SECが「新型ETF」の規制見直しへ:暗号資産や予測市場ファンドの複雑化を受け、60日間の意見募集を開始

米証券取引委員会(SEC)は、暗号資産や予測市場を含む「新型ETF(Novel ETFs)」の規制をめぐり、60日間のパブリックコメント(意見募集)を開始しました。この動きは、これまでにない革新的な資産クラスや複雑な投資戦略を採用するファンドが相次いで申請される中で、現行の規制が妥当であるかを検証する目的で行われます。近年急拡大するETF市場において、投資家保護と金融イノベーションのバランスをどのように取るか、今後の規制の枠組みを左右する重要なプロセスになると見られます。

新型ETFの台頭とSECが意見募集に踏み切った背景

SECが「新型ETF」の規制見直しへ:暗号資産や予測市場ファンドの複雑化を受け、60日間の意見募集を開始

近年、ETF市場は急激な成長を遂げています。SECのデータによると、ETFの運用資産残高は2019年の約4兆ドル(約650兆円)から、2025年末には12兆ドル(約1950兆円)を超える規模へと膨らみました。

こうした市場の急拡大に伴い、単純な価格連動型にとどまらない、極めて複雑な投資戦略や新たな資産クラスを組み込んだ新型ETFの申請が相次いでいます。これを受け、SECのポール・アトキンス委員長は5月に、20件を超える保留中の申請の立ち上げを一時停止すると表明していました。今回のパブリックコメントの開始は、この一時停止措置に続くものであり、当局が本格的に新たな規制基準の策定に向けて動き出した格好です。

複雑化する暗号資産ETFの投資戦略

ここ数カ月、暗号資産ETFの発行体は、ビットコインなどの現物価格に単純に連動する商品から、さらに一歩踏み込んだ高度な戦略を採用するようになっています。具体的には、以下のような多様な商品が提案またはローンチされています。

決済用ステーブルコインの準備資産を念頭に置いた、米国債中心のファンドであるプロシェアーズの「ジーニアス・マネーマーケットETF」や、暗号資産HYPEへのエクスポージャーを提供しつつ、ステーキング報酬の獲得を目指すグレイスケールの「ハイパーリキッド・ステーキングETP」が代表例です。

さらに、オプションを活用して収益を得るブラックロックの「ビットコイン・プレミアム・インカムETF」や、現物ビットコインとカバードコール戦略を組み合わせたゴールドマン・サックスのファンドなど、デリバティブ(金融派生商品)を融合した商品も提案されています。

また、ビットワイズによるビットコインと金、貴金属、鉱山株を組み合わせたアクティブ運用型ETFや、フランクリン・テンプルトンが提案した、米国株の配当をビットコイン関連投資へ機械的に再投資するファンドなど、伝統的資産とデジタル資産を組み合わせたポートフォリオの実験も進んでいます。

このように、暗号資産、オプション、ステーキング、伝統資産などを織り交ぜた金融商品の実験場となっている現状が、今回の規制見直しの背景にあります。

業界への影響と今後のスケジュール

今回の意見募集では、既存の規則がこれら新型ETFに十分対応できているか、どのように規制すべきか、また登録手続きの見直しが必要かどうかについて、幅広く市場関係者の声を求めます。

パブリックコメントの期間は、連邦官報への掲載後60日間とされています。市場関係者は、SECが将来的な規制変更を検討する前に、直接意見を提出する機会を得ることになります。

このプロセスは、これまで保留されていた予測市場ファンドや、より複雑な暗号資産ETFの承認プロセスに直接的な影響を与える可能性があります。また、先週にはSECと米商品先物取引委員会(CFTC)がポートフォリオ・マージン規則の調和について意見募集を行っており、伝統金融と暗号資産の融合に対する規制の網が、より体系的に整備される方向へと進むと見られます。

ポイント

  • SECが暗号資産や予測市場を対象に含む新型ETF(Novel ETFs)の規制見直しに向け、60日間のパブリックコメント(意見募集)を開始しました。
  • 5月にポール・アトキンス委員長が20件以上の申請の立ち上げを一時停止したことを受けた動きであり、新たな規制の線引きを模索する狙いがあると見られます。
  • ETF市場は2025年末時点で12兆ドル(約1950兆円)を超える規模に急成長しており、暗号資産のステーキングやオプション取引を組み合わせた複雑な商品が相次いで登場しています。
  • パブリックコメントの期間は連邦官報掲載後60日間であり、市場関係者の意見が今後の複雑な暗号資産ETFや予測市場ファンドの承認基準に反映される点で注目されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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