著名な起業家であるエリック・ヴーヒーズ(Erik Voorhees)氏が立ち上げたプライバシー重視のAIプラットフォーム「Venice」が、シリーズAラウンド(事業拡大に向けた初期の資金調達段階)で6,500万ドルの資金調達を実施し、評価額10億ドルに達したことが明らかになりました。今回の調達は、ベンチャーキャピタルのDragonflyが主導しました。Veniceにとって初の外部資本の受け入れとなり、同社が第1四半期(Q1)に黒字化を達成した後に実施されました。Web3の理念であるプライバシー保護がAI領域でも高く評価された事例として注目されます。
背景:会話を保護する「ChatGPT」のプライベートな競合
Veniceは、ユーザーのプライバシー保護を最優先に掲げるAIプラットフォームです。創設者のエリック・ヴーヒーズ氏は、AI企業はユーザーの会話内容を保護すべきだと主張しており、既存の主要なAIサービスに対抗するプライベートな代替手段としてVeniceを位置付けています。
一般的なAIサービスとは異なり、Veniceはユーザーのプロンプト(指示文)や対話履歴をサーバー側に保存せず、デバイス側での暗号化などを用いてプライバシーを担保する仕組みを採用しているとされています。また、オープンソースを含む多様なAIモデルへのアクセスを提供しているとされています。
初の外部調達で評価額10億ドルのユニコーン企業へ
今回のシリーズAラウンドでは、Dragonflyが主導する形で6,500万ドルの資金が調達されました。これによりVeniceの評価額は10億ドルに達し、いわゆるユニコーン企業(評価額が10億ドル以上の未上場スタートアップ)の仲間入りを果たしました。
注目すべき点として、Veniceはこれまで外部からの資金調達を行っておらず、今回のシリーズAが初の外部資本の導入となります。同社は第1四半期(Q1)にすでに黒字化を達成しており、外部資金に依存しない自立した収益モデルを確立した上での戦略的な資金調達であったと見られます。
Web3・ブロックチェーン業界にとっての重要性
Veniceの成長と今回の資金調達は、Web3業界のビジネスパーソンにとっても重要な意味を持ちます。
資金調達を主導したDragonflyは、暗号資産分野に特化した著名なベンチャーキャピタルであるとされています。また、創設者のエリック・ヴーヒーズ氏も、暗号資産取引所ShapeShiftの創設者などとして知られるWeb3業界のベテラン起業家であるとされています。
このようなWeb3のバックグラウンドを持つプレイヤーがAI領域で台頭し、大手VCから高い評価を受けて資金を獲得した事実は、Web3の基本理念である自己主権(ユーザー自身がデータや資産を管理する考え方)やプライバシーが、今後のAI領域における重要な付加価値として認識され始めていることを示していると見られます。
ポイント
- Veniceは、Dragonflyが主導するシリーズAラウンドで6,500万ドルの資金調達を実施し、評価額10億ドルに達しました。
- 創設者のエリック・ヴーヒーズ氏は、AI企業はユーザーの会話を保護すべきであると主張しており、VeniceはChatGPTのプライベートな競合として位置付けられています。
- 今回の資金調達はVeniceにとって初の外部資本の導入であり、同社が第1四半期(Q1)に黒字化を達成した後に実施されました。
- Web3の思想であるプライバシー保護の概念が、AI分野における重要な競争力として評価された点で注目されます。