米SEC、暗号資産や予測市場などの新型ETFを対象とした規制見直しに向けて60日間の意見募集を開始

米証券取引委員会(SEC)は、これまでにない資産クラスへの投資や、新しい投資戦略を採用する新型上場投資信託(ETF)の規制見直しに向け、60日間のパブリックコメント(意見募集)を開始しました。近年、暗号資産ETFの投資戦略は多様化・複雑化しており、さらに予測市場に関連するファンドの申請も相次いでいます。今回の動きは、市場の急拡大と商品の高度化を背景に、投資家保護と金融イノベーションを両立するための適切な規制の線引きを模索するものです。

複雑化する暗号資産ETFと予測市場ファンドの台頭

米SEC、暗号資産や予測市場などの新型ETFを対象とした規制見直しに向けて60日間の意見募集を開始

近年、暗号資産ETFの発行体は、単に暗号資産の価格に連動する商品から一歩踏み出し、より複雑な投資戦略を組み込んだ商品を相次いで投入しています。

具体的には、決済用ステーブルコインの準備資産を念頭に置いた米国債中心のファンドであるプロシェアーズの「ジーニアス・マネーマーケットETF」や、ステーキング報酬の獲得を目指すグレイスケールの「ハイパーリキッド・ステーキングETP」などが登場しています。また、ブラックロックやゴールドマン・サックスによるオプション取引(カバードコール戦略)を組み合わせたビットコイン収益型ファンド、フランクリン・テンプルトンが提案した株式配当をビットコイン関連投資に自動再投資する設計のETF、さらにはビットワイズによるビットコインと金などの貴金属を組み合わせたアクティブ運用型ETFなど、多様な試みが行われています。

これに加え、選挙や金利決定などのイベント結果を対象とする予測市場に関連するETFの申請も相次いでいます。しかし、SECのポール・アトキンズ委員長が5月に24件(2ダース)を超える保留中の申請の立ち上げを一時停止する方針を示したことを受け、これらの商品の市場投入は一時的にストップしていました。

規制フレームワークの妥当性を検証するSECの狙い

今回の意見募集は、連邦官報への掲載後60日間にわたって実施されます。SECは、既存の規制規則がこれらの新型ETFに十分対応できているのか、また登録手続きの見直しが必要かどうかについて、広く市場関係者から意見を求める方針です。

ETF市場は2019年の約4兆ドル(約650兆円)から、2025年末には12兆ドル超(約1950兆円超)へと急拡大を遂げています。市場規模が膨らみ、商品設計が単に指数に連動する仕組みから、多様な伝統資産や暗号資産、オプション、ステーキングなどを織り交ぜた複雑なものへと変化する中で、現行ルールの妥当性を改めて検証する必要性が生じています。

なお、SECはこれに先立ち、米商品先物取引委員会(CFTC)とも共同で、証券市場とデリバティブ市場にまたがるポートフォリオ・マージン規則の調和について意見募集を行っていました。今回の新型ETFに関するパブリックコメントを通じて、SECは投資家保護を維持しつつ、金融市場におけるイノベーションをどのように促進すべきか、将来的な規制変更に向けた基盤を整えるものと見られます。

ポイント

  • 米SECは、暗号資産や予測市場に関連する新型ETFの規制方法について、60日間のパブリックコメント募集を開始しました。
  • 単純な価格連動型にとどまらず、ステーキングやカバードコール、ステーブルコイン準備資産などを活用した、より複雑な暗号資産ETFの登場が背景にあります。
  • 予測市場関連ファンドの申請が相次ぐ中、ポール・アトキンズSEC委員長が5月に一時停止措置をとったことを経て、本格的な規制の線引きに向けた議論が始まります。
  • 2025年末時点で12兆ドル超に達したETF市場の健全なイノベーションと投資家保護を両立させるため、今後の規制方針を左右する重要なプロセスとして注目されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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