米上院で審議が進められている暗号資産の市場構造法案「クラリティー法」の修正草案に対し、主要な民主党議員7人が反対の立場を表明しました。倫理規定や不正資金対策の不十分さが理由に挙げられており、法案通過に必要な60票の確保に向けた超党派協議が続いています。8月の夏季休会前に可決を目指す動きはあるものの、残された審議日数の短さから法案成立の時期については見通しが分かれています。
民主党7議員の反対と60票確保に向けた超党派協議
米国の暗号資産市場における証券や商品の区分、取引所規制などの明確な枠組みを定める市場構造法案「クラリティー法」の修正草案について、民主党のマーク・ワーナー上院議員、キャサリン・コルテス・マスト上院議員、ルーベン・ガレゴ上院議員ら主要7議員が現行案では支持できないとの立場を示しました。反対の理由としては、倫理規定や不正資金対策(資金洗浄対策)に関する規定が不十分であることが挙げられています。
上院において議事妨害(フィリバスター)を打ち切り法案を可決するには60票の確保が必要とされており、与野党による超党派協議が継続して行われています。ホワイトハウスの暗号資産顧問であるパトリック・ウィット氏は、トランプ大統領が自身の行動に制約を課す倫理規定に同意したと説明し、民主党側のさらなる執行権限強化の要求には応じられないとの見解を示しています。なお、クラリティー法は暗号資産市場において包括的な連邦消費者保護や事業者・開発者の規制範囲を定義する法案とされています。
業界団体・法執行機関の支持と銀行業界の反発
法案の内容を巡っては、業界団体や警察組織、銀行業界などの間で評価が分かれています。暗号資産関連の主要3団体(デジタルチェンバー、クリプト・カウンシル・フォー・イノベーション、ブロックチェーン・アソシエーション)は連名書簡を提出し、消費者保護の確立や法執行機関の権限強化を評価して本会議での早期審議入りを求めました。また、DeFi開発者らを代表するDeFiエデュケーション・ファンドも、非保管型開発者を送金事業者の規制対象から除外する「ブロックチェーン規制確実性法(BRCA)」の維持などを評価しています。
警察組織においては、会員数38万2,000人以上を擁する全米警察友愛会が、法執行機関による暗号資産犯罪の捜査能力が確保されたとして修正案への支持を表明しました。
一方で、米国銀行協会、バンク・ポリシー・インスティテュート、独立系コミュニティ銀行協会などの銀行業界団体や米国ヒスパニック商工会議所は批判の姿勢を示しています。ステーブルコインの報酬プログラムによる銀行預金の流出や地域融資の縮小懸念、分散型金融(DeFi)プラットフォームに対する資金洗浄対策規定の適用緩和などが懸念点として指摘されています。ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)のように法案支持に回る大手銀行トップも存在するなど、金融業界内でも立場が対立しています。
夏季休会前の成立に向けた課題とスケジュール
上院のジョン・スーン院内総務は、8月の夏季休会前に法案を可決するという目標の達成は困難であるとの認識を示しています。8月の休会までに残された審議可能日は僅か9日であり、リンゼー・グラム上院議員の葬儀日程が討論終結採決の時期に影響する可能性も懸念されています。
一方で、ホワイトハウスのウィット暗号資産顧問は8月最初の週にも成立への道筋が存在するとの見方を崩しておらず、夏季休会前の成立可否を巡って見解が分かれています。
ポイント
・米上院の暗号資産市場構造法案「クラリティー法」修正草案に対し、民主党主要7議員が倫理規定や不正資金対策の不足を理由に反対を表明しました。
・上院での法案可決には60票の賛成が必要であり、議事妨害を回避するための超党派協議が週末を通じて進められています。
・全米警察友愛会や暗号資産業界団体が修正案を支持する一方で、米国銀行協会などの銀行業界は預金流出リスクなどを理由に反対しています。
・8月の夏季休会まで残る審議日数が僅か9日となる中、休会前成立の可否について議会指導部とホワイトハウスの間で見解が分かれています。