ドナルド・トランプ米大統領は2026年6月24日朝(現地時間)、米上下両院を通過した住宅関連法案「21st Century ROAD to Housing Act(21世紀住宅への道法案)」への署名を中止すると表明しました。この法案には、米連邦準備制度理事会(FRB)による中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行を2030年末まで禁止する条項が盛り込まれていました。トランプ大統領は、自身が求める選挙関連法案「SAVE America Act」が可決されるまで署名を行わない方針を示しており、暗号資産市場の規制に影響を与える他の法案の行方にも注目が集まっています。
住宅法案に盛り込まれたCBDC発行禁止と民間の適用除外
今回、署名が中止された「21st Century ROAD to Housing Act」は、住宅供給の拡大や手頃な価格の住宅提供を目指す超党派の法案とされています。この法案には、FRBが2030年末までCBDCやこれに実質的に類似するデジタル資産を発行することを禁じる条項が含まれていました。
一方で、オープンかつパーミッションレス(特定の管理者の許可なく誰でも自由に参加できる仕組み)でプライバシーが保護された、民間のドル建てデジタル通貨(ステーブルコインなど)については、この禁止措置の適用除外とされていました。これにより、政府主導のデジタル通貨開発は抑制しつつ、民間によるステーブルコインなどのイノベーションは保護する方向性が示されていました。
署名中止の背景と政治的交渉
トランプ大統領が法案への署名を中止した理由は、住宅法案そのものへの反対ではなく、自身の優先する法案を通すための交渉材料としているためです。
大統領は、有権者登録時に米国市民権の証明書提示を義務付ける選挙関連法案「SAVE America Act」が可決されるまで、他の法案には署名しないという方針を3月に表明していました。今回の決定もその方針に沿ったものとされています。
なお、大統領が法案に対して拒否権を行使した場合でも、議会が上下両院で3分の2以上の賛成多数を得ることができれば、大統領の決定を覆して法案を成立させることが可能です。
暗号資産市場構造法「クラリティ法案」への影響
今回の署名中止により、現在審議が進められている他の暗号資産関連法案の成立スケジュールに遅れが生じる可能性が懸念されます。
特に、デジタル資産の分類や規制の明確なルールを定めるための包括的な暗号資産市場構造法案「クラリティ法案(CLARITY Act)」は、上院での採決を待っている段階にあります。トランプ大統領がこのクラリティ法案に対しても同様に署名を遅らせる意図があるかは現時点で不明ですが、政治的な停滞が市場の規制明確化に影響を与える可能性があります。
ポイント
- トランプ大統領が、CBDC(中央銀行デジタル通貨)の発行禁止条項が含まれる住宅関連法案「21st Century ROAD to Housing Act」への署名中止を表明しました。
- 同法案には、2030年末までFRBによるCBDC発行を禁止する一方で、民間のステーブルコイン(価格の安定を目指して設計された暗号資産)などを適用除外とする内容が盛り込まれていました。
- 署名中止は、有権者登録時の市民権証明を義務付ける「SAVE America Act」の可決を促すための政治的判断とされています。
- 包括的な暗号資産規制を定める「クラリティ法案(CLARITY Act)」など、他の重要法案の成立プロセスにも影響が及ぶかどうかが注目されます。