株式会社シーエーシー(CAC)は8月19日、ステーブルコインと現実資産(RWA)トークンの取引に対応するマルチチェーンDvP決済基盤「パクトラ(Pactora)」の開発および提供を開始したと発表しました。パクトラは信託銀行や証券会社などの金融機関での利用を想定したエスクロー(第三者預託)型の取引プラットフォームで、トークンの発行から募集、購入、決済までを一つの基盤上で完結させることができます。同一トランザクション内で資産の受け渡しと支払いを実行することで、一方のみが成立する決済リスクを抑えられる点が特徴です。
Pactoraの機能と決済リスクを低減する仕組み
パクトラは、資産の引き渡しと代金の支払いを連動させるDvP(Delivery versus Payment)決済を採用しています。対応する各ブロックチェーン上において、RWAトークンの受け渡しとステーブルコインによる支払いを同一トランザクション内でアトミック(不可分)に実行することで、代金の支払いと資産の受け渡しのいずれか一方だけが成立してしまう決済リスクを低減します。
対応するブロックチェーンには、アバランチ(Avalanche)、ソラナ(Solana)、カントン・ネットワーク(Canton Network)などが挙げられています。各チェーンにスマートコントラクトやエスクローを含む発行・決済ロジックを実装しており、設計思想や技術体系の違いを基盤側で吸収することで、共通のUIおよびUXを提供します。また、本基盤の開発にはAI駆動開発が活用され、専門エンジニアが実装面やセキュリティ面のリスク確認を行っています。
ステーブルコイン導入支援のPacific Meta
自社でも発行・運用を実践する当事者チームが伴走します
想定されるユースケースと企業の活用範囲
パクトラのユースケースとしては、金融機関によるステーブルコインや預金トークンの発行・流通支援、デジタル社債やファンド受益権のトークン化支援が想定されています。これらに加えて、サプライチェーン決済に用いる共通トークンや、ポイント、社内通貨、会員権、利用券の発行および決済への活用も挙げられています。
なお、CACが提供するのは取引基盤であり、同社自身がRWAなどの発行主体となるわけではありません。そのため、トークン発行に必要な許認可の取得や法令対応は発行主体となる企業自身が行う必要があります。CACは2016年にブロックチェーン専門組織を設置し、エンタープライズ向けブロックチェーン「コルダ(Corda)」の国内パートナーとして知見を蓄積してきた経緯があり、2025年からはパブリックブロックチェーン領域にも対象を拡大しています。同社は今後もオンチェーン金融における金融機関のニーズに対応するため、パクトラの改善や機能追加を継続する方針です。
ポイント
- パクトラはステーブルコインとRWAトークンの取引に対応し、発行から決済までを一元管理できるエスクロー型基盤である点
- 同一トランザクション内で資産の受け渡しと支払いを不可分に実行し、決済リスクを抑えるDvP決済を実現している点
- アバランチやソラナ、カントン・ネットワークなどの技術体系の違いを基盤側で吸収し共通の操作環境を提供する点
- 預金トークンやデジタル社債の発行支援から社内通貨や会員権の決済まで幅広い実務ユースケースに対応する点
- オンチェーン金融における金融機関のニーズに応えるため、今後も基盤の改善や機能追加が継続される方針である点