現実資産のトークン化プラットフォームを提供するSecuritizeと、大手投資銀行のCantor Fitzgeraldは、ブロックチェーン技術を活用したトークン化新規株式公開(IPO)および追加株式発行を可能にするインフラ開発に向けた合意を発表しました。この提携により、上場企業は既存の米国の規制枠組みを遵守しながら、オンチェーンで資金調達を行い、トークン化された証券を発行できるようになります。伝統的な資本市場へのアクセスと、ブロックチェーン技術がもたらす運用効率や透明性の向上を両立させる試みとして、Web3業界および伝統的金融業界の双方から注目を集めています。
伝統的市場とブロックチェーンを融合する新たなIPOインフラ
今回の提携は、Cantor Fitzgeraldが持つ株式資本市場およびトレーディングの専門知識と、Securitizeが提供する規制に準拠したトークン化インフラを融合させるものです。
合意内容に基づき、Cantor Fitzgeraldは株式資本市場における機能や取引能力を提供します。一方、Securitizeはトークン化された証券の発行、分配、および管理を行うためのインフラを提供し、米国証券取引委員会(SEC)に登録されたブローカー・ディーラーである系列会社、Securitize Markets, LLCを通じて、募集および決済プロセスに参加します。
この枠組みにより、企業は従来の公募制度である伝統的な資本市場の枠組みを維持したまま、ブロックチェーン上で資金調達や株式発行を行うことが可能になります。
オンチェーン資金調達がもたらすメリット
ブロックチェーン技術の導入により、上場企業や投資家には以下のようなメリットが期待されています。
- 透明性の向上
- 運用効率の改善
- 所有権記録の近代化
- グローバルなオンチェーン投資家ベースへのアクセス
Securitizeの共同創業者兼CEOであるCarlos Domingo氏は、上場企業が伝統的な資本市場へのアクセスをとるか、それとも証券の発行、分配、所有、管理を改善するブロックチェーン技術のメリットをとるかという選択を迫られるべきではないと述べています。今回の提携は、既存の規制枠組みの中でオンチェーンの資金形成をサポートするために必要な能力を結集させたものであり、デジタル証券が資本市場の標準的な一部となる未来への一歩であると説明しています。
また、Cantor FitzgeraldのCo-CEO兼グローバル株式ヘッドであるPascal Bandelier氏は、トークン化が主流の資本市場の一部になりつつあると指摘し、伝統的な株式資本市場の厳格さをオンチェーンの決済や分配に導入することへの期待を示しています。
提携企業の背景と市場における位置づけ
今回の提携を進める両社は、それぞれの領域で強力な実績を持っています。
Securitizeは現実資産(RWA)のトークン化をリードする企業であり、BlackRock、Apollo、BNY、Hamilton Lane、KKR、VanEckなどの大手資産運用会社と提携し、2026年7月時点で50億ドル以上の運用資産を管理しているとされています。また、Securitizeは2026年7月にCantor Fitzgeraldの関連SPAC(特別買収目的会社)との合併を経て、ニューヨーク証券取引所に上場したばかりであるとされています。
一方、Cantor Fitzgeraldは世界的な大手投資銀行であり、2025年の米国IPOにおいて第1位にランクされた実績を持つとされています。この大手投資銀行のノウハウがオンチェーン市場に持ち込まれることで、伝統金融とWeb3の融合がさらに加速すると見られます。
ポイント
- SecuritizeとCantor Fitzgeraldが、ブロックチェーンを活用したトークン化IPOおよび追加株式発行のインフラ開発で合意したこと。
- 米国の既存の規制枠組みに準拠した形で、企業がオンチェーンで資金調達を行う道が開かれること。
- 伝統的な投資銀行(Cantor Fitzgerald)の市場専門性と、規制準拠のトークン化インフラ(Securitize)の技術が融合する点で注目されること。
- ブロックチェーンの導入により、透明性の向上、運用効率の改善、グローバルなオンチェーン投資家層へのアクセスが期待されること。