世界最大級の先物取引所を運営するCMEグループのテリー・ダフィー会長兼CEOは、米国で初めて承認された暗号資産関連の無期限先物について、個人投資家に過度なレバレッジリスクをもたらす可能性があるとして強い懸念を示しました。ダフィー氏は、商品の仕組みを十分に理解していない投資家が損失を被るリスクを指摘し、現在の投機市場の過熱ぶりを2008年の金融危機前になぞらえて警告しています。この出来事は、今後の米国の暗号資産デリバティブ規制や市場の健全性に大きな影響を与える可能性があるとして注目されています。
米国初の無期限先物承認に対するCMEトップの懸念
CMEグループのテリー・ダフィー会長兼CEOは、カンファレンス(Piper Sandler Global Exchange & Fintech Conference)において、暗号資産関連の無期限先物の仕組みについて重大な懸念があると述べました。
無期限先物とは、通常の先物とは異なり満期日がなく、投資家が対象資産の価格に対してレバレッジをかけたポジションを取ることができる商品です。ダフィー氏は、この商品を十分に理解していない投資家が、本来取引すべきではない契約によって損失を被る可能性を懸念しています。
さらに、現在の予測市場などを含む投機市場の過熱状況について、2008年の金融危機前の2007年の状況になぞらえ、いつ大惨事が起きてもおかしくないと強い警告を発しました。
レバレッジ規制の格差と海外市場の影響
ダフィー氏は、レバレッジ比率における規制の格差についても指摘しています。
CMEグループに上場する暗号資産関連商品ではレバレッジがおおむね5倍程度の枠組みとなっている一方、一部の海外市場では20倍から最大250倍という極めて高いレバレッジで無期限先物が取引されています。
無期限先物取引においては、海外取引所が大きな存在感を持っています。仮想通貨メディアのThe Blockのデータによると、分散型取引所(DEX)であるHyperliquid(ハイパーリキッド)は2026年5月の月間無期限先物取引高の6.6パーセントを占めていたとされています。
CMEグループとIntercontinental Exchange(インターコンチネンタル取引所)は以前から、伝統的な取引所の外で無期限先物の利用が広がる中、米商品先物取引委員会(CFTC)に対して海外の無期限先物市場を調査するよう求めていました。
承認プロセスの背景と政府への批判
今回のダフィー氏の発言は、CFTCが予測市場プラットフォームであるKalshi(カルシ)のビットコイン無期限先物契約「BTCPERP」の上場を承認した数日後に行われました。
CFTCによると、BTCPERPはビットコインのスポット(現物)価格を参照する無期限契約で、先物契約として承認されています。海外の報道などによると、この承認は2026年5月29日に行われ、Kalshiは同年6月3日に同商品の提供を開始したとされています。
ダフィー氏はこの承認プロセスについて、政府の判断にはまったく同意しないと述べ、規制当局の決定を批判しました。
ポイント
- 米国初の暗号資産無期限先物の承認に対し、CMEグループのテリー・ダフィー会長兼CEOが強い懸念を表明しました。
- 無期限先物は満期がなくレバレッジをかけたポジションを維持できる商品であり、投資家が仕組みを十分に理解せず取引することで損失を被るリスクが指摘されています。
- CMEグループの商品レバレッジがおおむね5倍程度であるのに対し、海外市場では20倍から250倍の取引が行われており、規制やリスク管理の格差が課題となっています。
- 今回の懸念は、CFTCがKalshiのビットコイン無期限先物「BTCPERP」の上場を承認したことを受けて示されたもので、ダフィー氏はこの政府の判断を批判しています。
- ダフィー氏は現在の投機市場の過熱を2008年金融危機前の2007年の状況になぞらえ、市場全体での大惨事のリスクを警告している点で注目されます。