コンヴァノが保有暗号資産の全量売却を発表、ビットコイン戦略から撤退へ

東証グロース上場でネイルサロン「FASTNAIL」を運営する株式会社コンヴァノは2026年7月24日、グループで保有するすべての暗号資産について、株主優待用を除き全量を売却する方針を決定したと発表しました。売却対象の帳簿価額は2026年3月31日時点で87億6,674万円に上り、発表から概ね3カ月以内をめどに市場動向を見極めながら順次売却を進める計画です。かつて累計100億円を超えるビットコインを取得し積極的な保有目標を掲げていた同社ですが、市場下落や戦略推進取締役の退任を経て、暗号資産トレジャリー戦略から全量売却による本業回帰へ舵を切る形となりました。

売却方針の概要と財務への影響

コンヴァノが保有暗号資産の全量売却を発表、ビットコイン戦略から撤退へ

株式会社コンヴァノは、グループが保有する暗号資産について、株主優待制度に基づいて株主へ交付する分を除き、原則として全量を売却する方針を臨時取締役会で決定しました。対象となる暗号資産の帳簿価額は、2026年3月31日時点で87億6,674万円となります。

売却は発表から概ね3カ月以内をめどに、市場の流動性や価格動向を踏まえて実施される予定です。市場への影響を考慮しつつ可能な限り高い価格での売却を目指し、状況に応じて複数回に分けて実行するとしています。売却によって得られた資金は、より成長性および収益性の高い事業への投資や、株主還元への活用が検討されています。

財務面への影響について同社は、前会計年度末に時価評価を実施して評価損益を計上済みであるため、売却の実行自体が当期の業績に与える追加的な影響は軽微になる見通しだと説明しています。ただし、売却損益が実際に発生する可能性はあるとしており、具体的な決定事項が生じた際には順次開示を行うとしています。今回の決定は、暗号資産の価格変動が財務内容に与える影響を抑制し、財務体質の安定化と資本効率の向上を図る狙いがあると見られます。

ビットコイン集中戦略からの転換と撤退の経緯

同社は2025年7月に23BTCを初取得して以降、ビットコインの積極的な保有を進めていました。同年8月には取締役会で本格的な取得を決定し、一時はビットコインの発行上限の0.1%に相当する2万1000BTCの保有を目指す計画を掲げていました。同年9月には約15億円相当を追加取得し、累計取得額は約104億円(取得枚数605.75BTC)に達していました。

しかし、2025年後半からのビットコイン市場の下落もあいまって、同社は同年11月に事業・財務戦略の再構築を発表しました。暗号資産への資金配分を見直し、新株予約権など株式の希薄化を伴う資金調達を停止するなど、暗号資産への依存度を引き下げる方針へ大きく舵を切りました。この段階では保有を限定的に維持するとしていましたが、本業への資金再配分が進められました。

さらに2026年5月には、ビットコイン戦略を主導していた東大陽取締役(当時)が評価損計上を理由に退任を発表し、同年6月27日の定時株主総会をもって正式に退任しました。戦略の推進者の退任に続き、今回の全量売却が決定されたことで、同社が暗号資産事業から撤退する姿勢が明確になったと言えます。企業の財務資産として暗号資産を組み入れる暗号資産トレジャリー戦略(企業が財務資産として暗号資産を保有・運用する取り組み)のリスク管理や、市場変動に対する事業継続判断の事例として業界内で注目されます。

ポイント

  • コンヴァノが株主優待用を除く全保有暗号資産(帳簿価額87億6,674万円)の全量売却方針を決定しました。
  • 発表から約3カ月以内をめどに市場動向を見極めながら順次売却し、得られた資金は事業投資や株主還元へ活用する方針です。
  • かつて2万1000BTCの保有計画を掲げていたものの、市場下落を受けた戦略変更や推進取締役の退任を経て、暗号資産の全量売却に至りました。
  • 前会計年度末に評価損益を計上済みのため、今回の売却実行による当期業績への追加的影響は軽微の見通しとされています。
  • 上場企業の暗号資産トレジャリー戦略におけるリスク管理や、本業回帰に向けた意思決定の事例として注目されます。

監修者:Pacific Metaマガジン編集部

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