金融機関向けのブロックチェーンであるCanton Networkが、2026年第1四半期(Q1)において、主要なブロックチェーンの手数料総額のうち約42%を占め、手数料発生ランキングで首位を獲得したことが明らかになりました。暗号資産市場全体が軟調に推移するなか、機関投資家によるオンチェーン活動の活発化がこの急成長を牽引したとされています。個人投資家による投機的な取引ではなく、伝統的金融機関の実質的な利用拡大がブロックチェーンの収益源として台頭している背景について解説します。
2026年Q1の手数料ランキングで首位に躍進
暗号資産市場のデータによると、Canton Networkは2026年第1四半期において、調査対象となった21のブロックチェーンの中で最も多くの手数料を生成したネットワークとなりました。
Messariが追跡したこれら21のブロックチェーンの総手数料額4億5,700万ドルのうち、Canton Networkは42%に相当する約1億9,300万ドルを記録したとされています。
この時期は市場全体が軟調であり、多くのネットワークで主要な指標が下落していた中、Canton Networkの手数料は前四半期比で増加傾向を示しました。一般の個人投資家による取引ではなく、機関投資家による実質的な利用拡大が、この特異な成長を支えた要因と見られています。
金融機関のニーズに特化したレイヤー1「Canton Network」とは
Canton Networkは、規制下にある金融機関向けに開発された、プライバシー保護機能を備えたレイヤー1(独立した独自のブロックチェーン)です。2023年5月にテクノロジー企業のDigital Assetが、30社以上の金融関連企業とともに立ち上げました。
現在はLinux Foundation傘下のCanton Foundationによって管理されており、独立した金融機関同士がプライバシーを維持したまま、相互に取引を決済できるグローバル・シンクロナイザーと呼ばれる仕組みを備えている点が特徴とされています。
大手金融機関による導入と実用化の進展
Canton Networkの急速な手数料増加の背景には、伝統的なグローバル金融機関による実運用の本格化があります。以下のような主要な金融機関やプロジェクトがCanton Network上で稼働、または実証実験を進めています。
- 創設メンバーの参画
Goldman Sachs、BNP Paribas、Deutsche Börseなどが初期から参画しています。Goldman Sachsのデジタル資産プラットフォームであるGS DAPはCantonの技術を基盤に構築されています。
- JPMorganの預金トークン
同行のデジタル資産部門であるKinexysが、2026年1月に預金トークンであるJPMDをCanton Network上で発行しました。
- DTCC(米国振替決済公社)による米国債トークン化
カストディを行う米国財務省証券のトークン化に向けた取り組みを進めています。
- HSBCの預金トークン実証
2026年4月に同ネットワーク上でのトークン化預金の実証実験を完了したとされています。
- Société Générale(ソシエテ・ジェネラル)のステーブルコイン展開
同社のデジタル資産部門であるSG-FORGEがスーパーバリデータとして参加し、米ドルおよびユーロ建てのステーブルコインであるCoinVertibleを用いた決済機能の展開を発表しています。
- Mastercardによる決済サポート
2026年6月、24時間365日のステーブルコイン決済サポートに向けて、Canton Networkを自社の対応ブロックチェーンエコシステムに追加したことを発表しました。
このように、個人投資家向けの一般的な分散型金融やNFT取引とは異なり、国債や預金トークン、ステーブルコインといった規制された金融資産の移転・決済インフラとしての実用化が、手数料収入の増加に直結していると見られます。
ポイント
- Canton Networkは2026年Q1に約1億9,300万ドルの手数料を生成し、Messariが追跡した21のブロックチェーン全体の手数料の約42%を占めて首位となりました。
- 弱気市場において他のネットワークが指標を落とす中、Canton Networkは機関投資家の実質的なオンチェーン活動の急増により、逆行高の成長を記録した点で注目されます。
- 同ネットワークは、Goldman Sachs、JPMorgan、HSBC、Société Généraleといった大手金融機関や、DTCC、Mastercardなどの決済・インフラ企業による実運用や実証実験の場として選ばれています。
- 個人投資家の投機需要ではなく、規制された伝統的金融のデジタル化と実務利用がブロックチェーンの収益源として確立されつつあることを示す象徴的な事例と言えます。