暗号資産取引所のCoinExは、同取引所が過去にイラン関連の暗号資産取引に関与していたとするウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道に対し、公式な回答を発表しました。CoinExは、制裁対象となっているイランの事業体との間で商業的な関係を維持した事実は一切ないと否定しています。一方で、ここ数ヶ月にわたり実施してきたコンプライアンス(法令遵守)体制の強化策やリスク管理措置について詳細を明らかにしました。
報道の背景とCoinExによる反論
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの報道では、ブロックチェーン分析企業TRM Labsのデータを引用し、2019年以降にイラン関連の主体が約38億4,000万ドルの暗号資産をCoinExを通じて移動させたと指摘しているとされています。これに対しCoinExは、イラン政府関連の組織や国内取引所、イラン革命防衛隊、その他制裁対象となっている主体との間で商業的な関係を構築したことは一度もないと表明しました。
さらにCoinExは、2021年の時点でイラン政府からブラックリストに登録され、イラン国内で公式ドメインへのアクセスがブロックされているという事実を挙げ、イラン当局に公認されたプラットフォームではないと反論しています。
ハッキング資金への関与指摘と協力実績
今回の報道では、暗号資産取引所Bybitで発生したハッキング被害に関連し、盗まれた資金の一部がイラン中央銀行のウォレットを経由してCoinExに流入したという指摘もなされているとされています。
これについてCoinExは、Bybitでの事件を認知した直後に該当するアカウントのブロックや資産の凍結を実施し、被害への対応に協力したと説明しています。また、報道で指摘された特定の取引については、今後内部調査を行う方針を示しているとされています。こうした対応は、取引所間の連携によるセキュリティ確保の重要性を示す事例とみられます。
コンプライアンス体制とリスク管理の強化
CoinExは、近年実施しているコンプライアンス強化策の具体的な内容についても説明しています。同取引所は、本人確認(KYC)プロセスの導入や、イラン居住ユーザーに対するアクセス制限などの措置を講じてきたとされています。
Web3業界のビジネスパーソンにとって、中央集権型取引所(CEX)における制裁回避リスクへの対策やマネーロンダリング防止(AML)体制の構築は、規制当局からの監視が厳しくなる中で極めて重要な課題となっています。CoinExによる今回の迅速な反論とコンプライアンス強化の表明は、取引所としての信頼性を維持し、国際的な規制基準に適合するための取り組みをアピールする意図があるとみられます。
ポイント
- 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが、暗号資産取引所CoinExにおける過去のイラン関連取引への関与を報じました。
- CoinExは、制裁対象であるイランの政府機関や事業体との商業関係を全面的に否定し、公式な反論を行いました。
- 同取引所は、イラン政府によって2021年にブラックリスト登録され、ドメインが遮断されている事実を反論の根拠として挙げています。
- 報道で指摘されたハッキング資金の流入疑惑に対し、CoinExは被害取引所への協力実績を説明し、内部調査を行うとしています。
- 近年実施している本人確認の導入やアクセス制限などのコンプライアンス強化策を説明し、リスク管理体制の向上をアピールしています。