米司法省、7億2200万ドル規模のBitClub暗号資産詐欺事件の主謀者に対する起訴を取り下げへ

米国司法省が、かつてBitClub Networkと呼ばれる7億2,200万ドル規模の暗号資産ポンジ・スキームを主導したとされるマシュー・ゲッチェ被告に対する起訴を取り下げる方針であることが、ブルームバーグの報道により明らかになりました。この決定は、数年に及ぶ法廷闘争を経て公判が近づく中で下されたもので、トランプ前政権とつながりのある関係者によるロビー活動が影響したとされています。過去最大級の暗号資産詐欺事件における司法省の方針転換は、今後の法執行のあり方に影響を与える可能性があります。

司法省による起訴取り下げ方針の背景

米司法省、7億2200万ドル規模のBitClub暗号資産詐欺事件の主謀者に対する起訴を取り下げへ

ブルームバーグが匿名情報源を引用して報じた内容によると、ワシントンの司法副長官オフィスは、ニュージャージー州の連邦検事オフィスに対し、ゲッチェ被告に対する訴追を再起訴不可の却下(dismiss with prejudice)とするよう指示しました。これにより、政府は同一の容疑で同被告を再び起訴することができなくなりますが、最終的な条件については現在も当事者間で調整中であるとされています。

ゲッチェ被告は、電信詐欺の共謀罪および未登録証券を販売した共謀罪に問われており、2019年の起訴以来、裁判に向けた手続きが進められていました。今回の取り下げ方針は、これまでの訴追方針を大きく覆す決定となります。

トランプ前政権関係者によるロビー活動

報道によると、ゲッチェ被告はトランプ政権とつながりのある弁護士チームを組織し、司法省に対して訴追を免れるためのロビー活動を行っていたとされています。

起訴の取り下げを司法省に働きかけた人物の中には、トランプ氏がホストを務めたテレビ番組であるアプレンティスの元出演者であり弁護士のブラッドフォード・コーエン氏や、トランプ大統領(当時)からの恩赦獲得を支援した実績を持つ保守系活動家のブレット・トルマン氏が含まれているとされています。

BitClub Networkの概要と共同被告の動向

BitClub Networkは、2014年から2019年にかけて運営された暗号資産マイニング(採掘)プールへの投資を騙るポンジ・スキーム(新規投資家から集めた資金を既存投資家への配当に回す詐欺手法)です。投資家に対し、マイニングによる架空の収益を提示するなどして、少なくとも7億2,200万ドル相当の暗号資産を騙し取ったとされています。

ゲッチェ被告の裁判が長引く一方で、同事件の共同被告のうち3人はすでに有罪を認めています。例えば、2020年には共同被告の一人であるジョセフ・フランク・アベル氏が、未登録証券の販売共謀などの罪を認めています。

業界への影響と重要性

今回の司法省による起訴取り下げの決定は、暗号資産業界における過去の不正行為に対する法執行のあり方に一石を投じるものです。BitClubのケースは、技術的な規制の議論ではなく、暗号資産を用いた古典的な大規模詐欺事件として位置づけられていました。このような重大な詐欺事件において、司法省が起訴を取り下げるという異例の対応を見せたことは、今後の政府による規制・取り締まりの姿勢にどのような変化をもたらすか、業界関係者の間で注目されるとみられます。

ポイント

  • 米国司法省は、7億2,200万ドル規模の暗号資産詐欺であるBitClub Networkの主謀者、マシュー・ゲッチェ被告への起訴を取り下げる方針です。
  • 起訴の取り下げは再起訴不可の却下として指示されており、司法省のこれまでの訴追方針を大きく転換するものとなります。
  • トランプ前政権とつながりのある弁護士やアプレンティスの元出演者らが、司法省に対して起訴取り下げを求めるロビー活動を行っていたと報じられています。
  • 同事件ではすでに他の共同被告3名が有罪を認めており、主謀者に対する異例の起訴取り下げが、今後の暗号資産関連の法執行にどのような影響を与えるかが注目されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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