イーサリアム(ETH)の価格がここ数週間における最低水準まで急落する中、分散型取引所(DEX)における取引高が36%急増したことが明らかになりました。ビットコイン(BTC)が直近の安値を更新した一方で、イーサリアムは底値を維持しており、大口保有者(クジラ)が買いに転じるなど、下落局面におけるオンチェーン需要の底堅さが示されています。市場全体の売り圧力が減衰しつつある兆候も見られます。
市場全体の売りによる価格下落とビットコインとの値動きの乖離
イーサリアムの価格は過去1ヶ月で約21%下落し、同時期に約20%下落したビットコインをわずかに上回る下げ幅を記録しました。また、直近の1週間で見ても、イーサリアムが約5%下落したのに対し、ビットコインは3.7%の下落にとどまっており、イーサリアムの弱さが目立つ展開となっています。多くのトレーダーは、この下落の要因を市場全体の売り(セルオフ)によるものと捉えています。
しかし、2026年6月24日に市場が急落した際の値動きには、ビットコインとの間で乖離が見られました。ビットコインが6月初旬の安値水準である約59,000ドル付近を下回って新たな安値を更新したのに対し、イーサリアムは下値を切り上げる「切り上がりの安値(higher low)」を形成しました。これにより、イーサリアムは6月初旬に設定されたサポートライン(底値)を維持することに成功しており、市場の悲観論の中でも一定の底堅さを見せていると指摘されています。
DEX取引高の急増とクジラによる押し目買いの動き
データ分析機関NS3.AIなどの報告によると、この価格下落の過程でイーサリアムの分散型取引所(DEX)における取引高は約36%急増しました。具体的には、2026年6月22日の約9億ドルから、6月24日には13億ドルへと取引規模が拡大しています。
これと同時に、イーサリアムの大口保有者である「クジラ」の動向にも変化が見られます。オンチェーンデータ分析企業Santimentのデータによると、取引所以外の主要なウォレットが保有するイーサリアムの供給量は、6月18日の約1億2,568万ETHから6月22日には1億2,523万ETHまで減少していました。しかし、6月下旬の急落局面において、この保有量は約1億2,530万ETHへと再び増加しています。
さらに、オンチェーントラッカーは、これらの大口ウォレットが取引所からイーサリアムを引き出している動きを捉えています。これは、クジラが価格下落を利用して押し目買い(買い集め)を行っている可能性を示唆していると見られます。
売り圧力の減衰と今後の技術的注目点
イーサリアムの売りボリュームを分析すると、6月5日に大きなピークを迎えて以降、月を通じて徐々に減少傾向にあることが分かります。6月23日から24日にかけての下落局面でも一時的に売りが増加したものの、6月5日の水準には遠く及んでおらず、価格下落を主導した売り圧力は徐々に勢いを失いつつあると見られます。
一方で、今後の技術的な注目点として、日足の終値で1,551ドルを下回るような展開となった場合には、6月初旬の安値水準を再び試すリスクが生じる可能性があると分析されています。
ポイント
- イーサリアムは過去1ヶ月で約21%下落しビットコイン以上の下げ幅を記録したものの、直近の急落局面では下値を切り上げ、底値を維持しました。
- イーサリアムのDEX(分散型取引所)における取引高は、6月22日の約9億ドルから6月24日には13億ドルへと36%急増し、オンチェーン活動が活発化しました。
- 大口保有者(クジラ)は下落局面で買い戻しに転じており、Santimentのデータでは取引所外の主要ウォレットのETH保有量が回復傾向にあります。
- 売りボリュームは6月5日のピーク以降、減少傾向にあり、下落の原動力となった売り圧力が減衰しつつあると見られます。
- 日足終値が1,551ドルを下回った場合、6月初旬の安値水準を再び試す可能性が指摘されています。