日本、米国、韓国の3カ国は、北朝鮮によるサイバー脅威への対応をめぐり、外交当局間の連携をさらに強化することで一致しました。2026年6月25日から26日にかけて米国ワシントンD.C.で開催された第5回北朝鮮サイバー脅威に関する日米韓外交当局間作業部会にて、暗号資産の窃取やIT労働者の活動に対する深刻な懸念が改めて表明されました。今回の協議では、KelpDAOやDrift Protocolにおける巨額のハッキング事案や、AIを活用するIT労働者のリスクについても具体的に議論されており、Web3業界における安全保障と規制協力の重要性が一段と高まっていると見られます。
日米韓作業部会による連携強化の背景
今回の作業部会は、日米韓3カ国の共同議長の下で開催されました。日本側からは三宅史人外務省サイバー政策担当大使兼総合外交政策局審議官が共同議長を務め、日米韓の外交、安全保障、捜査当局など幅広い関係省庁が参加しました。
3カ国は、北朝鮮の不法な大量破壊兵器や弾道ミサイル計画の資金源となっている、暗号資産の窃取や北朝鮮IT労働者による活動を含む悪意あるサイバー活動について深刻な懸念を表明しました。国連安全保障理事会決議に従った北朝鮮の完全な非核化に向け、サイバー分野における対応を含めて引き続き緊密に連携していくことを再確認しています。
KelpDAOとDrift Protocolのハッキング事案とAI利用のリスク
米国務省の発表によると、今回の協議では具体的な巨額ハッキング事案への言及がありました。
- KelpDAO(イーサリアム上のリキッド・リステーキング・プロトコルとされています)への約2.9億ドル規模のハッキング
- Drift Protocol(ソラナ上の分散型金融プロトコルとされています)への約2.85億ドル規模のハッキング
これらの被害事案に触れつつ、さらにAI機能を利用する北朝鮮IT労働者によるリスクが高まっていることについても議論が行われました。高度な技術を悪用したサイバー脅威に対し、国際的な警戒感が高まっています。
資金洗浄対策とIT労働者の不正活動への取り組み
日米韓の3カ国は、暗号資産の窃取への対応だけでなく、資金洗浄(マネーロンダリング)や北朝鮮IT労働者の不正活動についても協力を強化する方針を確認しました。
今後は、行動志向の議論を通じて具体的な取り組みを推進していく姿勢を示しています。Web3業界のビジネスパーソンにとっては、自社プロジェクトのセキュリティやガバナンス体制の強化、開発に関わる人員の身元確認の徹底、そしてAIを悪用したソーシャルエンジニアリング攻撃への対策が、これまで以上に重要な課題になると見られます。
ポイント
- 日米韓3カ国が、北朝鮮の大量破壊兵器などの資金源となっている暗号資産窃取やIT労働者の不正活動への対応において、外交当局間の連携強化で一致しました。
- 協議では、KelpDAO(約2.9億ドル規模)やDrift Protocol(約2.85億ドル規模)の巨額ハッキング事案が具体的に言及されました。
- AI機能を利用する北朝鮮IT労働者による新たなリスクについても議論され、技術の悪用に対する警戒が示されています。
- 暗号資産の窃取対応に加え、マネーロンダリングやIT労働者の不正活動対策における具体的な共同取り組みが今後推進される方針です。