暗号資産関連組織のHyperliquid Policy Center(HPC)と、自己管理型(非カストディアル)ウォレットを提供するPhantomは、米国商品先物取引委員会(CFTC)に対し、分散型金融(DeFi)やオンチェーンプロトコルへの規制アプローチを近代化するよう求める共同意見書を提出しました。この意見書は、CFTCが金融イノベーションに関して実施した情報提供要請(RFI)への回答として提出されたものです。両組織は、ブロックチェーン開発者や非カストディアルウォレットを伝統的な金融仲介者(ブローカーや取引所など)と同様に扱うべきではないと主張しています。
伝統的金融の規制とオンチェーン市場の乖離
提出された意見書では、現行のCFTCの規制が、仲介者が顧客の資金を預かる伝統的な金融市場を前提に設計されていると指摘されています。伝統的な金融では、ブローカーが注文を受け、取引所がマッチングを行い、清算機関が決済を保証するというように、顧客以外の第三者が資金を管理する構造になっています。
これに対し、オンチェーン市場では、スマートコントラクトなどのコードによって自己管理型のピアツーピア(P2P)取引が実現されており、中央集権的な仲介者を必要としません。そのため、両組織は、オンチェーンソフトウェアや自己管理型ウォレットは単なるツールであり、仲介者向けの古いルールをそのまま適用すべきではないと主張しています。
共同意見書が求める3つの具体的な提案
HPCとPhantomは、CFTCに対して以下の3つの具体的な要望を提示しています。
1. ソフトウェア公開と登録義務の分離
オンチェーンプロトコルのソフトウェアを開発・公開する行為そのものが、取引所や清算機関、先物取引業者としての登録義務を発生させないことを明確にするよう求めています。コードの作成は市場の運営とは異なるという点を明確にすることが目的です。
2. 既存の登録機関によるオンチェーンインフラの活用
すでにCFTCに登録されている伝統的な取引所や清算機関が、マッチングや決済、マージン管理などのコア機能にオンチェーン技術を導入できるようにするガイドラインの策定を求めています。これにより、規制を遵守しながらオンチェーン技術を統合することが可能になるとされています。
3. Phantomに対する不処分勧告の正式ルール化
CFTCは2026年3月に、Phantomの非カストディアルウォレットがブローカーとして登録することなく、規制されたデリバティブ市場へのアクセスを提供することを認める不処分勧告(ノーアクションレリーフ)を出していました。この一時的な措置を正式なルールとして成文化し、すべての非カストディアルウォレットプロバイダーに一律で適用することを求めています。
業界およびビジネスへの影響
今回の提案は、Web3およびDeFi業界の事業者にとって重要な意味を持ちます。オンチェーン市場に適した明確な規制体系が整備されれば、開発者が法的な不確実性を避けるために米国国外へ流出するのを防ぐことができるとされています。また、透明性の高いDeFi市場の活用は、決済速度の向上や、ユーザー自身による資金管理の強化といったメリットをもたらす可能性があるとされています。
ポイント
- Hyperliquid Policy CenterとPhantomが、CFTCに対してDeFi規制の近代化を求める共同意見書を提出しました。
- 伝統的なカストディ(資金保管)を前提とした古い規制を、自己管理型(非カストディアル)のオンチェーン技術にそのまま適用すべきではないと主張しています。
- 開発者によるソフトウェア公開が登録義務を伴わないことの明確化や、既存登録機関によるオンチェーン技術の利用許可を求めています。
- 2026年3月にPhantomへ出された不処分勧告を、すべての非カストディアルウォレットに適用される正式なルールとして制度化することを提案しています。
- 適切な規制が整備されることで、米国におけるWeb3開発者の流出防止や、より迅速で透明性の高い市場の実現につながると期待されています。