ゼロ知識証明を活用したイーサリアムのレイヤー2ソリューションである「Loopring」上の分散型取引所「Loopring DEX」が、すべての取引サービスを停止したことが明らかになりました。開発チームは、利用の低迷に加え、仮想マシンを搭載しない初期アーキテクチャによる機能制限や、競合となるzkEVMの台頭を閉鎖の理由に挙げています。本件は、技術革新のスピードが極めて速いWeb3業界において、初期の特化型アーキテクチャが直面した厳しい競争環境を示す事例として注目されます。今後はユーザーの資産返還プロセスが開始される予定です。
サービス停止の背景と技術的要因
Loopringは、ゼロ知識証明(ZKP)を用いてイーサリアムのスケーリングを目指して構築された、初期のzkRollup(ゼロ知識ロールアップ)プロジェクトの一つとして知られています。しかし、2026年6月28日に公式Xで発表された内容によると、同DEXは十分な利用拡大に至らなかったとされています。
閉鎖の背景には、技術的な限界と市場環境の変化があります。Loopringは初期の設計であったため、仮想マシン(VM)を持たない仕様になっていました。このため、他の分散型アプリケーションと組み合わせるコンポーザビリティ(構成可能性)や、実用的な決済ユースケースに制約が生じていたと説明されています。
近年、イーサリアムのスマートコントラクトと完全な互換性を持つzkEVM(ゼロ知識イーサリアム仮想マシン)系のソリューションが台頭するなか、Loopringの特化型アーキテクチャは時代遅れになったとの認識が示されました。さらに、2026年に主要取引所でネイティブトークンであるLRCの上場廃止が行われたことなど、外部要因も影響したとされています。この発表に伴い、LRCの価格は一時下落を記録しました。
ユーザー資産の返還プロセスと今後のスケジュール
取引サービスの停止に伴い、Loopringチームはユーザー資産の返還手続きを進める方針です。今回の手続きでは、ユーザー側での申請や操作を必要とせず、チームが各ユーザーの資産をイーサリアムのレイヤー1(L1)ウォレットアドレスへ直接、一括送付する形が取られます。送付に伴うガス代(取引手数料)などの費用も、すべてチーム側が負担するとされています。
具体的な返還プロセスは以下の通りです。
まず、チームは数日以内に各ユーザーの最終残高リストを算出して公開します。この対象には、イーサリアム(ETH)やERC-20規格のトークンのスポット残高に加え、AMM(自動マーケットメーカー)の流動性プール(LP)の持ち分も含まれます。LPポジションは、サービス停止時点の原資産相当に自動で変換された上で、最終残高に反映されます。
公開された最終残高リストは2週間の確認期間が設けられ、ユーザーはその間に内容を確認し、差異がある場合は問い合わせを行うことができます。確認期間の終了後、チームは各ユーザーのL2アカウントに紐づくL1ウォレットアドレスへ順次資産を送付します。
なお、運用効率上の理由から、返還対象は最終残高の評価額が10ドル以上のアカウントに限定され、10ドル未満の残高は対象外となります。返還処理は開始後、数週間以内に完了する見込みです。
ポイント
- ゼロ知識証明を活用した初期のL2 DEXであるLoopring DEXが、すべての取引サービスを停止しました。
- 閉鎖の主な要因として、仮想マシンを持たない設計によるコンポーザビリティの欠如や、イーサリアム互換を持つzkEVM系ソリューションとの競争激化が挙げられています。
- 2026年に主要取引所でネイティブトークンであるLRCが上場廃止されたことも、サービスの継続に影響を与えたとされています。
- ユーザー資産の返還はチームが一括して行い、ユーザー自身の手続きは不要で、ガス代もチームが全額負担します。
- 評価額10ドル以上のアカウントが返還対象となり、数日以内に公開される最終残高リストの2週間の確認期間を経て順次送付されます。