JPモルガン、ブロックチェーン決済基盤「キネクシス」で日本円含むアジア太平洋5通貨に対応拡大

米金融大手JPモルガンは、同社のブロックチェーン決済基盤キネクシスにおいて、提供するブロックチェーン預金口座の対応通貨を日本円を含むアジア太平洋地域の5通貨へ拡大したと発表しました。これにより対応通貨は計8通貨となり、従来の営業時間や決済締切時間に縛られない24時間365日の資金移動やオンチェーン外国為替取引が可能になります。本取り組みは、暗号資産やステーブルコインではなく銀行預金をデジタル化して利用する仕組みであり、多国籍企業や金融機関が直面する国際送金の遅延や手数料といった課題を解決し、グローバルな財務管理を効率化する実用的なインフラとして注目されています。

アジア太平洋5通貨の追加による24時間365日の多通貨決済

米金融大手JPモルガンは、ブロックチェーン決済基盤キネクシスで展開するブロックチェーン・デポジット・アカウント(BDA)について、アジア太平洋地域の5通貨を追加しました。今回追加されたのは日本円(JPY)、豪ドル(AUD)、香港ドル(HKD)、中国人民元(RMB)、シンガポールドル(SGD)の5通貨です。これにより、既存の米ドル(USD)、ユーロ(EUR)、英ポンド(GBP)と合わせて計8通貨の体制となり、ブロックチェーン決済およびオンチェーン外国為替として世界で最も幅広い通貨対応を実現したとされています。

BDAは、JPモルガンに預けられた銀行預金をブロックチェーン上でデジタルに表現し、24時間365日移転できるようにした仕組みです。利用企業はステーブルコインや暗号資産ではなく、信頼性の高い銀行預金をそのままブロックチェーン上で移動できるため、法的な位置づけやリスク管理の観点からも受け入れやすいとされています。従来の国際送金は中継銀行を経由するため時間やコストがかかるという課題がありましたが、BDAの導入により市場の営業時間や決済締切時間に左右されず、即時に送金や為替取引を完了できるようになります。

プログラマブル決済の導入と初期利用企業の動向

今回の通貨拡大に伴い、対応するすべての通貨ペアにおいてプログラマブル・ペイメンツが利用可能になりました。これはあらかじめ設定した条件に応じて支払いを自動実行する機能です。これにより、企業は財務管理や流動性管理を自動化し、支払いを実際の事業運営とより密接に連携させることができます。

すでに初期の利用事例も始まっています。豪ドル建てBDAについては、国際決済サービスを提供するペイオニアが初期利用企業として参画し、顧客向けの24時間365日のクロスボーダー決済に活用しています。また、日本円建てBDAの最初の利用企業となったのは、JERAグループのエネルギー取引会社であるJERAグローバル・マーケッツです。同社は時間帯をまたいでグローバルに事業を展開する中、日本円建て資金を常時稼働で動かせる体制を整えることで、グループ内の資金管理や流動性の最適化に役立てています。

企業の財務管理インフラとしての実用化と業界への影響

キネクシスはサービス開始以来、累計で4兆ドル(約651兆円)を超える取引を処理しており、1日当たりの平均取引額は70億ドル(約1.14兆円)を突破しています。この実績は、大口の資金移動を必要とする機関投資家や多国籍企業において、ブロックチェーン技術がすでに実用的なインフラとして定着しつつあることを示しています。

本取り組みは、ブロックチェーン技術が単なる投機的な暗号資産の枠を超え、企業のトレジャリー(財務・流動性)業務や国際送金の近代化に直接貢献している点で重要です。特にアジア太平洋地域のように多様な現地通貨が取引される市場において、24時間365日稼働するオンチェーン外国為替ネットワークが提供されることは、グローバルに展開するビジネスパーソンにとって、資金効率の向上や取引コストの削減につながる可能性を秘めています。

ポイント

  • JPモルガンのブロックチェーン決済基盤キネクシスにおいて、日本円を含むアジア太平洋5通貨がブロックチェーン預金口座(BDA)に追加された点。
  • 既存の米ドルやユーロなどと合わせ計8通貨体制となり、24時間365日稼働する広範なオンチェーン外国為替(FX)取引が可能になった点。
  • 条件に応じて支払いを自動実行できるプログラマブル・ペイメンツ機能が全通貨ペアで利用可能になり、財務管理の自動化が期待される点。
  • 日本円建てBDAの初事例としてJERAグローバル・マーケッツが参画するなど、企業の日常的な資金流動性管理において実運用が始まっている点。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

Pacific Metaマガジン編集部は、ブロックチェーン領域を中心に、RWA(リアルワールドアセット)、セキュリティトークン(ST)、ステーブルコイン、NFTなどのトークン活用や、AI×ブロックチェーン領域における事業開発・実装に関する情報を発信する編集チームです。株式会社Pacific Metaが、グループ累計260社以上・41カ国以上のプロジェクトを支援してきた知見をもとに、記事の企画・監修を行っています。

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