暗号資産運用大手のグレイスケール(Grayscale)は、暗号資産ハイパーリキッド(HYPE)の現物ETF(上場投資信託)である「Grayscale Hyperliquid Staking ETF(ティッカー:HYPG)」が、2026年6月3日よりナスダック(Nasdaq)で取引を開始したことを発表しました。本ETFは、米国内で3本目となるHYPE現物ETFであり、競合を下回る低手数料とステーキング機能を特徴としています。伝統的な金融市場の投資家に対し、新たな分散型金融(DeFi)関連資産への投資機会を提供するものとして注目されます。
低手数料とステーキング機能で競合との差別化を図る
新たに上場したHYPGの最大の特徴は、HYPEの価格への投資機会を提供するだけでなく、ステーキング機能をポートフォリオに組み込んでいる点にあります。
Hyperliquid(ハイパーリキッド)は、完全にオンチェーンで動作する分散型のパーペチュアル(無期限先物)取引およびスポット取引を提供するL1ブロックチェーンとされています。そのネイティブトークンであるHYPEは、ネットワークのセキュリティを担保するためのステーキングやガバナンスに利用されています。ステーキングとは、保有する暗号資産をネットワークに預け入れることで、その維持やセキュリティに貢献し、報酬を得る仕組みとされています。
さらに、グレイスケールは本ETFの手数料を0.29%に設定し、米国のHYPE現物ETF市場において最安値を実現しました。米証券取引委員会(SEC)に提出された届出書によると、競合他社の手数料は、21シェアーズ(21Shares)の「21Shares Hyperliquid ETF(ティッカー:THYP)」が0.30%、ビットワイズ(Bitwise)の「Bitwise Hyperliquid ETF(ティッカー:BHYP)」が上場後1カ月間は0%でその後は0.34%となっています。HYPGはこれらを下回るコスト設計となっており、市場でのシェア獲得を狙った戦略と見られます。
なお、一部の海外メディアでは、取引開始日を6月4日、ティッカーシンボルをGHYPと報じる例も見られますが、本稿では国内報道および発表元の情報に基づき、6月3日開始、ティッカーHYPGとして記載しています。
米国市場におけるHYPE現物ETFの展開と背景
米国におけるHYPE現物ETFの市場は、2026年5月13日に初の現物ETFが上場して以来、急速に拡大しています。5月15日にはビットワイズがニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場し、今回のグレイスケールの参入により、わずか数週間で3本の現物ETFが取引される状況となりました。先行して上場したETFの初日取引高は非常に堅調であったとされており、HYPEに対する投資家の関心の高さがうかがえます。
また、グレイスケールは本ETFの申請プロセスにおいて、2026年4月にカストディアン(資産保管会社)をコインベース(Coinbase)からアンカレッジ(Anchorage)に変更するなど、上場に向けた準備と修正を重ねてきました。手数料の引き下げも直前の6月1日付の修正で盛り込まれたものであり、競争が激化するETF市場での優位性を確保するための対応と見られます。
ポイント
- グレイスケールがHYPE現物ETF「HYPG」をナスダックに上場し、2026年6月3日より取引を開始しました。
- 本ETFは、HYPEの価格連動だけでなく、暗号資産を預け入れて報酬を得るステーキング機能を組み込んでいる点で注目されます。
- 手数料は0.29%に設定されており、先行する21シェアーズ(0.30%)やビットワイズ(上場1カ月後から0.34%)を抑え、米国最安値となっています。
- 米国でのHYPE現物ETFはこれで3本目となり、初のETF上場から1カ月足らずで選択肢が広がったことは、伝統的な金融市場におけるDeFi関連資産へのアクセスの容易化を示す点で重要です。