パキスタンは、暗号資産(仮想通貨)を利用したマネーロンダリングやテロ資金供与を取り締まるため、専門の捜査部門を立ち上げました。同国では現在、暗号資産取引所へのライセンス付与を進めるなど、暗号資産の推進策を強化しています。今回の捜査部門の新設は、市場の推進と並行して、法執行体制を強化する動きとして注目されています。
法執行体制の強化と新設部門の役割
パキスタン連邦捜査庁(FIA)は、新設された国家指揮統制センター(NC3)内に、暗号資産捜査部門(Cryptocurrency Investigation Unit)を設立したと報じられています。
この新設部門は、暗号資産を悪用したマネーロンダリングやテロ資金供与、サイバー犯罪、金融詐欺などの捜査に特化するとされています。一方で、暗号資産の規制や監督自体は、新設されたパキスタン仮想資産規制庁(PVARA)が担当するとされています。これにより、規制監督を行うPVARAと、犯罪捜査を行うFIAの新部門とで、役割が分担される形になります。
パキスタンの暗号資産推進と暗号外交の背景
パキスタンは個人利用(リテール)において世界最大級の暗号資産市場の一つとされています。政府はこの需要を公認化するため、国家資産のトークン化(ブロックチェーン技術を用いて資産をデジタル化すること)の模索や、暗号資産取引所へのライセンス付与手続きを進めています。
また、ドナルド・トランプ米国大統領の家族が関わる暗号資産プロジェクトであるワールド・リバティ・ファイナンシャル(World Liberty Financial)の関連企業と提携し、クロスボーダー(国境間)決済におけるステーブルコイン(法定通貨と価値が連動する暗号資産)の活用を模索するなど、暗号外交と呼ばれる取り組みも進められていると報じられています。
今後のスケジュールと展望
パキスタン政府は、今後数ヶ月以内に暗号資産取引所へのライセンスを発行する予定であるとされています。
また、FIAは捜査を迅速に完了させるための新たなルールの策定を進めており、今後6ヶ月以内にさらなる主要プロジェクトが完了する見込みであると報じられています。さらに、国家サイバー犯罪捜査庁(NCCIA)や麻薬取締部隊(ANF)に対しても、同様の暗号資産専門捜査部門を設立するよう推奨されています。
ポイント
- パキスタン政府がマネーロンダリングやテロ資金供与の対策を目的とした暗号資産捜査部門を新たに設立しました。
- 規制を担当するパキスタン仮想資産規制庁(PVARA)と、犯罪捜査を行う連邦捜査庁(FIA)の新部門により、推進と取り締まりの両面を強化する体制が整えられます。
- 同国は取引所へのライセンス付与やステーブルコインの活用模索など、暗号資産の推進策を積極的に進める一方で、法執行体制の構築も同時に進めている点で注目されます。