米証券移転協会がSECにロビー活動、サードパーティ製株式トークンのリスクを警告

米国の移転代理人を代表する業界団体である米証券移転協会(STA)は、サードパーティが発行する株式トークンが市場の健全性にリスクをもたらすと米国証券取引委員会(SEC)に警告しました。STAは、将来の規制整備において、発行会社が正式に承認したトークン化モデルを優先的に優遇するよう求めています。この動きは、約20億ドル規模に達するトークン化株式市場の今後の規制枠組みや、デジタル証券インフラの整備に影響を与える可能性があるとされています。

サードパーティ製株式トークンに対する懸念とSTAの主張

米証券移転協会がSECにロビー活動、サードパーティ製株式トークンのリスクを警告

STA(Securities Transfer Association:証券移転協会)は、独立系移転代理人や銀行、投資信託の移転代理人などを代表する専門業界団体です。STAのメンバー企業は、1万5,000社以上の発行体を代表し、1億人以上の登録株主の記録を管理しているとされています。

STAがSECに提出した意見書では、サードパーティ(第三者)が上場企業と無関係に作成・提供するパッケージ化された株式トークン製品に対し、強い懸念が示されました。STAは、こうしたサードパーティ製の株式トークンが、投資家に対して実際に保有している権利についての誤解を招く可能性があると指摘しています。また、発行会社との直接的な法的関係がないため、トークンを提供するプラットフォームの信用リスクや保管(カストディ:資産の保管・管理業務)、運営上のリスクに投資家が直接さらされることになると警告しました。

発行体承認モデルの優先とインフラ改革の提言

STAは、本来のトークン化された株式は、発行会社によって正式に承認され、公式の株主名簿(株主の保有状況を記録する原本)に記録されるべきであると主張しています。そのため、トークン化証券に関する規制の免除措置、パイロットプロジェクト、あるいは恒久的な規制枠組みを策定する際には、発行会社がサポートする発行体承認モデルを優先して優遇措置を与えるようSECに要請しました。

さらにSTAは、オンチェーン証券が求めるリアルタイムの移転や決済に、米国の現行の証券保管システムは十分に対応できていないと指摘しました。これに伴い、既存の直接登録システム(DRS:株主が株式を発行会社の移転代理人に直接登録するシステム)の改革を促し、規制当局がDTCC(証券保管振替事業団)と連携してデジタル証券インフラを最適化することを提案しています。

業界への影響と現在の市場動向

現在、約20億ドル規模に達する世界のトークン化株式市場は、主にサードパーティモデル(Ondo FinanceやKrakenが提供する製品など)が主流であるとされています。その一方で、SecuritizeやFigureといった企業は、発行体の承認を得てトークン化を行うモデルを採用しています。

SECは2026年1月にトークン化証券に関するスタッフ声明を発表しており、そこではトークン化証券を発行体承認とサードパーティ承認の2つに分類した上で、技術が変わっても証券法による規制や保護は変わらないという見解を示しています。今回のSTAによるロビー活動は、今後の規制策定においてこれら2つのモデルの扱いにどのような差が設けられるか、また既存の金融インフラがどのようにデジタル化に対応していくかという議論において重要視されています。

ポイント

  • 米証券移転協会(STA)がSECに対し、サードパーティが発行する株式トークンが市場の健全性を損なうリスクがあると警告しました。
  • STAは、将来の規制において、発行会社が承認し公式株主名簿に記録される発行体承認モデルを優先的に優遇するよう求めています。
  • 現行の米国証券保管システムはオンチェーン証券のリアルタイム決済に対応しきれていないとして、直接登録システム(DRS)の改革とDTCCとの連携を提言しました。
  • 約20億ドル規模のトークン化株式市場は現在サードパーティモデルが主流であり、今回のロビー活動が今後の法規制や市場構造に与える影響が注目されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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