2026年7月に開催されたアジア最大級のWeb3カンファレンスであるWebX2026にて、バイナンスジャパンの新代表取締役に就任した豊崎亜里紗氏が登壇しました。豊崎氏は同社のこれまでの実績を振り返るとともに、今後の成長戦略や暗号資産が金融インフラとなる未来像について語りました。法制度の整備や機関投資家の参入が見込まれる転換期において、同社がどのように信頼を構築し、新製品を展開していくかを示す内容として注目されます。
信頼構築とPayPay協業を軸とする成長戦略
豊崎氏は、これまでに築いてきた信頼の基盤からさらなる成長フェーズへ移行するための戦略として、3本の柱を提示しました。
1つ目は、当局との関係構築や法令遵守、ユーザーとの信頼構築、そして同社初となるテレビCMの制作などを含む信頼の基盤です。
2つ目は、2025年末に発表したPayPayとの資本業務提携を軸とする協業であり、これによって新たな価値提供を目指します。
3つ目は、新製品の展開です。豊崎氏は、米ノースウェスタン大学でコンピュータサイエンスと経済学を専攻し、外資系証券会社でのデリバティブトレーダーやGoogle日本法人を経て、2022年に分散型金融(DeFi)システムのCegaを創業し2025年に事業売却した経歴を持っています。豊崎氏は、この自身の経験を生かした製品開発に強い意欲を示しました。
暗号資産が金融インフラとなる未来と日本の市場変化
豊崎氏は、日本の金融市場における将来像として、3つの大きな変化を挙げています。
1つ目は、暗号資産が投機から長期保有へと位置づけを変えていくことです。米国などの最前線では個人資産の5%から8%を暗号資産に配分することが一般化しつつあり、日本でもこれを実現したいと述べています。
2つ目は、ブロックチェーン技術の浸透です。オンチェーン金融(ブロックチェーン上での金融サービス)を通じて、決済や送金の裏側に革命が起きると予測しています。
3つ目は、トークン化による資産の流動性向上です。これにより、個人や法人を問わず、誰もが平等に市場へアクセスできる機会が生まれるとしています。
制度整備と機関投資家の参入がもたらす転換期
今後2〜3年で日本の暗号資産業界には大きな変化が起きると見通されています。豊崎氏は、金融商品取引法への移行やビットコインETF(上場投資信託)の実現に向けた制度整備の進展を歓迎する意向を示しました。
特に2026年から2028年にかけては、機関投資家がビットコインやイーサリアムへ本格的に参入する重要な転換期になると位置づけています。規制環境が成熟することは機会の拡大であると捉え、日本の経済や未来を切り開いていきたいと締めくくりました。なお、豊崎氏は2026年7月1日付でバイナンスジャパンの代表取締役に就任したとされています。
ポイント
- バイナンスジャパンの新代表に就任した豊崎亜里紗氏が、WebX2026のキーノートで今後の成長戦略を提示しました。
- 成長の軸として「信頼の基盤」「PayPayとの協業」「新製品の展開」の3本の柱を掲げ、自身の金融・技術領域での実務経験を生かす方針です。
- 暗号資産が投機から長期保有へとシフトし、個人資産の5%から8%を占めるような金融インフラとなる未来を想定しています。
- 2026年から2028年を金商法への移行やビットコインETFの整備に伴う機関投資家の参入転換期と位置づけ、市場の拡大を歓迎しています。