米国の暗号資産(仮想通貨)業界団体であるブロックチェーン・アソシエーション(Blockchain Association)は、米上院の指導部に対し、暗号資産市場の規制枠組みを定める「クラリティ法案(Clarity Act)」の早期可決を強く求める書簡を提出しました。この書簡には、元国家安全保障や情報機関、法執行機関の当局関係者160人が署名しています [ソース1]。同団体は、明確な連邦規制枠組みがなければ、デジタル資産活動が海外の不透明な市場へ流出し、米国の安全保障や法執行に支障をきたす恐れがあると指摘しています [ソース1]。
元当局者160人が署名した背景と国家安全保障上の懸念
ブロックチェーン・アソシエーションが、米上院多数党院内総務のジョン・スーン(John Thune)氏と民主党院内総務のチャック・シューマー(Charles Schumer)氏に宛てて送付した書簡では、明確な規制枠組みの欠如がもたらすリスクが強調されています [ソース1]。
デジタル資産の取引や活動が世界的に急速な拡大を続ける中、米国が明確な連邦規制を整えなければ、活動が不透明な海外市場へと流出する可能性があると指摘されています [ソース1]。これにより、米捜査当局の手が届きにくくなるリスクが生じるとされています [ソース1]。
書簡では、明確なルールを整備することで、多くのデジタル資産活動を米国の監督下に置き、法執行機関による把握能力や金融犯罪への対処能力を強化できると説明されています [ソース1]。ブロックチェーン・アソシエーションは、デジタル資産の市場構造整備は、法執行および国家安全保障上の優先課題であると主張しています [ソース1]。
クラリティ法案の現状と法案に盛り込まれた執行強化策
クラリティ法案(正式名称:デジタル資産市場クラリティ法案)は、デジタル資産の規制上の分類を明確化し、管轄権の境界を整理することを目的とした米国の法案とされています。
法案は先月、上院銀行委員会を通過し、現在は上院本会議での採決を待っています [ソース1]。2026年6月3日には、同法案が米上院の立法日程に追加されたことが報じられています [ソース1]。
書簡によると、同法案には以下のような違法金融対策や執行強化のための具体的な条項が含まれています [ソース1]。
- デジタル商品ブローカー、ディーラー、取引所に対する銀行秘密法(Bank Secrecy Act)や制裁関連の義務拡大
- 財務省主導の情報共有パイロットプログラムの実施
- 暗号資産を用いた違法金融に対応する常設の省庁横断作業部会の設置
- デジタル資産キオスク(自動販売機やATMなどの端末)に対する不正防止策、取引監視、報告義務、取引制限、および法執行機関との連絡窓口設置
書簡では、これらの措置が規制緩和を目的としたものではなく、取引の可視性や連携、コンプライアンス、説明責任を高めるための執行強化策であることが強調されています [ソース1]。
成立に向けた業界内外の議論と課題
法案の成立に向けては、依然としていくつかの議論や対立が続いています [ソース1]。
現在、トランプ大統領の暗号資産関連事業への関与を背景として、選出された公職者が暗号資産事業へ参加することを制限する倫理条項を法案に盛り込むべきかどうかが議論の焦点となっています [ソース1]。
また、関連する動向として、JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOが「銀行はクラリティ法案に反対する戦いを続ける」と2026年6月1日に表明しているほか [ソース1]、投資銀行などからは「年内の法案成立は困難ではないか」という予測も2026年5月27日に出されています。一方で、ルミス上院議員のように「中国は待っていない」として早期の法案成立を促す声もあり [ソース1]、上院本会議での審議の行方が注目されています。
ポイント
- 暗号資産業界団体のブロックチェーン・アソシエーションが、クラリティ法案の早期可決を求める書簡を米上院指導部に提出しました [ソース1]。
- 書簡には、元国家安全保障や法執行当局の関係者160人が署名し、規制の不在が不透明な海外市場への活動流出を招くリスクを警告しています [ソース1]。
- クラリティ法案は、デジタル商品ブローカーや取引所への銀行秘密法義務の拡大、省庁横断作業部会の設置など、違法金融対策としての執行強化策を含んでいます [ソース1]。
- 法案は上院銀行委員会を通過し本会議の採決を待つ段階ですが、公職者の事業参加を制限する倫理条項の是非や、銀行業界からの反対など、成立に向けた議論が続いています [ソース1]。