コインベースが米SECと情報公開訴訟で和解、15万ドルの弁護士費用支払いや記録管理見直しで合意

コインベースが米SECと情報公開訴訟で和解、15万ドルの弁護士費用支払いや記録管理見直しで合意

米暗号資産取引大手のコインベースは、情報公開法(FOIA)に基づく訴訟において米証券取引委員会(SEC)と和解に達しました。SECは弁護士費用として15万ドルを支払うほか、非公開文書の開示やテキストメッセージを含む記録保持ポリシーの見直しに同意しています。ゲンスラー前委員長時代の幹部メッセージが喪失していた問題を発端とする今回の和解は、行政機関の透明性確保や権限逸脱の抑制において重要な意味を持つと見られます。

SECとコインベースの和解内容とこれまでの経緯

コインベースが米SECと情報公開訴訟で和解、15万ドルの弁護士費用支払いや記録管理見直しで合意

コインベースの最高法務責任者であるポール・グリウォール氏がウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)への寄稿で明らかにした内容によると、同社は情報公開法(FOIA:行政機関が保有する公文書の開示を求める米国の法律)に基づく訴訟でSECと和解しました。

和解の条件として、SECはコインベースが委託したコンサルタント会社ヒストリー・アソシエイツへの弁護士費用として15万ドルを支払うことに合意しました。グリウォール氏によれば、この支払額はSECの情報公開法関連の賠償として過去最大規模の一つにあたるとされています。さらにSECは、これまで非公開としてきた文書2点の開示と、テキストメッセージを含む記録保持ポリシーの見直しにも合意しました。

本訴訟は2024年、コインベースが情報公開請求に応じなかったSECを相手取って起こしたものです。訴訟の焦点となったのは、暗号資産への規制が強まっていた時期における、ゲーリー・ゲンスラー前SEC委員長ら幹部のテキストメッセージがほぼ1年分にわたって失われていた問題でした。SEC側はデータが自動削除されたと説明していましたが、グリウォール氏はこれを批判していました。

ゲンスラー体制下の規制圧力と記録保持の課題

ゲンスラー氏が委員長を務めた2021年4月から2025年1月までの期間、SECは暗号資産企業に対して100件以上の法的措置を講じ、数十億ドルの制裁金を課してきました。コインベース自身もこの時期、証券登録義務違反を理由にSECから提訴された企業の一つです。

同体制下のSECは、民間金融機関の記録管理の失態に対して数十億ドル規模の制裁金を徴収してきた経緯があります。そうした中で行政機関自体の重要記録が不適切に処理されていた点が問題視されました。

なお、コインベースは2026年2月にも、別の情報公開訴訟で米連邦預金保険公社(FDIC)と和解しています。FDICは2022年3月から2023年5月にかけて、約24行の銀行に対して暗号資産関連業務の一時停止を求める書簡を送付していたものの、2023年にはその事実を否定していました。

行政の透明性向上と暗号資産業界への影響

今回の和解についてグリウォール氏は、SECやFDICが情報公開と記録保持の慣行を見直すことにより、行政機関が密室で権限を逸脱する余地が今後縮小することになると述べています。

暗号資産業界に対して強い規制圧力が加えられていた時期の行政手続や判断プロセスについて、情報公開を通じて開示を求めた今回の取り組みは、当局に対する監視機能を果たし、今後の規制運用の透明性と公正性を高めるきっかけになると見られます。

ポイント

  • SECが弁護士費用15万ドルの支払いや非公開文書2点の開示、記録保持ポリシーの見直しに同意し、コインベースと和解しました。
  • 暗号資産規制が強まった時期におけるゲンスラー前委員長ら幹部のテキストメッセージが約1年分喪失していた問題が訴訟の中心でした。
  • コインベースは2026年2月にも、暗号資産関連業務の一時停止書簡をめぐり米連邦預金保険公社(FDIC)と同様の情報公開訴訟で和解しています。
  • 規制当局による記録管理や情報公開の慣行が見直されることで、不透明な行政手続や権限逸脱を防ぐ効果が期待される点で注目されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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