレポ取引によって流通量を上回る1対1以上の裏付けが検証されています。
  • 連邦規制「GENIUS法」への適合:USATは、2025年7月に成立した米国の「GENIUS法」に適合するよう設計されており、米通貨監督庁(OCC)の監督下にあるアンカレッジ・デジタル・バンクを通じて発行されています。
  • 機関投資家の需要が牽引:財務管理や決済、規制準拠の流動性管理における機関投資家の利用拡大が、今回の急速な供給量増加をもたらしたとされています。
  • 市場の試金石としての位置づけ:USDCやUSDTと比較すると規模はまだ小さいものの、米国における規制準拠ステーブルコインの普及に向けた重要な指標として注目されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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