日本円建て暗号資産インデックス算出の報告書が公表、国内暗号資産ETF実現に向けた基盤整備へ

N.Avenue株式会社と日鉄ソリューションズ株式会社は2026年6月30日、共同で事務局を務める「暗号資産インデックス協議会」において、日本円建て暗号資産インデックスの算出に関する報告書を公表しました。この取り組みは、国内における暗号資産ETF(上場投資信託)などの組成に不可欠な、透明性と信頼性の高い円建てベンチマーク指数の確立を目指すものです。国内市場の需給構造や流動性を反映したインデックスの整備は、日本における暗号資産を組み込んだ金融商品の組成環境を整える上で重要な一歩になるとされています。

円建てベンチマーク指数の必要性と国内市場の課題

日本円建て暗号資産インデックス算出の報告書が公表、国内暗号資産ETF実現に向けた基盤整備へ

2024年1月の米国における現物ビットコインETF承認以降、世界の暗号資産ETF市場は急速に拡大しています。日本国内でも、暗号資産の規制根拠法が資金決済法から金融商品取引法へと移行する動きに伴い、暗号資産を組み込んだ金融商品の組成環境の整備が進められています。

しかし、国内で投資信託やETFを組成・運用するにあたり、NAV(Net Asset Value:ファンドの資産から負債を差し引いた純粋な資産価値を指すとされています)の算出や運用パフォーマンスの評価に不可欠な、日本円建てのベンチマーク指数が不足しているという課題がありました。

これまでは海外の外貨建て指数を日本円に為替換算して代用する手法が一般的でしたが、この方法では日本市場特有の需給構造(プレミアムやディスカウント)や流動性環境を正確に反映できません。その結果、ETFの基準価格とベンチマークの動きに乖離が生じるトラッキングエラー(ファンドのリターンと、ベンチマークとする指数のリターンとの乖離を示す指標とされています)や、実際の取引に伴う執行コストの乖離が発生する要因になると指摘されています。

こうした課題を解決するため、金融、学術、法務、暗号資産業界の有識者が集まる「暗号資産インデックス協議会」において、海外に対しても説明可能で、日本の市場環境に適した円建てインデックスの在り方が検討されてきました。

今後のスケジュールとインデックスの配信計画

報告書の公表に伴い、事務局を務めるN.Avenueと日鉄ソリューションズは、今後インデックスの算出および運用を行う予定です。

公表されたロードマップによると、2026年6月より報告書の公開とともに、ビットコイン(BTC)およびイーサリアム(ETH)を対象としたテスト算出が開始され、同時にユーザー企業の募集も行われます。

その後、2026年8月からは利用を検討している金融機関などに対して、テスト算出データを参照できるインデックスのベータ版の提供が開始される予定です。さらに、2027年1月には金融機関や情報ベンダーとのシステム接続を行い、正式な配信を開始する計画となっています。

このインデックスの提供により、国内の金融機関が暗号資産ETFなどの新たな金融商品を組成・運用する際の実務的なハードルが下がり、国内デジタル資産市場の活性化につながる可能性があります。

ポイント

  • N.Avenueと日鉄ソリューションズが共同事務局を務める「暗号資産インデックス協議会」が、日本円建て暗号資産インデックスの算出に関する報告書を公表しました。
  • 米国での現物ビットコインETF承認による市場拡大や、国内における金融商品取引法への移行といった法整備を背景に、国内での金融商品組成に向けた環境整備が進められています。
  • 従来の海外指数を為替換算する手法では、日本市場特有の需給や流動性が反映されず、トラッキングエラーなどの課題が生じることが指摘されていました。
  • 2026年6月からビットコインとイーサリアムを対象としたテスト算出が開始され、2027年1月には金融機関や情報ベンダーへのシステム接続および正式配信が予定されています。
  • 信頼性の高い円建てベンチマークの確立は、国内における暗号資産ETFの実現や、機関投資家向けの金融商品組成を促進する上で極めて重要な基盤になるとされています。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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