片山さつき財務・金融担当相は2026年7月10日、暗号資産を裏付けとするETF(上場投資信託)の国内解禁に向けて検討を進める方針を表明しました。現在、国会で審議中の金融商品取引法(金商法)改正案の成立を前提に、暗号資産の税制を最大55パーセントの雑所得から20パーセントの申告分離課税へ移行する計画と連動して調整が進められていると見られます。この規制緩和の動きに合わせ、国内の主要証券会社では暗号資産を組み入れた商品開発や参入準備が本格化しており、日本のWeb3市場における大きな転換点として注目されます。
暗号資産ETFの国内解禁に向けた方針表明と背景
片山金融相は7月10日に開催されたセミナー「オープンQUICK2026」の基調講演において、暗号資産を裏付けとするETFの国内解禁に向け、前向きに検討を進める方針を示しました。海外で暗号資産ETFの取引が拡大している現状を踏まえ、国内においても投資家が安心して取引を行える環境を整備する必要性を強調しています。
ETFは証券取引所に上場し、株式と同様に売買できる金融商品です。暗号資産そのものを直接保有せずに価格連動を取り込めるため、取引所口座ではなく証券口座を通じて投資したい層にとってはアクセス手段が広がるメリットがあるとされています。
片山金融相は7月13日に開催される国内最大規模の暗号資産カンファレンス「WebX2026」への登壇も予定しており、規制整備の進捗や今後の具体的な方針についてさらなる発信が行われると見られます。
金商法移行と20パーセント申告分離課税へのロードマップ
暗号資産を初めて金融商品として位置付ける金商法の改正案は、2026年4月10日に閣議決定および国会提出が行われ、6月11日に衆議院本会議を賛成多数で通過しました。現在は参議院で審議が続けられており、成立すれば2027年度にも施行される見通しです。これにより、暗号資産の規制根拠はこれまでの資金決済法から金商法へと移り、インサイダー取引規制の新設や発行者への情報開示義務が盛り込まれることになります。
この法改正の施行を前提に、2026年度税制改正大綱では、国内上場の暗号資産(特定暗号資産)全般を対象として、現在の最大55パーセントの雑所得課税から、株式などと同じ20パーセントの申告分離課税へ移行する方針が示されました。新税率の適用開始は金商法改正法の施行日が属する年の翌年1月1日と規定されており、法案が今国会で成立した場合、2028年1月からの適用が有力視されています。ETFの解禁についても、この税制との整合を図るために同時期の解禁を軸に調整が進められていると見られます。
証券業界で進む暗号資産関連商品の販売準備
制度整備の進展をにらみ、国内の証券会社でも具体的な商品開発や参入の動きが始まっています。SBI証券と楽天証券は、暗号資産を組み入れた投資信託やETFを販売する方針を明らかにしており、野村証券や大和証券などの大手対面証券も、制度の詳細が決定次第、参入を検討しているとされています。
特にSBIホールディングスは、東京証券取引所への上場を想定した「SBI・ビットコイン/XRP ETF」など、具体的な商品案を決算説明会で公表しており、法的な枠組みが整い次第、迅速に市場へ投入する構えを見せています。
ポイント
- 片山金融相が暗号資産を裏付けとするETFの国内解禁に向けた検討方針を表明し、投資家が安心して取引できる環境整備の必要性を強調しました。
- 規制の根拠を資金決済法から金商法へ移す改正案が参議院で審議中であり、成立すれば2027年度にも施行される見通しです。
- 税制面では、現在の最大55パーセントの雑所得から20パーセントの申告分離課税へ移行する方針が示されており、2028年1月からの適用が有力視されています。
- SBI証券や楽天証券が暗号資産を組み入れた商品の販売準備を進めており、具体的な商品案も公表されるなど、国内金融機関の参入意欲が高まっています。
- 規制と税制の緩和、そして伝統的な金融機関によるETFの提供が実現すれば、日本のWeb3ビジネスや投資環境が大きく活性化する可能性があります。