米ミシガン州が予測市場「カルシ」のスポーツ賭博提供を一時禁止、ワールドカップ活況の裏で規制との対立激化

米ミシガン州の裁判所は、予測市場プラットフォーム「カルシ(Kalshi)」に対し、州内住民向けの一部サービスの提供を一時的に差し止める命令を下しました。2026年FIFAワールドカップの開幕に伴い、予測市場におけるスポーツ関連の取引量は急増していますが、州政府による賭博規制と連邦当局の管轄権をめぐる対立が先鋭化しています。本件は、急速に拡大する予測市場分野における規制リスクの現状を示す事例として、Web3業界でも注目されています。

ミシガン州による一時差し止め命令と制裁金措置

米ミシガン州が予測市場「カルシ」のスポーツ賭博提供を一時禁止、ワールドカップ活況の裏で規制との対立激化

ミシガン州インガム郡巡回裁判所のローズマリー・アクィリーナ判事は、予測市場プラットフォームであるカルシに対し、州内住民がスポーツイベントに賭けることを一時的に禁止する命令を出しました。

この命令では、カルシが利用者の所在地確認(ジオロケーション)要件に従わない場合、1日あたり12万ドル(日本円で約1951万円)の制裁金が科されます。命令の効力は14日間で、2026年7月13日に失効する予定です。

アクィリーナ判事は、カルシのサービスについて、住民が投資機会を装ったカルシのスポーツ賭博事業に搾取されることで回復不能な損害を受けるおそれがあると指摘しています。カルシが提供する「イベント契約(event contract)」は、特定のできごとが起きるかどうかに連動して価値が決まる金融契約とされていますが、これが州の賭博法に抵触するかどうかが争点となっています。

全米に広がる「州政府 vs 連邦規制当局」の管轄権争い

予測市場の法的扱いをめぐる議論は、ミシガン州にとどまらず全米規模に拡大しています。スポーツイベント契約に対して同様の禁止措置を講じたのは、2026年3月に一時的禁止を出したネバダ州に続き、ミシガン州が2番目となります。

さらに2026年6月17日には、ケンタッキー州がカルシや、ブロックチェーン上で稼働する分散型予測市場プラットフォームとされる「ポリマーケット(Polymarket)」を含む5つの予測市場プラットフォームを、無認可のスポーツ賭博プラットフォームを運営しているとして提訴しました。現在、十数以上の州が予測市場運営会社を相手に法廷闘争を行っています。

一方で、連邦規制当局である米商品先物取引委員会(CFTC)は、連邦規制下にあるイベント契約はCFTCの専権事項であると主張し、複数の州を相手に訴訟を起こしています。このように、州の賭博規制と連邦政府の金融規制のどちらが優先されるかをめぐる対立が深まっています。

FIFAワールドカップが牽引する予測市場の急成長とWeb3への影響

規制をめぐる法廷闘争が激化する一方で、予測市場の取引量は爆発的に増加しています。2026年6月11日に開幕したFIFAワールドカップがその起爆剤となっています。

デューン(Dune)のデータによると、トレーダーが売買した契約量を示すデイリー・テイカー・ボリュームは、開幕から約1週間後の6月20日に過去最高となる7億1300万ドル(日本円で約1159億円)を記録しました。

月間の予測市場取引量でもスポーツ賭博が最大のカテゴリーとなっており、カルシでは前月比40%増の95億ドル(日本円で約1兆5447億円)、ポリマーケットでは同175%増の53億ドル(日本円で約8618億円)に達しています。また、ポリマーケットにおけるワールドカップ優勝国予想契約の取引量だけでも、すでに35億ドル(日本円で約5691億円)を超えています。

さらに、ビットゲット・ウォレット(Bitget Wallet)の調査によると、ワールドカップ関連の取引を行ったユーザーの約60%が、予測市場への参加を機に初めてブロックチェーンに触れたと回答しています。予測市場がWeb3や暗号資産の新しいユーザー層を開拓する強力な入り口として機能している実態が浮き彫りになっています。

ポイント

  • 米ミシガン州の裁判所が、予測市場「カルシ」に対し州内でのスポーツ賭博契約の提供を一時的に禁止しました。
  • 所在地確認(ジオロケーション)要件に違反した場合、1日あたり12万ドル(約1951万円)の制裁金が科され、命令は2026年7月13日まで有効です。
  • ケンタッキー州やネバダ州など、十数以上の州政府が予測市場を無認可のスポーツ賭博として規制を強める一方、連邦当局のCFTCは自らの管轄権を主張し対立しています。
  • 2026年FIFAワールドカップの開幕により予測市場の取引量は急増しており、ポリマーケットでは優勝国予想だけで35億ドル(約5691億円)超の取引を記録しています。
  • 予測市場への参加が新たな暗号資産ユーザーの獲得(オンボーディング)に大きく貢献している一方で、法的な位置づけをめぐる不確実性がビジネス上の課題となっています。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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