台湾の立法院が初の暗号資産専門法を可決 包括的なライセンス制度とステーブルコイン規制を導入

台湾の立法院(国会に相当)は2026年6月30日、暗号資産(仮想通貨)に関する包括的な法規制を定めた「仮想資産サービス法(Virtual Asset Service Act)」を可決しました。この新法は、従来のマネーロンダリング防止(AML)に特化した規制から脱却し、仮想資産サービスプロバイダーやステーブルコイン発行体に対する厳格なライセンス制度や準備金ルールを導入するものです。金融監督管理委員会(FSC)が唯一の管轄規制当局となり、市場の健全化と投資家保護を目的とした具体的な運営基準が設けられます。

仮想資産サービスプロバイダーへのライセンス義務化と7つの分類

台湾の立法院が初の暗号資産専門法を可決 包括的なライセンス制度とステーブルコイン規制を導入

新法である仮想資産サービス法は全56条から構成されており、これまでの登録制から、より厳格なライセンス制度へと移行します。仮想資産サービスプロバイダー(VASP)は、事業内容に応じて以下の7つのカテゴリーに分類され、それぞれのサービスごとに個別の認可を受ける必要があります。

  • 仮想資産取引所
  • 取引プラットフォーム運営
  • 資産移転サービス
  • カストディ(保管)サービス
  • アンダーライティング(引受)サービス
  • レンディング(貸付)サービス
  • その他仮想資産サービス

ライセンスを取得した事業者には、顧客資産の分別管理、内部統制の整備、サイバーセキュリティ基準の遵守、定期的な財務報告および監査などが義務付けられます。

これまでマネーロンダリング防止(AML)登録を完了していた既存の事業者に対しては、移行期間が設けられます。新法の施行後12ヶ月以内にライセンスを申請し、21ヶ月以内に金融監督管理委員会(FSC)からの承認およびライセンス取得を完了する必要があります。この期限は、必要に応じて1回に限り、最大3ヶ月間延長される可能性があります。

ステーブルコインに対する厳格な発行ルールと分類

本法案では、台湾におけるステーブルコインの発行と運営に関する法的枠組みも初めて整備されました。

国内でのステーブルコイン発行は銀行のみに制限され、台湾の中央銀行からの承認と、FSCによる認可の双方が必要となります。また、発行されるステーブルコインは単一の法定通貨にのみ連動している必要があり、複数の通貨バスケットや他の暗号資産に連動するものは認められません。発行体は、発行額に対して1対1の割合で完全な準備金を維持し、準備金資産を信託財産として分別管理した上で、定期的な監査を受ける必要があります。なお、アルゴリズム型ステーブルコインの発行は禁止されます。

テザー(USDT)や米ドルコイン(USDC)などの海外で発行されたステーブルコインについては、通貨ではなく規制されたコモディティ(商品)として分類されます。これらを国内で流通させるには、FSCの承認を得た現地の認可取引所に上場される必要があります。

違反行為に対する厳格な刑事罰の導入

市場の信頼性を確保し、不正行為や詐欺を防ぐため、新法には厳しい刑事罰が盛り込まれました。

無認可で仮想資産サービスやステーブルコイン事業を運営した事業者には、最大7年の懲役、または最大1億ニュー台湾ドル(約314万米ドル)の罰金が科される可能性があります。また、仮想資産の取引や発行において、重要事項の虚偽記載、不正な情報開示、あるいは価格や需給の意図的な操作(相場操縦)を行った場合は、3年から10年の懲役、および1,000万ニュー台湾ドルから2億ニュー台湾ドルの罰金が科されます。

今後のスケジュール

法案は今後、頼清徳総統の署名を経て公布される予定です。FSCは完全なルールの展開に向けて複数の二次法案を策定する予定であり、実質的な法規制の開始は2027年初頭になるとされています。

ポイント

  • 台湾の立法院が2026年6月30日に仮想資産サービス法を可決し、マネーロンダリング防止に限定されていた従来の規制から包括的なライセンス制度へ移行します。
  • 仮想資産サービスプロバイダー(VASP)は7つのカテゴリーに分類され、事業内容に応じた個別のライセンス取得が義務付けられます。
  • ステーブルコインの発行は銀行のみに制限され、100%の準備金維持や信託管理が義務付けられます。海外発行のステーブルコインはコモディティとして扱われます。
  • 違法な無認可営業や市場操作などの不正行為に対しては、最大10年の懲役や高額な罰金といった厳格な刑事罰が適用されます。
  • 既存の登録事業者には、新法施行から12ヶ月以内の申請、21ヶ月以内のライセンス取得という段階的な移行期間が提供されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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